新しい仲間
「か、かわいい! かわいいですよ、ルスト様!」
リリー殿下の鼻息が荒い。
ぐいぐいと、自分の体で、私を横から押してくる。
被った骨の粉が降りかかってきて、うっとおしい。
それは手のひらの上のアンデッドドラゴンも一緒だったのだろう。
小さく、くしゃみをしている。
そんな迷惑に気づいていないのか、手のひらを出してくるリリー殿下。どうやら乗っけて欲しいらしい。
くしゃみをし終わり、こき、と首を傾けているアンデッドドラゴン。じーとこちらを見上げ続けている。
その間もぐいぐいと横から押し付けられてくるリリー殿下。
私はアンデッドドラゴンを、無言でリリー殿下の手の上に置く。決してアンデッドドラゴンを犠牲に、逃げたわけではない。
それでも、押し付けられていた体温と花のような香りから離れて、ほっと息をはく。
そこへ、セイルークが帰ってくる。
前足には真球の魔石。
それを私の前に置くと、セイルークは不思議そうな顔でリリー殿下の手のひらの上のアンデッドドラゴンに顔を寄せる。
じっと見つめ会う二頭のドラゴン。つんと軽くセイルークが鼻先でアンデッドドラゴンの小さな頭をつつくと、その体を咥えてリリー殿下から取り上げる。
「あっ……。まだ撫でて無いのですが……」
自分の背中にアンデッドドラゴンをのせて、ふいっと横を向くセイルーク。
私はそのままセイルークに絡んでいくリリー殿下を止めると、魔石を見せる。
「はぁ、残念です。上手くいけば契約出来たかもしれないかったのに……。あ、はい。ルスト様。その紋様はやはり魔族のものかと。最弱の七席と言われている魔族の紋様に見えます。確か最弱の七席は空をその棲みかにしていると言われていますね」
「やっぱりさっきの敵も魔族の眷属か。魔族と呪術師達はよほどポイント集めとセイルークの成長を阻止したいらしいな。そういえば『勇者』がどうとかって言っていたけど、リリー殿下は『勇者』って知ってる?」
「いえ、初耳です」
名残惜しそうにアンデッドドラゴンの方を見ながら答えるリリー殿下。
どうやら今出来ることはこれぐらいのようだ。皆が心配しているだろうから戻らないと。
「セイルーク?」
「ぎゅ!」
どうやらアンデッドドラゴンを連れていくつもりらしい。アンデッドドラゴンもセイルークの上からこちらを見下ろしてこくこくと頷いている。
こうして新しい仲間を加え、私たちは地上へと戻ることにした。




