再び辺境へ!!
「『ボックス』に、『ポイント』ですか……」
私は、リリー殿下から聞いた聞き覚えの無い単語に思いを巡らす。
──ポイント、か。てっきり二文字だとおもったんだけどな。セイルークとの契約時に表示されていた読めない文字列が二文字だったから……
「はい。ポイントはptとも言うようです。ただ、王家にも伝わっているのは単語だけで、それがどう言うものなのかははっきりとはわかりません。どうかされましたか、ルスト様」
「っ! いえ、何でもないです。リリー殿下、大変参考になりました」
どうやら驚きが顔に出てしまっていたようだ。しかし、やはりあれは『ポイント』だったのかと今の話で確信する。
「それでしたらよいのですが。そして、『ボックス』の場所についてですが、辺境の地、今ではルスト様達が開拓しているアドミラル領に一つあるはずです」
「……それは、遺跡でしょうか」
私がとっさに思い浮かんだのは、ハルハマー師が勝手に滞在していた地下の遺跡だった。アドミラル領の領都候補のすぐそばの。
「すいませんが、具体的な事はわからないのです」
「いえ、そちらも大変参考になりました」
「ルスト様は今のお話だけで、心当たりがあるのですね。流石、ドラゴンの契約者です。すぐに向かわれるのですか」
「騎士カリーンの心づもり次第ですが、そうなるかと思います」
私は王都でやり残した事が無いか、考えながら答える。そもそも、延び延びになっていたアドミラル領の領都の開発に着手する良い機会かもしれない。
「それでしたら、是非、私も同行させていただけませんでしょうか」
両手の指を合わせて首を傾げるリリー殿下の、爆弾発言。
その場の緊張が、一気に高まる。
「恐れながら、発言をよろしいでしょうか」
そんな緊迫した空気に、タウラが切り込む。
「勿論ですよ。何でしょう?」
リリー殿下は自らが緊迫させた空気を気にせず気軽に許可する。
「王族の方が、辺境の地へ赴かれるのは危険すぎるかと……」
私はよくぞ言ってくれたと、タウラの勇気を称賛する。いいぞ、もっと言ってやれ。
「魔族を倒した当代きっての英雄にして、ドラゴンの契約者たるルスト様なら、同行する者が一人増えようが何ら問題ありませんよね?」
こちらを見つめてくるリリー殿下。自らの剣の腕を誇示してこないところが、あざとい。そして一人でついてくるつもりなのかと頭が痛くなる。
ここは困った時のカリーン様頼みでいくことにする。
「私は騎士カリーンに仕える者。その領土たるアドミラル領への王族の方の御運びについては、この場で私からはお返事が出来ません」
「わかりましたわ」
何がわかったのか、にっこりと微笑むリリー殿下。
それはとても嫌な予感がする、笑顔だった。




