推論と共感
「──という事が実はあったんだ。なかなか信じられない話かもしれないけれど」
「いえ。信じますとも。そうですか、タウラを助けるためにそんなに危険な目にあわれたんですね。ルストは」
タウラも、ツヴァイについては濁して伝えていたようだ。私が詳しく話すにつれて、カヘロネーの顔は驚きに染まっていった。
──まあ、それも仕方ないよね。真偽のほどはあれ、ツヴァイは神に等しい存在の可能性が高い。何よりもあの圧倒的な斥力場の力。今思い出してもよく無事だったよな、私も。そのぶん、ローズには迷惑をかけたけど。
そんな私の詳しい話を聞いたカヘロネーは、疑うことなく信じてくれたようだ。女神を信じる教会の人間としてはのみ込み難い話かもと思っていたので、そこはほっとする。
「だとすると、二つの事がわかりますね」
「うん?」
カヘロネーは指を二本、顔の近くに立てて示す。
私の半ば疑問の声を相づちに、カヘロネーは話を続ける。
「一つはガーンと、他の復活した者達が、そのツヴァイの力の一端を使える可能性があることですね」
「ああ。確かに言われてみればそうだね」
私はツヴァイの警告──破ることでツヴァイ本人と戦う可能性に気をとられていて、その可能性は見逃していた。カヘロネーはやはり第一印象の通り、優秀な女性のようだ。
──それにしては転んだりよろけたりが多いけど、まあ、それは頭脳が優秀な事とは特に反しないか。
指を一つ折りまげ続けるカヘロネー。
「もう一つは、今後の手がかりがありそうな場所ですね」
「ああ。童謡と、後はポイント、かな?」
「そうです、ルスト」
ニコッと笑って頷くカヘロネー。ポイントについては、どうやらカヘロネーと私は同じ推論をしていたようだ。ツヴァイの狙いはポイントなのではないかと言う予想。
二人して同じ事を考えていたのかと、思わず私も彼女の笑い顔につられて微笑んでしまう。
「童謡については原典を当たるのが最適かと思います。原典の場所については心当たりがあります。ただ、それはガーン達の足取りのヒントというよりも、その目的とかを探るのに役立ちそう、という感じですが。もっと直接的な足取りのヒントになりそうな、ポイントの場所については、すいませんが私にはさっぱりで……」
「そっちはね……。心当たりがない訳じゃないんだ」
そう言いながら、私は不義の三席だった頃のリリー殿下の顔を思い浮かべていた。




