金貨の詰まった宝箱
「なるほど、逆転の発想だ。よく思い付いたね、シェルルール」
「えへへ。ボクでもルスト師のお役にたてて嬉しいです! うまくいくか、実は自信は無かったのでほっとしました」
「確かにこれは効率的ですね。……少しかわいそうですけど」
私とシェルルール、そして今日はアーリの三人がダンジョンアタックに参加していた。
私がシェルルールを誉め、シェルルールはほっとした表情で照れている。アーリは少し複雑な顔だ。
私たちの目の前には金貨がふちまで詰まった宝箱がある。
シェルルールの案というのはとてもシンプルなものだった。
まず、猫人形の頭を片手で鷲掴みにしたアーリ。そのまま、宝箱の上で猫人形の首を切る。
落下する猫人形の胴体。
箱に触れた瞬間、煙と化し、金貨が現れる。
そして私がアーリの手に残った猫人形の頭にポーションを数滴垂らす。
むくむくと猫人形の胴体が生えてくる。
以下、その繰り返しであっという間に金貨が貯まってしまった。
「まさかこんなやり方があったなんてな」
「多分ですけれど、正規の方法は別にあるかもです。この猫人形以外の強めの敵とかが別の場所にいて、大量の金貨をドロップする、とか」
「確かにその可能性もあるけど、結局見つけられなかったからね。シェルルールのお手柄だ」
「ありがとうございます。ルスト師が、切り離された猫人形の体が地面に落ちたタイミングで煙に変わったって聞いた時にピンと来たんです。ダメージをおった状態でダンジョンに触れるのが条件なんじゃないかなって」
「なるほどね。この猫人形自体じゃなく、ダンジョンからの作用で煙の発生、猫人形の残骸の消去、金貨の発生が起きてると推測したのか。それにしてもポーションが作用するってことは──」
二人で今回の事を検証する私たちを、覚めた目で見つめるアーリ。
「──お二人とも、早くしないとタイムアップになりますよ」
あまりに見かねたのか、声をかけてくるアーリに、私とシェルルールは肩を丸めて謝る。
「ごめんごめん。さあ、それじゃあ宝箱の蓋を閉じてみますか。何が起きるか、楽しみだね」
私はそう言うと、金貨の詰まった宝箱の蓋に手をかけた。
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