お試し!!
「ギリギリ、でしたね」
「危なかった」
「二人とも、すまない」
私たちは再び空の上にいた。迫り来るモンスターの群れに追い付かれる寸前に、何とか最低限の調査を終え、全員無事にセイルークに乗ることが出来た。
数体、飛行型の変異種モンスターもいたが、ロアが魔素の槍を飛ばして全て処理済みだ。
眼下には無数の変異種モンスターがひしめき合っている。遠くから見ると、黒々とした海のようにすら見える。
「おかげであれを調べるための試料は手に入れられたよ。二人とも、ありがとう」
「あれ、ルストはなんだと思う?」
「今のところ、さっぱりだ。とりあえず、アンノウンと名前だけでもつけとこうか」
「ぎゅー?」
私たちが体勢を整えながら、そんな話をしているところへ、セイルークの鳴き声。
絆を通して伝わってくる内容に、私はしばし考え込む。
ロアとタウラにもセイルークの提案と、そして自分の考えを伝える。
「ぎゅ!」
セイルークから伝わってくる肯定の意思。
私はロアとタウラに、しっかり掴まるように伝えると自分もセイルークの背中にしがみつく。
セイルークが、ばっとその翼を広げる。至近距離で輝く、真っ白な鱗が眩しい。大量の魔素が翼から放出され、それが一枚の障壁を形作る。
そのまま障壁が細めの円錐形に変化していく。
「これが、魔族の配下を一撃で消し飛ばしたという新しいドラゴンブレスっ!」
タウラの驚嘆の声。
そう、セイルークから眼下の変異種モンスター達にブレスを放って、数を減らしておくかと提案されたのだ。
それに対して、前の時よりも障壁で作る光の絞りを、細くして放ってみてとお願いしてみた。
セイルークのあぎとが、大きく開く。全身の鱗から光が集まり、そして煌々とした輝きが放たれた。
渦巻く光が大地へと叩きつけられる。その捻れ具合は前回以上に激しくなっていた。
光の奔流がぐにぐにと暴れるようにして大地を抉り、大きな傷跡を残していく。
降り注いだ光が、大地にあるもの全てを、消し飛ばしていく。
当然、あれだけひしめき合っていた変異種モンスターは、跡形も無い。
捻れ、暴れた光の奔流がそのままアンノウンに襲いかかる。
アンノウンの黒い表面に、捻れた光が当たる。
その表面をいくばくか削り、しかし同時にその黒い何かに光が吸い込まれていくようにも見えた。
「少しは効果あった、のか?」
私がそう呟いた時だった。
急にセイルークがブレスをとめ、力強くはばたく。そのはばたきで一気に上昇するセイルークと私たち。
アンノウンの体にさざ波がたったかと思った次の瞬間、無数の黒い細長い針のような物が四方八方に飛び出す。
上昇しながら体をねじるセイルーク。飛び出してきた針の隙間をぬうようにして、飛ぶ。
針をギリギリのところで完全にかわしきる。そしてそのままセイルークは一気にその場から離脱した。




