セイルークの変化
宝箱の蓋を閉じた瞬間、箱が光を放つ。
ふわりと浮かび上がる宝箱。
あんなにしっかり地面にくっついていたのが嘘のようだ。
真っ黒に染まり縮んでいく宝箱。それはどこかで見たことのある形へと変化していく。
そう、前に霊廟で見た真っ黒な立方体――ボックスへと変化していた。
「これがもしかしてボックス、ですか?」
アーリが少し離れてボックスを見つめている。眉を寄せた表情から、少し警戒しているのがわかって、微笑ましい。
「ああ。ボックスだ。アーリもシェルルールもありがとう。二人のおかげで三つ目も無事に手に入れられたよ」
私は二人にお礼をつたえ、ボックスへと手を伸ばす。前回同様、私の目の前に半透明のプレートが現れ、ボックスからプレートへと『ポイント』が流れ込んでくる。
書き換わるプレートの文字。それがちょうど止まったタイミングで、タイムアップの表示が現れた。
◇◆
地下遺跡を出て、地上へのはしごを登りきった私のもとに、セイルークが飛んでくる。
ぼふっと私の顔面に着地したセイルークが早速『ポイント』を頂戴と催促しているのが伝わってくる。
「セイルーク、わかったから落ち着いて! はしごから落ちるって」
はしごの下から見上げてくるアーリたちの視線が痛い。
なんとかはしごから落ちるのを免れ、顔面に張り付いたままのセイルークをひっぺがすと、また噛まれるのは勘弁と、いつものナイフの準備を始める。
その間に、私のあとからはしごを登りきったアーリとシェルルール。シェルルールは何が起きるのか興味深そうに私の準備する姿を見ている。
ナイフとポーションの準備を終えた私はアーリたちに離れるようにお願いすると、さっそく、そのナイフで自身の左腕を切り裂く。
待ちかねたとばかりに、振り切ったナイフの刃先から飛んだ私の血のしずくを、伸ばした舌でぺろっと空中で受け止めるセイルーク。
「キューーッ!」
現れる二枚の半透明のプレート。いつものように操作をする。
並んで立っているアーリがシェルルールに説明している。首を動かし目を必死に凝らしている様子のシェルルール。その様子に同じ研究を志すものとして私が共感を覚えている間に、セイルークへのポイントの受け渡しが完了する。
流石に慣れてきた私は傷跡にポーションをふりかけながらセイルークの様子をうかがう。
セイルークを包んでいた『ポイント』の光が収まる。
「……でっか!」
今回のセイルークの変化として、羽の枚数は増えてはいない。そのかわり、一回りどころではなく、セイルークの体が大きくなっていた。それは、人間を一人乗せて、飛べるんじゃないかと思えるぐらいの大きさだった。




