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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第四章

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リリーとの戦闘!!

 手のひらへと突き抜ける灼熱感。


 スクロールが、こぼれでた私の血を吸う。その染みた血へと導かれるかのように、ナイフの刃から溢れた浄光がはいずりまわる。スクロールの上で、私の血を貪るように浄光が踊る。


 焦りをにじませたリリーが、自らの剣を抜きはなち、こちらへと駆け寄ろうとする。


 阻む、硬質な金属音。


 リリーの姿が、タウラの頼もしい背中に隠れる。二人の剣が打ち合わされる金属音。


 そして二人の浄光が互いの身を滅そうと、空中で激しくぶつかり合うのが、タウラの背中越しに見える。


「ふぅ、ふうー。っはぁっ!」


 私は気合いをいれ、突き刺したナイフを手のひらから、一気に引き抜く。

 さらに激しく吹き出し、飛び散る血。


 その血をさらに吸ったスクロールが、躍りまわる浄光によって変質していく。

 空中に浮かぶ、結合したスクロール。その全てのスクロールの文字が順番に青白く、光り始める。


 急速に書き変わっていく、全てのスクロールの文字。

 それらスクロール自体も、浄光の光におおわれていく。


 ダンジョンのルールの強制力によって阻害され、今にも崩壊しそうだったヒポポブラザーズを顕現する結合魔法陣が、急速に安定していく。


 その魔法陣すらも青白く変質していた。


「そうは、させませんっ!」


 リリーの必死そうな、切羽つまった叫び声。

 見ればそこには、剣を振り抜いた姿勢のリリーと、そこからこちらの足元へと弾き飛ばされてくるタウラ。

 リリーの剣の浄光がまるで小さな竜巻のように渦を巻いている。タウラはあれに打ち負けてしまったようだ。

 とっさに私は身を屈めると、怪我をしたままの右手でタウラを受け止めてしまう。


 ずしりとした重さとともに、右手に再び走る激痛。


 リリーはニヤリと嗤うと、竜巻をまとった剣を地面に叩きつける。その反動で、体を回転させながら跳ね飛ぶようにして、こちらへと急接近してくる。


 しゃがみこんだままの私へと、回転のままに振るわれるリリーの鋭い斬撃。


 それを私は意識せずに、屈んだまま左手のナイフで受ける。


 響かない、金属音。


 ──あれ、大した事ない?


 いくら呪術師の近接戦闘の経験を継承しているとはいえ、しょせん、私の直接戦闘の技量は付け焼き刃に過ぎない。しかも姿勢も万全とは言いがたい。

 うまく受けられただけでも奇跡的なはずが、斬撃の衝撃すら、何故かあまりない。


 リリーと、目が合う。

 再び焦り顔のリリー。その視線が、私の手の中のナイフへ。

 驚愕に、見開かれるリリーの瞳。


 何を驚いているのかと、私も逆手に持った自分のナイフを見てみる。


「……ローズ?」


 私のナイフの浄光が、まるで、ローズのイバラの蔦のような形をとって、リリーの剣を受け止めていた。


 ──試しで作っただけのはずだったナイフなんだけど。私の血と呪いを再び吸ったせいなのか。思わぬ事になってる……


 まるで本物のローズのように、浄光がナイフからスルスルと伸びると、剣を握る手を通りこし、リリーの腕にまで絡み付く。


 私はナイフを持つ手首を、本当にひょいっと軽く返す。するとそれだけで、私の手首の動きに連動したかのように、浄光の蔦が大きく振るわれる。


 ぶんっとリリーが投げ飛ばされていった。


 こちらを驚愕の表情で見つめたままのリリーの顔が、空中を遠ざかっていく。


 それとタイミングを同じくして、ついに完成した結合魔法陣からは、青く輝く光をまとったヒポポブラザーズの最初の一匹がまろび出てきた。

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