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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第三章

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報連相は大切だけど!!

「これが、セイルーク?」


 宿に戻った私たちを出迎えたアーリとカリーンが、変化したセイルークを面白そうに眺めていた。

 特にカリーンは興味津々な様子で、セイルークの増えた羽をつんつんと指先でつついている


「これ、別々に動くのか?」


 セイルークがカリーンの声に応えて羽を動かす。

 四枚ある羽が器用にも、別々に動く。


「くちゅん」


 その一枚の羽の先がアーリの鼻先をくすぐったのか、くるっと後ろを向いたアーリの方から、くしゃみの音が聞こえてくる。

 ロアがそんなアーリにハンカチを差し出す姿を何とはなしに眺めながら、私はカリーンに遠乗りであったことの報告を続ける。


「──以上です」


「それで、何か面白い事はあったか、ロア?」


 私は十分に波乱に満ちた報告をしたのだが、そんなことをロアに尋ねるカリーン。


「ルスト師、別れ際にリリー殿下に迫られて嬉しそうだった」


 そこで、ロアからのいわれもない告発を受ける。確かに霊廟跡から王都に戻ってきた際にリリー殿下がだいぶ距離をつめて話しかけてきてはいたが、私は何もやましい事は無い。


「ほーう、そうなのか、ルスト? 確かにリリー殿下は目鼻立ちは美人だからな。男装姿の凛々しさと、どこか天然で抜けている所があるギャップは男性諸君から見たら、大層魅力的だろうよ」


 なぜか満面の笑みのカリーン。


「ごほんっ。そんな事はありません。それに、断ってますから!」


「それ、セイルークが来る前に言いかけてた、あれ? という事は、二人で霊廟の中でも、そんなことを話してたの?」


「ほー。それは今の報告には入ってなかったなー」


 悪のりした時のテンションで聞いてくるカリーン。これは、めんどくさいやつだ。


「確かに、霊廟の中で、リリー殿下から求婚されました。でも、私はカゲロ機関を辞める気も、そしてアドミラル領を離れる気もないので。だいたい王家に入るとか柄じゃないですし」


「そうかそうか。ルストのその気持ちは私としては嬉しい事だな。しかし、王族からの求婚があったとはな」


 満足げなカリーンだったが、後半は色々と思索を巡らせている顔つきに変わっていた。


 しかしロアはまだ疑問の浮かんだ顔をしている。


「でも、あれ、断ったって言ってもすごい中途半端だった。リリー殿下、別れ際にも迫ってたぐらいだし、諦めて無いと思う」


「──あれは仕方ないだろう! セイルークも来て、更に敵が襲ってきたんだから。あの後改めてお断りする雰囲気じゃなかったし……」


 なんとなく言い訳めいた事を言ってしまう。


「ロア、それぐらいに」


 見かねたのか、アーリが止めてくれる。


「それとカリーン様、ルスト師。タウラ殿に連絡がつきました。急ぎ戻ってくるとのことです」


 アーリから告げられたのは、タウラの事だった。リハルザムを倒した際に手がかりが見つけられず、一人王都を離れて呪術師の捜索をしていたタウラ。

 先日の白面の会の後の襲撃に、呪術師の関与が疑われる事をアーリから連絡してくれていたのだ。

 その返事が届いたのだろう。


「そうかそうか。魔族の配下らしき存在に、呪術師からの襲撃。王家もちょっかいをかけてきたと。王都滞在も、いよいよきな臭くなってきたな」


 手のひらに拳を打ち付け、カリーンは心底楽しそうにそう言った。




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