白百合!!
「地ゆれ! どうして?!」
タウラの驚きの声。私たちは二人して身を低くし、揺れに耐える。
「ああ。ダンジョンの中なら揺れないはずなのに……。いや、まさか。それだけ大きな地ゆれが、外で起きてしまっている?」
「っ! ルスト! それじゃあ、外の被害は既に──」
「だめだ、タウラ! 焦っても、どうにもならない!」
思わず立ち上がりかけたタウラを私は押し止める。落下物になりそうな物は周囲には無いとは言え、危険だ。
足元をすくわれて転んだタイミングで、飛行タイプのモンスターに襲撃される可能性もある。
──いや、だがおかしい。私の計算では、こんなにはやく、壊滅的な地揺れが起きるはずがないんだ。もしかして、どこかで計算ミスをした? それとも……
私が悩んでいる間に、地揺れが収まる。
どちらからともなく顔を見合わせる私とタウラ。
「慎重に。それでも最大限、急ごう」
◇◆
ダンジョン内の現在地を把握し終えた後は、すぐだった。
一本道の下り坂を進む。
記憶が正しければこの先に、『不義の三席』がいるはずだ。
下るにつれ、床や壁を濡らしていた湿気がどんどんと酷くなってくる。
そして、ついに到着したそこは、地底湖だった。ここまでは呪術師の記憶通り。
大きな空間の中央に広がる湖。天井や壁に空いた穴から、地底湖へと注がれていく滝がいくつもある。
地底湖の中央には一つ島。その島を覆い尽くすように一輪の巨大な白い花が咲いていた。
「あれが、原初の魔族の一人、『不義の三席』だ」
花を指差し、私はタウラに目標を伝える。
──やっぱりかけられた呪術は、完全に解かれているようだな。
「タウラ、一気に決めよう」
「ああ。打ち合わせ通りに」
事前の打ち合わせは、私が物量で《不義の三席》の動きを封じ、タウラが浄光をまとわせた剣でとどめを指すというもの。
その打ち合わせ通りに私が複合展開させたスクロールから、ヒポポブラザーズを《顕現》させようとした時だった。
声が聞こえてくる。
「待ちくたびれましたわ、ルスト様。タウラ殿」
その声に合わせ、『不義の三席』の本体たる花から、いくつもの根のような物が伸びてくる。そのまま島から地底湖をこえ、私たちの方まで伸びてくる根の集合体。
絡まりあった根が、目の前でほどける。
「リリー殿下っ?! どうして……っ」
現れた人物を見て、タウラが驚きの声をあげた。




