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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第三章

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セイルークの変化

 宝箱の蓋を閉じた瞬間、箱が光を放つ。

 ふわりと浮かび上がる宝箱。


 あんなにしっかり地面にくっついていたのが嘘のようだ。

 真っ黒に染まり縮んでいく宝箱。それはどこかで見たことのある形へと変化していく。


 そう、前に霊廟で見た真っ黒な立方体――ボックスへと変化していた。


「これがもしかしてボックス、ですか?」


 アーリが少し離れてボックスを見つめている。眉を寄せた表情から、少し警戒しているのがわかって、微笑ましい。


「ああ。ボックスだ。アーリもシェルルールもありがとう。二人のおかげで三つ目も無事に手に入れられたよ」


 私は二人にお礼をつたえ、ボックスへと手を伸ばす。前回同様、私の目の前に半透明のプレートが現れ、ボックスからプレートへと『ポイント』が流れ込んでくる。


 書き換わるプレートの文字。それがちょうど止まったタイミングで、タイムアップの表示が現れた。


 ◇◆


 地下遺跡を出て、地上へのはしごを登りきった私のもとに、セイルークが飛んでくる。

 ぼふっと私の顔面に着地したセイルークが早速『ポイント』を頂戴と催促しているのが伝わってくる。


「セイルーク、わかったから落ち着いて! はしごから落ちるって」


 はしごの下から見上げてくるアーリたちの視線が痛い。

 なんとかはしごから落ちるのを免れ、顔面に張り付いたままのセイルークをひっぺがすと、また噛まれるのは勘弁と、いつものナイフの準備を始める。


 その間に、私のあとからはしごを登りきったアーリとシェルルール。シェルルールは何が起きるのか興味深そうに私の準備する姿を見ている。


 ナイフとポーションの準備を終えた私はアーリたちに離れるようにお願いすると、さっそく、そのナイフで自身の左腕を切り裂く。

 待ちかねたとばかりに、振り切ったナイフの刃先から飛んだ私の血のしずくを、伸ばした舌でぺろっと空中で受け止めるセイルーク。


「キューーッ!」


 現れる二枚の半透明のプレート。いつものように操作をする。

 並んで立っているアーリがシェルルールに説明している。首を動かし目を必死に凝らしている様子のシェルルール。その様子に同じ研究を志すものとして私が共感を覚えている間に、セイルークへのポイントの受け渡しが完了する。


 流石に慣れてきた私は傷跡にポーションをふりかけながらセイルークの様子をうかがう。

 セイルークを包んでいた『ポイント』の光が収まる。


「……でっか!」


 今回のセイルークの変化として、羽の枚数は増えてはいない。そのかわり、一回りどころではなく、セイルークの体が大きくなっていた。それは、人間を一人乗せて、飛べるんじゃないかと思えるぐらいの大きさだった。





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