例のあの人、再登場!!
「ぎゅるるー」
セイルークは体が大きくなっただけではなく、声まで低くなったようだ。鳴き声が野太い。
セイルークに『ポイント』を渡したあと、私たちは歩いて本部へと向かっていた。
その横を並んで歩くセイルーク。
私はそっちを見上げながら呟く。
「これ、どう見ても部屋に入らないよな。どうしよう、専用の建物、作るか……」
「ルスト師、やりすぎはダメですよ」
私の呟きにアーリの突っ込みが入る。
そうしているうちに本部が見えてくる。
なんだか騒がしい。
「ルスト師、開拓部隊が到着したみたいですっ!」
シェルルールの弾んだ声。
見ると確かに見知った顔が増えている。
「あれ、カリーンじゃないか。来るはずじゃなかったよな。また面白がって飛び入りで参加したのか……」
開拓部隊の中にカリーンがいるのが見える。
こちらに気がついた様子のカリーン。
巨大化したセイルークを見て驚いている。
私たちはカリーンの方へと歩いていく。
「カリーン様? 開拓部隊には参加しない予定でしたよね?」
私の声に、ぽりぽりとほほをかき、気まずい表情をするカリーン。
「いや、まあ、ちょっとな……」
珍しく歯切れが悪い。いつもなら開き直ってガハガハ笑うはず。そのカリーンの様子に嫌な予感がする。
その時だった。開拓部隊の人混みのなかから飛び出してくる人影。
「ルスト様! お会いしたかったです! まあ、ドラゴン殿も立派になられて。既に例のものは手にしたのですね。流石、救国の英雄ですね」
──げっ! なんでここにリリー殿下が! というか近いって!
私がじりじりと下がりながらカリーンの方をにらむと、片手を顔の前にあげてすまなそうにウィンクする。口がパクパク動いている。
口の形から判断すると、「だめだった」と言っているようだ。
──いやいや、ダメだったじゃないから! 頼りになる上司様だと感謝した私の気持ちを返してほしいわっ!
私は内心カリーンに突っ込みながらひきつった笑顔でリリー殿下に返事をする。
「これはこれは、リリー殿下。こんな未開の地にようこそいらっしゃいました。こんなところでは何ですから、室内へご案内します。ただ、急なお越しでなにぶんお泊まり頂く場所の準備が……」
「ルスト様の部屋でもよろしくてよ」
「……ははっ。冗談にしてもあまりよろしくありませんよ。直ぐに準備しますので、わたくしはこれで一度失礼します!」
──いやいや、本当に冗談じゃないから。未婚の王族の女性を、例え開拓地とはいえ部屋にあげるなんて、良くてスキャンダル。最悪、命のやり取りだろ、それ。
私は冷や汗を拭いながら、その場を離れイブの元へと向かった。




