手がかり!!
私は浄光が完全に支配下に入った事を確認すると、そっとタウラの剣を引き抜く。
──内臓には達していない、はずだ
急いで予備のポーションを頭からかぶり、とりあえず止血だけしておく。
血を失いすぎてふらふらするが、それは後回し。
「急が、ないと──」
やけに重たく感じる剣を逆手に構え、呪術によってとらえた浄光の塊へと突き立て、そのまま洞窟の床に縫いつけるように剣を差す。
押さえつけられた浄光がバチバチと怒ったかのように縫い付けられた地面の上で暴れる。しかしどうすることも出来ないようだ。
私は浄光がしっかりと囚われている事を確認すると、空いた両手を使って、急いでこの後使う予定の物を次々とリュックから取り出していく。
「《展開》《展開》《展開》《展開》《展開》」
空中で広がるスクロール。
「《研磨》」
在庫していた魔石を一気に粉砕、粉にして持ってきていた純水にとかし、魔導回路用の溶液を作る。そしてそこへ自らの血に呪術を込めた物を一滴、垂らす。
そのたった一滴で、溶液は薄闇色に変化する。
「《解放》重力のくびき《対象》魔導回路溶液《転写》《投影》」
魔導回路が記載された、魔道具仕様の愛用の本をかざす。
「《索引検索》通信回路《実行》」
剣の刃に、魔導回路が書き込まれていく。
今回使うのは、最新式の情報通信装置の本体である植物タイプの錬成獣に書き込んで使用する魔導回路だ。
──本来であれば、同一株から株分けされた送受信両方に魔導回路を書き込まなきゃいけない。だが、今回はそこを共感呪術で強引に押しきる!
魔導回路の書き込みが終了する。
剣の刃に、魔素がうっすらと輝く。
「これで良いはず。タウラに繋がってくれ……」
それは錬金術と呪術のいびつで即席な錬成品。
しかし私には確信があった。タウラを連れ去った浄光と私が今支配下に置いている存在の近似の度合い。
そして血を仲立ちとした共感呪術と錬金術製の情報通信技術の融合の可能性。
論理を越えた領域で、これで上手くいくはずだと言う確信だ。
しかし剣の輝く魔素からも、囚われた浄光からも反応がない。
「……そんなはずはっ」
血の流し過ぎでふらつきながら剣の握りを両手で握りしめると、思わず剣の柄頭に額を当てるようにして座り込んでしまう。
『ル、スト?』
その時だった。
剣から声が聞こえてきた。
本日、コミカライズ版、第三話①も更新されております!
コミックウォーカー、ニコニコ静画にて、まだまだ全話無料で見れるようです。
是非是非、そちらもよろしくです!




