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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第三章

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魔石に刻まれたもの!!

 頭部を失った敵の体が、ボフッと音をたてる。そこに現れたのは、真っ白な煙。


 その煙が風で吹き散らされると、敵の体は跡形もなく消えていた。


「消えた……。モンスターや呪術師の使い魔じゃなかったのか?」


 このように死んだあとに消えてしまう存在をはじめてみた私は、驚きながらも非常に興味をひかれる。そこへロアの声がかかる。


「ルスト師、あれ」


 その指先の指し示す先に、ゆっくり近づいてみる。すると、敵の消えた場所の地面に埋まるようにして、魔石があった。


 私は純化処理済みの採集用手袋を片手にはめ、慎重にそれを拾う。


「これまた珍しい。完全な真球……。しかも何か紋様が刻まれている」


 それは通常ゴツゴツした石のような魔石とも、カッティングが施された形状をしている魔晶石とも違っていた。

 私がまじまじと手の中の魔石を眺めていると、ロアとリリー殿下達が近づいてくる。


「ルスト様、先程は守って頂きありがとうございました。そちらもルスト様の錬成獣ですか? とても、お強いのですね。──その紋様はっ!」


 手の震えは止まり、顔色も少し赤みを取り戻したリリー殿下が、私の手の中の魔石をみて息を飲む。


「ええ、こちらの錬成獣はローズと言います。リリー殿下はこの紋様を御存じですか?」


 私はスクロールから顕在したままのローズの蔦を撫でて労いながら尋ねる。


「……ルスト様も『原初の八人』の事は御存じですよね」


「ええ。創世の時代に現れたと言われている最初の八人の魔族ですよね。何でも何体かは今だに代替わりせずに、生きているとか」


「ええ。八体のうち、五体は主に争乱の時代にドラゴンによって打ち倒され、代替りをしたそうです。ただ、残りの三体は、今だに創世の時代から二千年以上、生き続けていると言われています。その三体が『妄執の一席』、『不義の三席』、『最弱の七席』。王家に残る資料で見たことがあります。これは不義の三席と呼ばれる魔族の紋様に見えます」


「つまりは、先程の四つ腕の敵は、その不義の三席の配下とか被創造物って可能性があると」


 無言で頷くリリー殿下。少し赤みが戻っていた顔色が再び青白くなっている。

 私は余計なお世話かと思いつつ、リュックから気付け用にポーションを取り出すとリリー殿下に渡す。


「こちらは?」


「単なるポーションですが、少し気分が落ち着くかと思います」


「まあ。ありがとうございます」


 笑みを浮かべ私からポーションを受け取るリリー殿下。しかし飲まずにしまってしまう。


 ──そうか。王族ともなれば、不用意に飲むわけ無いよな。失念していた。


 少し顔色が良くなったリリー殿下が、帰還を告げる。


「さあ、王都に戻りましょう。霊廟の崩落に魔族の関与があることは、私から関係部署に通達致します」


「ありがとうございます。街道の修復については──」


 私が、ヒポポが本気を出してから刻まれた足跡について言及すると、それもリリー殿下の方で引き受けてくれるらしい。

 ありがたい事ではあるが、後が怖いなと思いつつ、断るのも無礼かと諦める。


 そうして、私はロアの後ろに乗せてもらい、王都へと向かった。

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[一言] 「原初の八人」かぁ モチーフは7大罪…ではなく八犬伝の逆相?
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