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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第四章

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火山の麓に到着!!

 到着した火山の麓。そこには、地ゆれによる崩落で見る影もないが、遺跡らしき物が残っていた。白っぽい石を建材にしていたのだろう。残骸を見ただけでも、さぞや壮麗な建物だったのが想像できるが、いまや見る影もない。


「ここだ。タウラ、足場が悪いから、気をつけて」


 ヒポポから降りて、声をかける。飛び散った大小様々な白い石がそこかしこに散乱している。

 ここまで足場がひどいと、ヒポポには一回待っていてもらった方が無難だろう。


「ああ。しかしこれは地下は大丈夫なのか、ルスト」


「外側は後の時代に作られたものだから崩落してしまっているが、地下にあるのはダンジョンだ」


「ダンジョン?」


「ほら、領都プタレスクの近くにあっただろう。『ポイント』が眠っていた場所だよ。──そういえばタウラは初めてか」


 私は遺跡の瓦礫へと近づきながら説明する。


「呪術師の知識によると、創世と同時に形成されたダンジョンには、いくつか種類があるみたいなんだ。ここは実際の地下空間自体がダンジョンとして固定されているタイプらしい。それでもダンジョンだからね。地ゆれ程度じゃ壊れないよ」


「よくわからないが、ダンジョンというのはそんなに頑丈なのか。そういえばルスト。ダンジョンとやらに入るには鍵がいるんじゃないのか?」


「ダンジョンって、言わば世界(サーバー)自身が作った物だからな。生半可なことじゃびくともしないはずだ。鍵は、必要だね」


 私はそう答えると、ニヤッと笑ってポケットから棒状の魔晶石を取り出し、タウラに見せる。


「複製してみた」


「……さすがだな」


 タウラの半分呆れたような称賛を軽く流しながら、位置を確認する。


「たぶん、ここだな。うーん。ヒポポブラザーズに掘ってもらうには少し手狭だよな」


 そこにはひときわ大きな柱が何本も倒れこみ積み重なっていた。


「ルスト! 何か聞こえる!」


 私が考え込んでいると、タウラから警告の声が上がる。

 その時だった。私の足元の地面が激しく揺れ、ボコッとへこむと何かが飛び出してくる。


 私は無意識のうちに、とっさに後ろへと飛び下がる。着地する場所に瓦礫が無い事を視野の隅で確認。


 顔を横に振ってふわっと浮いた前髪が、何かに切り裂かれたのか、飛び散る。

 その何かの軌跡を再び視野の隅で把握、左後ろへと角度を変え、もう一回、飛び下がる。

 右手の手袋を振り外し、上空へ放り上げる。


 地面から現れたのは敵だろう。

 その敵の二撃目が、私から見て右前方下側から迫る。


 しかしちょうどそこは、私の右手を振り下ろせる位置。

 全力の呪術を右手にまとわせ、ちょうど振り下ろそうとした時だった。私の体、すれすれの位置を後ろから剣が突き出されてくる。


 脇の下を潜るようにして差し出された剣先が、敵を貫き、空中に縫い止める。


 タウラだ。


「ルスト、すまない。私は、ルストの剣なのに。またしても危険にさらした──」


「いや、ちゃんと間に合っただろ」


 私は落ちてきた手袋を空中で掴むと、タウラの剣先に貫かれた、四本腕の敵を指差す。そしてその謝罪を否定する。


 敵は霊廟で襲ってきた不義の三席の配下と非常に似ているが、大きさは三分の一以下だ。


 ──小さい分、速かったな。四つある爪もなかなか鋭い。まあでも、対処できる程度で良かった。


 私が切れた前髪を触りながら敵の戦力に思いをはせていると、ボフッと音をたて、敵が煙と化す。どうやら息絶えたようだ。


「なあ、ルスト。一つ聞いていいか?」


 剣を納めながらタウラがおずおずと聞いてくる。


「ルストはなぜ、先程の敵の攻撃が避けれたんだ? それどころか、反撃までしかけていたよな。ルスト、運動すら苦手だろう?」


 ちらりと私の右手に向けられるタウラの視線。その瞳にゆれる、疑問とわずかな不安。


「え、なぜって──。なぜだろう?」


 私はその質問に虚をつかれ、思わずそんな間抜けな返答をしてしまった。





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