カヘロネー、再び!!
「アクター・カヘロネー! お久しぶりです」
私はカリーンから王都アレイスラ教会が今回の依頼に関わっていると聞いた事を思い出しながら、アクター・カヘロネーへ挨拶をする。
「ルスト師、お久しぶりです。覚えていて下さったんですね。タウラから無事だと連絡がありました。彼女をお救い頂き、本当にありがとうございます。シスター・レーゼの経典はお役にたちましたか?」
──ああ。そういえば、この人はタウラの友人だったな。
「タウラの件はお礼には及びませんよ。私にとっても彼女は大切な友人です。それに、お借りした経典は本当に助かりました。ありがとうございました。お返しに上がらなければと思っていたところでした」
「それではこの後、教会に来ていただいた時に是非シスター・レーゼに。お持ちでしたらですけれど」
「ええ。持ってきております。この後はアレイスラ教会に?」
私はフローレンを放ったままカヘロネーと話し込んでしまっていたことに気がつく。
慌ててフローレンの方をうかがうと、彼女は不思議な笑みを浮かべていた。
私の視線に気がついたのか、鷹揚に頷き、ドアを示すように手を動かすフローレン。
どうやら退出を促しているようだ。
──うーん。あとはアクター・カヘロネーに聞けって事か? 結局、何一つ具体的な話しをフローレン殿下からは聞けなかった。この小切手も、フローレン殿下や王家の痕跡を示す物は一切なしと。
結局、今回の依頼がフローレン第一王女殿下からと示すものは関わった者の証言だけとなるようだ。今回の私の動き次第で生じる問題があった場合に、責任はアドミラル領に帰結されてしまう予感がする。
──それを含めてのこの額、なんだろうな。さすが引きこもり姫。表に出るのはとことん嫌って事か。
不思議な笑みを浮かべたままのフローレンに、私は皮肉を込めて丁寧にお辞儀をすると、身をひるがえし外へと向かう。カヘロネーは、少し慌てた様子で私の後を追ってきた。
建物から出て、カヘロネーが出てくるのをしばし待つ。外には、私をここまで案内してくれた案内人の姿は見えない。
「はあ、緊張しましたね?」
わずかに遅れて出てきたカヘロネーが話しかけてくる。
「そうですね。なかなか一筋縄ではいかない御仁のようですね、殿下は」
私が同意したのが嬉しかったのかにっこりと微笑むカヘロネー。
「さあ、教会へ案内しますね、ルスト師。外でする話でもありませんし」
歩きだすカヘロネーの横にならび、私たちはとりとめのない事を話しながら王都アレイスラ教会へと向かった。




