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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第三章

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確認と進捗!

「あ、無い」

「ルスト、もしかして?」

「ええ。先程の金貨が無くなってますね。全部」


 リュックの中を確認していた私が、ハルハマー師に伝えると、ひどく残念そうな顔をする。


「ダンジョンの中から持ち出せないみたいですね」

「鍵の魔晶石は無事か?」


 私は言われて鍵の魔晶石を取り出してみるが、そちらは問題無さそうだ。しっかり形を保っている。

 念のため、《転写》のスクロールで情報を読み取るが、変化は見られない。


「大丈夫ですね。でも一体どういうことなんですかね。タイムアップと出たプレート自体は皆、見えたんだよね」


 私がアーリとロアにたずねる。


「見えた」「見えましたね。あれがいつもおっしゃっていた半透明のプレートなんですね。不思議なものですね」


 ロアとアーリが口々に答えてくれる。


「ふむ。セイルークが入れない。そして倒すと消えるモンスターと、現れる金貨。錬成獣のスクロールから顕現が出来ない。時間制限。プレートの表示。持ち出せない金貨、か」


 私は今回ダンジョンへと入ってみて、わかったことを並べてみる。


「とりあえず、制限時間内にやるべきことを特定したいの。あの転移した先にボックスがあるのか。もしくは次へ進む何かがあるのかもしれん」


 私の呟きに対してハルハマー師が告げる。


「そうですね。……もしくは金貨、か」

「どういうことですか?」


 アーリの不思議そうな顔。


「いや、金貨を持ち出せないって事は制限時間内に必要枚数の金貨を集めるのかって思って」


 私はふと思った事を伝える。


「なるほど、それはあるかもしれんの」


 ハルハマー師の感心した顔。


「どちらにしても要検証、ですね。ただ集めればいいって訳でもないでしょうし。どちらにしても一度、先行隊の本部へ戻りましょうか。そちらの進捗も確認しないと」


 そう皆に告げると、私達は地下遺跡を出ることにした。


 ◆◇


 私たちが不在にしていた僅かな間に、シェルルール達の奮闘で本部がかなり様変わりしていた。

 先行隊の本部としては、イブのタケノコから最初に生えた竹の塔の一室を使うことになっていた。

 先行隊に参加しているカゲロ機関の錬金術師達が手分けして運んだ備品が設置されている。それらは収納拡張済みのリュックやカバンに入れられ運ばれてきた物だ。


 小型の通信装置も部屋の中央におかれている。どうやらセッティング中のようだ。


「シェルルールさん、同期完了しました。──来ました! ハーバフルトンからです」

「やりましたね! ありがとう」


 錬金術師の一人がシェルルールに報告している。


「お疲れ様。無事に繋がったみたいだね。皆もご苦労様」


 私は部屋の中にいたカゲロ機関のメンバー達に声をかける。


「っ! ルスト師、おかえりなさいませ。こちらの進捗は予定通りです。そちらはいかがでしたか?」

「予定通りか、それは素晴らしいね。こちらは少し難航しているよ」


 私がシェルルールと話していると、再び通信装置が稼働する。

 装置に生えた蔓が握ったペンがカリカリと羊皮紙に文章をつづる。

 ペンの動きが止まりくるくると巻かれて排出される羊皮紙。それを取り上げたシェルルールが渡してくる。


「カリーン様からです」


「皆、作業の手を止めてくれ。カリーン様からだ。先行隊の働きへの称賛と更なる献身を期待している、とのことだ。予定通り、開拓部隊も出発するらしい」


 私はそこで一度本部の中にいる皆の顔を見回す。皆がこちらを見ている。


「開拓部隊の面々が来たら驚かしてやろうじゃないか。折角来たのに、もう開拓の仕事がないじゃないかっ、てな」


 私が冗談めかしてそう伝えると、皆からも明るい笑い声が上がった。




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