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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第三章

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空へ!!

「リリー殿下、王家の忠実なる僕たるアドミラル家が家臣ルストが、御身を空の旅へとお誘い申し上げます」


 スタスタと近づき、片ひざをついての右手をリリー殿下へと差し出す。


 ──どうせ誘わざるをえないなら、せめてカリーンを認めさせてやる。リリー殿下が私のこの手をとったら、カリーン=アドミラルは王家公認の忠臣って事になるはず。


「っ!」


 カリーンの、息を呑む音が聞こえてくる。しかしカリーンも流石貴族、ここで口を出しては来ない。

 リリー殿下の供の騎士たちも無言だ。

 高まる緊張の中、にこりと微笑むリリー殿下が私の手をとる。


「お誘いありがとう。さあ、我が身を、空へ」


 私は、自らの手の平にリリー殿下の左手をのせたまま立ち上がる。そしてふと困る。


 ──どうやってセイルークに乗るか、考えていなかった……。


 ポケットと袖に忍ばせたスクロールを使えば何とかなるけど、それは流石にまずいかと思いとどまる。流石に王族を蔦に巻き付けて持ち上げるのは、不味いよな……


 絵面を想像してふるふると頭を振っていると、セイルークから絆を通してイメージが送られてくる。どうやらおすすめの乗り方があるようだ。


 私はそのイメージに従い、リリー殿下の手を引いてセイルークの後ろ足側へと近づいていく。

 ペタンと後ろ足を折り曲げ、座るセイルーク。その尻尾の、先がくるくるとまるまると、ちょうど人が乗れるぐらいの足場になる。


 ありがたく、その尻尾で出来た足場にリリー殿下と乗る。ぐっと体が持ち上げられる感覚。

 リリー殿下は歓声を上げている。どうやら単純に高いところが好きなようだ。

 リリー殿下が愛用している騎獣を思い出して一人納得していると、セイルークの背中、二対の羽の間へと近づく。

 まだ動いている足場からひょいっとセイルークの背中へ跳び移るリリー殿下。


 セイルークの背中、平らな部分は人の足裏の幅一つ分程度しかないようだ。

 そこに片足で上手くバランスをとったまま、くるりとこちらを向くリリー殿下。


「ルスト様もお早くっ!」


 声が弾んでいる。私はしっかり動きが止まるのを待って、慎重に乗り移る。

 座れる場所は二対の羽の間だけのようだ。前に横座りで座ったリリー殿下の、不本意ながらすぐ後ろに座る。

 セイルークから、掴まるようにイメージが送られてくる。コブのような突起がちょうどあるので腕を伸ばす。


 伸ばした私の二の腕に、ぽんっとリリー殿下が頭を預けてくる。花の香りが鼻先をくすぐる。


「準備はよろしくてよ」

「……はい。セイルーク」


 私の声に応えるように大きく翼を羽ばたき始めるセイルーク。

 私たちをのせ、その身は空へと舞い上がった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 煙と何とかは高い所が好き(明後日の方を見ながら
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