質問しよう!!
「まったく無粋よのー。そなたも自分の肉の旨さに、もっと誇りを持てば良いのじゃ。アンちゃんがこれまで食べてきた中で、最も旨い肉をした生き物なのじゃぞ、そなたは。この肉の味の余韻だけでアンちゃん、あと数百年は存在を保てるわ」
いくら誉めちぎられようが、もう噛まれるのはごめんなので、私は粛々と契約の履行を迫ることにする。
「仕方ないの。約束は約束じゃ。それで最初の質問は、『ポイント』とは何か? だと!」
何故かびっくりしたような顔をするアンデッドドラゴン。
「いや、すまんすまん。『ポイント』は『システム』で使う数値で、何かしらの行動をすると貯まっていくし、貯まった『ポイント』で特典と交換できるじゃろ? うむ。アンちゃんの保有ポイントも、そっちのホワイトドラゴンの成長にも当然使えるぞ」
「え、『システム』? そなたもそっちのホワイトドラゴンと契約する際にシステムウィンドウを開いたじゃろ? そうじゃそうじゃ、その半透明のプレートじゃ。え、自力じゃ開けない!? まじか……。もしかしてお主らって『NPC』の末裔かの? 生まれながらのスキルは全く無いのか」
「アンちゃん、バリバリ文系脳なんで、あまり詳しく無いのだがのー。一応説明すると『NPC』というのはな、『プレーヤー』が──」
ペラペラと半分訳のわからない事を話しているアンデッドドラゴンの話を必死に聞いている時だった。
急に、目の前のアンデッドドラゴンの腹部から、巨大な漆黒の矢が飛び出す。
そのままその極太の漆黒の矢が、アンデッドドラゴンを地面に縫い付ける。
「かはっ」
アンデッドドラゴンから漏れる苦痛の吐息。
響きわたるセイルークの怒りの叫び。
リリー殿下が抜剣し、剣先で空を指し示す。
「ルスト様、上空、敵ですっ!」
いつの間にか周囲を覆っていた雲が消えていた。そしてその晴れ渡った空に敵とおぼしき存在の嗤い声が響く。
「うひゃひゃ~。勇者様が入ってくれたおかげで、長年探していた墓雲のフィールドに、ようやく入れたぜー。カモフラージュの雲が邪魔だったんだが、ありがとうよ、勇者様~。ついでに死んでくれるかな~」
見た目は巨体な蜂と人の混ざりもののような敵。アンデッドドラゴンを貫いているのは、巨大な蜂の針のようだ。
話しながら、モゾモゾと新しい針が生えてきているのが見える。
「け、契約者、殿。手を出せ、早くっ! この針がアンちゃんのポイントを、全て奪う、前にっ!」
臨戦態勢をとっていた私にアンデッドドラゴンが、苦しそうに話しかけてくる。
私は一瞬ためらい、しかしすぐに左手をアンデッドドラゴンに差し出した。




