制約??
「やれやれ。それが出来たら本当に良いのだけどね。残念なことに、僕たちも制約の虜なのさ。悲しいかな。なんにしても一度目の警告は確かに伝えたからね、ルスト=シュトルナ=ハーツニクス君。もう一つ、言っておこう。二度だ。警告は二度、発せられるだろうよ」
大仰な仕草でそう伝えてくるツヴァイ。
──僕、たち、か。ふーん。それと、制約と言うのが気になるが、何にしても私へ直接は手を出してこないとみていいな。だとすると、タウラを拐ったのが、警告に従わなければ、周りの人間には危害を加えると言うことか。
私はゆっくりとそのツヴァイの言葉に頷きながら、内心は安堵していた。
今すぐ、この場で争いになる可能性が少ないことに。
時間さえあれば、何らかの手を打つ余地がある。事象の分析、解明、応用は錬金術の根幹だ。
目の前のツヴァイという存在が如何に規格外であれ、完全無欠で無いことも知れた。
であれば、次にあいまみえる時までに、必ずや、光明が見えるはずだ。
「わかりました、勇者を育てるなというのは、セイルークにこれ以上ポイントを与えるなということですね。それでツヴァイさん、勇者とは何なのですか?」
「何を今更! ハーツニクスに連なる者なら当然知っているだろうに。たった千年前のことではないか! 始祖の竜にして最初の勇者たる存在より錬金術を授けられた、シュトルナ=ハーツニクスの末裔よ!」
急に目の前の存在から感じる圧が強くなる。
その威圧感だけで、息もできないぐらいだ。
私が質問を間違えたか、と焦った時にはもう手遅れだった。
どんっ、と肘掛けへと拳を叩きつけるツヴァイ。
押し寄せる圧が、今度は本当に斥力場の実体を伴って私の体を後方へと押す。
いつの間にか消えていた椅子のあった場所から、まっすぐに後ろへと。その先の空間の穴を越え、不義の三席の洞窟まで押し出される。それでもまだ止まらぬ、斥力場の力。
「っ! 同時展開、《顕現》ローズっ!」
とっさにスクロールからローズの蔦を呼び出す。ばっと溢れるように飛び出した蔦が私の体の周りで球形に形成される。
ローズの蔦の球は、私を内に包んだまま、洞窟の壁へとめり込んで行った。




