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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第四章

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 ノイズ混じりだが、それは間違いなく、タウラの声だった。


「タウラ! 無事か?! どこにいる?」


 私はガバッと顔を上げると、すがりつくようにして、タウラの剣へと問いかける。


「本当に、ルスト、なのか。急に──ナイフから、声がしたから──。──私は──無事──」


 剣先に刺さった浄光の光の瞬きに合わせ、タウラの声が途切れながらも聞こえてくる。


「ここは、とても寒くて、息苦──それに、真っ暗──」


 しかしすぐに、途切れる頻度は上がり、その声も段々と小さくなっていく。


「──眩しい光が────」


 そこで、ぷつんと音が途切れる。

 ざーというノイズだけが流れた後に、そのノイズすらも完全に消えてしまう。

 少し離れたところからする、ひゅーひゅーという耳障りな呼吸音だけが、訪れたその静寂を破る。


「タウラ! タウラ! 聞こえるか?!」


 私は問いかけた後、必死に耳をすませるが、それ以上の応答は、なかった。


 私はタウラの剣を強く強く、握りしめる。

 その剣先に刺さった浄光の塊は、最初より一回り二回り、小さくなっていた。


 地面に突き刺したタウラの剣をゆっくりと抜くと、私は丁寧に丁寧に、リュックの中へと仕舞う。ヒナゲシとタウラによって名付けられたその剣──その由来となったヒナゲシの、繊細で華奢な花を扱うように。


 足元には小さくなったままの浄光の塊がまだ残っている。どうやら呪術に縛られ、消えることが出来ないようだ。


 私は右手に呪いをまとわせ、むんずとそれを掴むと、ポーション用の予備の瓶に押し込むようにして詰め込む。蓋をすると、封印のスクロールを巻き付け、さらに地面に溜まった自らの血に人差し指を浸し、呪いを封印に上乗せしておく。


 ──これは、何かに使えるかもしれない。あとは、あれか。


 私の視線の先には、うずくまったまま、ひゅーひゅーと呼吸を続けている真っ黒なもの。『不義の三席』に取り込まれ融合していたリリーの体だ。


 血を流し過ぎてふらふらする体でそちらへと近づく。

 歩きながら、立て続けに何本も何本もスタミナポーションをあおり飲み下す。


「はあ、はあっ。流石にポーションを飲み過ぎ、だよな」


 空の瓶を雑にリュックに突っ込み、その手で《転写》のスクロールを取り出す。


「《展開》──文字化けがひどい。本当に表層の部分しか、読み取れない──」


 私は、役に立つ情報の得られなかった転写のスクロールから視線を外すと、じっと足元に転がるそれを眺める。


 ──考えろ! 考えろ! 最優先事項は、タウラを取り戻すことだ。そのために最適な行動をする。感情に、流されるな。


 私はリュックに手を差し入れる。指先に触れたひんやりとした硬質な触感のそれを取り出すと、足元に転がるそれの上にかざした。





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