共振増幅!
「おっと」
私は思わず立ち上がってしまい、揺れによろけてしまう。すぐさま肘を横からつかまれる。ひどい揺れの中、それだけで一気に安定する体。見るとカリーンが支えてくれていた。
「なにやってるんだ、ルスト。念のため机の下に伏せるぞ」
「ああ、すまない」
肘を掴まれたまま二人して机の下に潜り込むと、一足早くロアが居た。キョロキョロしながら、抱えていた菓子を食べている。
「二人とも、この後忙しくなる。これ、あげる」
抱えていた菓子を差し出すロア。
その両目に宿る魔素の煌めき。遠視と透視の魔眼を併用しているようだ。
「ありがたくいただくぞ。被害はどうだ、ロア」
また、一口で丸飲みするように菓子を食べ、カリーンがロアにたずねる。
「プタレスク内は大きな被害は無し。ルスト師の錬成獣のイブは本当に優秀。ただ、揺れは今回の方が大きい。見える範囲でも、領内数ヵ所で、がけ崩れが起きている」
私も一つ、ロアから菓子を貰うとありがたく頂く。揺れながら食べるのはなかなか難しい。
「ふう。この地ゆれだけど、原理はよくわからないけど、だんだん大きくなっていくはずだ」
私は揺れに苦労しながら食べつつ、そう伝える。この後いつ食べれるかわからない分、栄養補給は重要だ。
「それ、やはり呪術師の記憶か」
「そう」
何とか食べ終わる。なぜこれをカリーンが一口でいけるのか、謎だ。体のわりに口が大きいのだろう。
「つまり──」
「ああ。時間制限が、ある」
そのタイミングで、地ゆれがようやくおさまる。私たちは顔を見合せると、状況の対処に向け、動き出した。
◇◆
「折角、レンガ作りの建物が増えてきたところだったんだが、しぱらくはイブの建物頼みだな。ルスト、ハーバフルトンだが」
大量に積み上げられた書類の山の向こうからカリーンの声がする。
「ああ。これからセイルークで向かう。イブの妹分の錬成獣の作成がハルハマー師の旗振りで、もう少しで完成だ。しかしハーバフルトンだと、ここみたいに魔素の供給源がないからな。長くは持たないぞ」
「この地揺れが限界を迎えるまで持てばよいさ。それまでに『不義の三席』を何とか出来なかったら結局一緒だろう?」
地揺れが収まり、一度カリーンたちと別れた私は再びカリーンの執務室へと来ていた。
このままゆれが断続的に強くなっていく事への一時的な対処として、ハーバフルトンにも竹製の建物を生やしにいく。その前の報告だ。
「それで、『不義の三席』の居場所だが、隣国の地下で間違いないんだな」
ひょこっと顔を半分出して、カリーンがきいてくる。
「そのはずだ。ただ、封印されて数百年はたっているっぽい。正確な場所は──」
「面白そうなお話をされてますね、ルスト様」
私たちの会話を遮るように背後から声がかかる。それはまだプタレスクに滞在していたリリー殿下の声だった。




