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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第四章

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地上へ!

 ローズの蔦が閉じきる前にちらりと見えた、空間の穴は相変わらず健在のようだった。

 しかしすぐにローズの蔦は完全な球となり私の周囲を一分の隙なく覆いつくす。

 真っ暗になる視界。

 しかし振動と音でわかる。


 ローズの蔦ごと、洞窟の壁へとめり込んでいくばかりか、そのまま壁の中を押され、移動し続けているようだ。


「ローズっ、すまない。耐えてくれ」


 出来るだけローズの負担にならないように、私は折り曲げられるだけ体を曲げて、少しでも小さくなる。


 ──蔦の球の表面積が少ないほど、ローズへの負荷が少ないはず……


 摩擦で蔦が引きちぎられる、ブチブチという音。私の隣に浮かぶスクロールから追加で溢れてくる新しいローズの蔦の擦れる音。

 ガリガリと岩が削れる音。


 それ以外にも聞いたことのないような音が、いくつも暗闇に響く。


「おいおい、ツヴァイには制約があったんじゃないのか……」


 思わずそんな愚痴が口をつく。

 そっと手の下のローズの蔦が、指へと絡み付く。


「ローズ……」


 私は、今すべきことに集中する。そして、ふとした思いつきが一つ。

 それをローズへと手早く伝える。


 手探りで取り出した追加のスクロール。


「《多重展開》《顕現》ローズ」


 もう一つのスクロールから溢れるローズの蔦。

 その蔦が再び私の周囲を覆う。

 二重の蔦の球の中に入った状態となる私。


「今だ! ローズっ」


 私の声に合わせ、外側の蔦の棘を生やすと、外側の球を回転させ始めるローズ。

 固く固く生やした棘が、回転しながら岩を削っていく。


 その球が高速で回転する音と、岩が削られていく音。

 その音の代わりに、蔦が引きちぎれる音が聞こえなくなる。


 その時だった。私の指へと絡んだ蔦がぎゅっと手を握ってくる。

 それは合図だった。

 ローズの蔦で出来た球がほどけ、一気に視野が開ける。

 目をさす日の光。


 どうやら無事に洞窟から地上へと抜けたようだった。

 斥力場の圧力も、消える。

 私はローズの蔦に手を支えられながら、少し飛び出した上空から地上へとゆっくりと降り立った。






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