side アーリ 4
──危ないところだったかもしれません。
私はルスト師が展開したスクロールから溢れ出すヒポポブラザーズを見て、内心ほっとします。
──いけませんね。いくらルスト師が頼もしいからって、いつもこう頼ってばかりでは。特にカリーン様をお守りするのが私とロアのお役目。でもあの青白く光る浄光をまとった敵に関する事は『視』えにくいんです。
先ほど魔眼に断続的にちらりと見えた、未来の映像。そのなかでカリーン様は明らかに暴走していました。
──ルスト師は、ご存知なのかしら。カリーン様に流れる巨人族の血のことは。
私は戦闘中にも関わらず、どこかひょうひょうとした雰囲気を出しているルスト師の顔を見て、不思議に思います。
──いえ、それはカリーン様とルスト師の間の問題ですね。私ごときが気にすることではありません。今は託された任務に集中です、アーリ。
私は自分に言い聞かせ、背後のリリー殿下に視線をやります。前の、不義の三席だった時とは一変して、大人しいぐらいのリリー殿下の姿。
今も私の後ろにピタリとついて、少し怯えている様子です。
──リリー殿下の意識は、戦う力を持たなかった子供の時のままと言うのがどうしても納得してしまいますね。
そんなリリー殿下に配慮しながら、私はルスト師の動きを見守ります。次々にスクロールから溢れ出すように顕現していたヒポポブラザーズの群れ。しかしどうやらルスト師は途中で顕現を止めたようです、
前に見たときの半数ぐらいのヒポポブラザーズしか現れていません。
──市街戦だから抑えたのですね。
「あっ!」
未来視が、発動します。
見えたのは、ヒポポブラザーズのうちの一体にまたがり、楽しそうに巨大てんとう虫に向かって剣を振るうカリーン様の姿でした。
「カリーン様──!」
私の制止の声は少し遅かったようです。
これもあの青白い光のせいでしょう。本当に直近の未来しか見えないのです。
私が声をかけた時には、すでに未来視が見せた姿で、カリーン様がヒポポブラザーズに乗って巨大てんとう虫へと向かっていってしまいました。
──もうっ!




