道中の雑談??
「まあ、ルスト師はそんな質素なお食事をなされているのですか? 教会所属の敬虔なシスターなみですよ、それですと」
「そう、ですかね。あまり質素だと考えた事もないのですが。どうしても効率を重視してしまって、手早く済むものばかりにはなってしまっております」
私はアクター・カヘロネーと王都アレイスラ教会へと向かいながら、相変わらず取り留めのない話を続けていた。
王都アレイスラ教会にあるアクター・カヘロネーの部屋に行けば彼女の『加護』で内密の話が安全に出来るのだろう。それまで大事な話が出来ないからと、取り留めのない話をしていたのだが、なぜかアクター・カヘロネーとは不思議と話しやすい。歩いていて話が尽きることが無かった。
そして、歩いている間に、時たま道行く人からアクター・カヘロネーは挨拶を受けていた。ただそれも、朗らかに二言三言アクター・カヘロネーが返事を返すと、皆、満足そうに去っていく。
シスターという仕事柄なのだろうか、人とのつきあい方がとても巧みなのだろう。
「アクター・カヘロネーは街の人気者って感じがしますね」
「まあ、それは誉め言葉と受け取っておきますよ、救国の英雄殿?」
明るく笑いながら、そうきりかえしてくるアクター・カヘロネー。
「これは参りました。余計な事を言いましたね」
私は思わず苦笑いして答える。
「全くです。罰として私のことはカヘロネーとお呼び下さいな」
ベールの隙間から見える黒髪を耳にかける仕草をしながら、こちらを窺うようにしてアクター・カヘロネーが告げる。その切れ長の美しい目と、視線が合う。
「わかりました。それでは、私はルストで結構ですよ」
なんとなくその場のノリでそう返してしまう。
──まあ、タウラの友人だし、そんなおかしなことではないよな?
そんなやり取りをしていると、どこか見覚えのある建物が見えてくる。王都アレイスラ教会だ。
前は上空から直に降り立ったから、こうして地上を歩いてくると印象がだいぶ違う。
「さあ、こちらです、ルスト。まずはシスター・レーゼの所に寄ってしまいましょう……シスター・レーゼが変なことを言っても無視して下さって良いですからね」
一瞬だまり、急いだ感じで後半を付け足すアクター・カヘロネー。
これから借りたものを返してお礼を告げる相手を無視するのはなかなか難しいだろうと思いながら、私はアクター・カヘロネーに続いて王都アレイスラ教会の建物へと入っていった。




