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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第一章

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懐かしい人に挨拶しよう!!

「来た」とロア。


 何故かアーリ達と一緒に野営地の入り口で待機するようにカリーンに言われ、私はヒポポの体の上でのんびり日向ぼっこをしていた。


「こちらも見えました。一人、お強い方がいますね」とアーリ。


 今日は隣の領地との初の魔晶石の取引だ。隣の領主との交渉は完全にカリーン任せで、取引の詳細は知らない。それでもカリーン曰く、何枚も切り札があるような取引で楽勝過ぎてつまらなかった、らしい。

 材料となるカゲロの実の調達業務は勿論、野営地までの運搬、その後の魔晶石の輸送、国内の流通ルートに乗せるまで、全て向こう持ち。めんどくさい部分が完全にアウトソーシングされていて、実質、私がカゲロの実を魔晶石に錬成するだけでがっぽり儲かる、らしい。

 しかも、魔晶石に錬成する量は下限も上限も規制無し。基本的には私の都合で決めてしまえるのだ。生産量に大きく増減が出るときは、事前に言うようにはカリーンに釘を刺されはしたが。


 よくぞ、ここまでの条件をもぎ取ったなと、皆、感心していた。


 私もヒポポの上で大きく伸びをすると、ひらりと飛び降りる。そのまま待っていると、何匹も連なるラバの群れが見えてくる。荷車等はひいていないようだ。ラバの体の両側に大きなカゴがついている。

 辺境の悪路、というほどの道もないので、車輪で進むのは難しい。最善の方法だろう。


 ──これは今後のことも考えると、道の整備の優先順位を高くする必要があるかもな。カリーンの判断次第だけど。


 リソースの限られた辺境の開拓事業では、優先順位を決めるにはかなり高度な判断が求められる。政治的経済的な要因への配慮も、重要。私は難しい決定は、責任者であり上司たるカリーンに一任しようと心に決め、目の前の事に集中することにした。


 ──ケガしている人がいるな。何かに襲われたか。ただ、被害は少なそうだ。撃退したのかな。


 先頭でラバの群れを率いていた人物がホコリよけのフードを外す。それは壮年の男性、トマ村のザーレだった。


「ザーレさん! お久しぶりです」


「あんたはっ! いや、失礼。ルスト師。この度は取引を快く受けて下さり──」と改まって挨拶をしてくるザーレ。


「無理なさらなくても、前のように話してくれても良いですよ。それより怪我人がいますね。良ければ治療しましょう」と私は苦笑して伝える。


「あんたは本当にお人好しだなっ! いや、すまない。治療は助かる。お願いする」とザーレ。


 見たところ、大きな怪我人はいない。私は暇な間に作りおきしていた、効果はほどほどだが汎用性の高いポーションをリュックサックから取り出すと、次々に治療していく。


 怪我人のわりに怪我をしたラバが見当たらない。


 ──ああ、カゲロの実が溢れんばかりにラバに積まれている。何頭か処分せざるをえなかったのか。


 と、察してようやく一団の最後尾が到着する。最後尾には、どこかで見た青色の神官服を着た銀髪の女性。前に毒で倒れていたのを助けた、タウラの姿があった。





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― 新着の感想 ―
[一言] 前にタウラと別れた時、さっさと復讐を済ませて北へ向かうと言っていたけど、 復讐終わったのかな。 実を運ぶキャラバン襲われたか。 帰りが心配だねぇ。
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