表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

198/462

side アーリ 2

タイトル変更記念で、本日二話目の更新です

 ハーバフルトンへと着くと、そこは今まさに、戦端が開かれようとしていました。


 ハーバフルトンへ迫る、真っ黒な小山のような存在。あれが、アンノウンでしょう。

 その小山の下から這い出るようにして、次々に現れるモンスター達。その体は真っ黒な血管のような物で覆われています。


 ハーバフルトン側はそれに対し、防御用の隊列です。その先頭には漆黒の隕鉄の鎧をまとったカリーン様の姿があります。


 戦場の気配に、未来視の魔眼がうずきます。

 私は片眼鏡の魔導具を操作し、視野を絞ると未来視の魔眼を僅かに発動させます。

 これほどの大規模な戦闘の気配、ルスト師から頂いたこの魔導具がなければ到底耐えられなかったでしょう。ルスト師にはいくら感謝しても、しきれません。


「モンスター避けの結界の縁に沿って陣を張っているのね。結界を越える際に、僅かに怯む隙が出来ている」


 私は二重写しになった世界で、少しだけ先の世界の情景を垣間見ます。

 どうやら戦闘は有利に進みそうです。


 その時でした。ルスト師が、一人でカリーン様の隣からまっすぐに歩きだす姿が見えます。アンノウンへと向かって。


「アーリ、どうする。あいつはまた何かやらかす気だぞ」


 進み出たルスト師を同じように眺めながら、ハルハマー師がたずねてきます。


 私は未来視の魔眼を最大限まで解放し、ルスト師の未来を見ようとします。しかし、いつものようにその未来ははっきりと見ることが出来ませんでした。


 ルスト師が、セイルークと契約してからは、常にこうです。ルスト師の起こしうる、常人とは比べ物にならないぐらいの無数の未来が重なりあって見えてしまい、上手く判別が出来ないのです。


「カリーン様の元へ向かいましょう。ルスト師にはきっとお考えがあっての、単独行動のはず」


 私たちがカリーン様の元へと移動を開始したタイミングで、アンノウンから這い出てきたモンスター達が一気に動き始めます。

 その牙の先にはルスト師。そしてその先のハーバフルトンへと向かって。


 ルスト師が何本ものスクロールを発動させたようでした。

 複数のスクロールによって、空中に巨大な魔法陣が描かれます。その巨大な魔法陣から、ヒポポブラザーズ達が、こちらもあふれでるようにして次から次へと顕現していきます。


 ヒポポブラザーズたちはルスト師を中心にして密集していきます。

 ルスト師の姿が、押し上げられるようにしてヒポポブラザーズ達の上へと移動するのが見えます。


 そのまま、ヒポポブラザーズたちと黒き血のモンスター達が、激突します。

 それは真っ黒で毒々しい海に突撃する、巨大な船のようでした。船が波を切り裂き突き進むように、ヒポポブラザーズ達の集団が黒き血のモンスター達を弾き飛ばし、踏み潰し、アンノウンへと迫っていきます。


 ヒポポブラザーズ達によって弾かれたもの、もともとヒポポブラザーズ達を避けて進んだ黒き血のモンスター達が、カリーン様たちの形作る防御陣へと迫ってきます。


 私とハルハマー師は、滑り込むようにしてその防御陣、カリーン様の近くへと合流が間に合います。


「アーリ、それにハルハマー師! 良いところに戻ってきたな。これから楽しい楽しい迎撃戦だぞ。皆も、早い者勝ちだからな。自分の取り分が少ないと後から文句を言うなよ」


 カリーン様がこちらをちらりと見て、お声がけ下さります。そのまま隕鉄の極太の剣を掲げ、皆を鼓舞します。


「イエス、マム!」


 皆の返答に合わせるかのように、戦場に野太いドラゴンの鳴き声が響きます。

 激しい羽ばたきの音。背後から現れたのはセイルークでした。

 そのあぎとにはすでに障壁が展開され、全身の鱗が輝いています。


「あ、私の獲物……」


 そんなカリーン様の呟きが聞こえた気がしましたが、すぐにセイルークから放たれたドラゴンブレスが周囲の光と音を圧倒します。

 私たちへと迫っていた黒き血のモンスター達が、放たれたドラゴンブレスで薙ぎ払われます。

 抉れる大地。

 巻き起こる砂塵。


 私がドラゴンブレス着弾の衝撃波をやり過ごし顔をあげると、セイルークが急上昇していく後ろ姿が上空に見えます。その背後に迫る、アンノウンから放たれた黒い槍。

 そのままセイルークと黒い槍は上空、雲の中へと見えなくなってしまいました。


 地上に視点を戻せば、収まりかけた砂塵のなかから、ボロボロのモンスター達が続々と現れてきます。


「よしよし。良い子だ、セイルーク。ちゃんと威力を犠牲に範囲を広くしてぶっぱなしてくれたな」


 荒々しい笑顔を浮かべ、嬉しそうなカリーン様。結界の縁を越えた黒き血のモンスター達へとかけより、楽しげに剣を振り回しています。


「皆も、カリーン様に続け!」


 私も大声を張り上げ、皆へと呼び掛けると槍を掲げて目の前の黒き血のモンスターへと躍りかかりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 [一言] アンノウンが槍を飛ばす描写を見て思ったこと。 こいつパタポンだ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ