アンノウンのコア
「これ、カッコつけて一人で来たのは、失敗だったかも……」
私はスリーカウントの二本目、『逆転』の効果を持つポーションをポーションホルダーから取り出しながら呟く。
ちらりと後ろを見ると、ハーバフルトンの防衛は順調な様子。
セイルークによる先制攻撃と、モンスター避けの結界の利用は上手くいっているようだ。
──とはいえ、一人で身軽な方が良いし、
よそ見をしていた私の足を、アンノウンのほどけた黒い紐状の呪いが掠める。
一瞬の灼熱感。そしてアザのような紋様が現れかけて、消える。
私は、全身にこっそり魔導紋を描いていた。そしてスリーカウントとは別に、その魔導紋に自動でポーションを供給する専用のポーションホルダーをもう一本、腰に巻き付けていたのだ。
呪いが触れる度に、自動で全身を覆うポーションがその傷を、呪いを消していく。
再び、今度は紐状の呪いが額を直撃するが、再びその痕跡は消えていく。
私の低級ポーションによって。
「これ、本当に効果絶大だ。完全なる純水を使っているとはいえ、単なるありふれたポーションなんだけど、十分過ぎるな」
私は額をゆっくりさすると、気合いを入れ直す。
「さて、ヒポポ達が限界だ。皆、ありがとう『送還』」
スクロールへとかえっていく、ヒポポと残りのヒポポブラザーズ達。
私はそれを見届けると、アンノウンの中心部、呪いの紐が無数に飛び出している根本に向けて歩きだす。
近づくにつれ、私の体へと直撃する呪いの紐の頻度が劇的に上がっていく。
余裕を見て、魔導紋と連動しているポーションホルダーのポーションを新しい物に入れ換えていく。
みるみる消費されていくポーション。しかしリュックサックの中にはまだまだ無数のポーションを詰めてきてある。
その物量で力押ししながら、私はついにアンノウンのコアとでも呼ぶべき中心部間近へと近づくことに成功する。
ここまで来ると半分呪いに飲み込まれているような物だ。常にポーションが発動し続けている。
私はポーションホルダーの入れ換えの隙を見て、スリーカウントの二本目をアンノウンのコアへと注いだ。




