暗殺なんて、甘い甘い!!
客車が止まる。
待ちかねたように、飛び出していくカリーン。
その手にした剣の重量で、カリーンの踏み込みに合わせて大きく客車が揺れる。
「なんで一番に飛び出すかな……」
普通に考えて狙いはカリーンだ。私は思わず呆れて呟いてしまう。
飛び出したカリーンを追うようにして、アーリも外へ。
その際、客車の横に立てられた領旗を引き抜いていくアーリ。
良く見ると、領旗のポール部分が槍になっていた。
──アーリ、槍を持ってないと思っていたら、あんなところに。
私もスクロールを展開、発動しながら、アーリのあとを追って客車の外へ。
そこは、カリーンの独壇場と化していた。
嬉しそうに新品の隕鉄の剣を振り回すカリーン。一振りごとに風を切り裂く轟音が響く。
その剣の先には、漆黒の服に、漆黒の覆面をつけた敵が複数。暗殺者だろうか。
滑らかな動きで、カリーンの背後をとろうと連携している。
そこへ繰り出されるアーリの槍。ついたままの領旗がはためき、カリーンの背後を狙っていた暗殺者の足を、槍先が貫く。
ちらりと背後を確認して、カリーンが敵に向かって突っ込む。その背後をカバーするアーリ。
背後を気にせずにすむようになったカリーンが、嬉々として剣を振るい、あっという間に複数いた暗殺者たちを制圧してしまう。
どうやら剣の腹の部分で殴り、切り殺してはいないようだ。
──並みの人間相手じゃ、カリーンとアーリなら当然圧倒するよね。気絶させようとする余裕すらあったみたいだ。まあ、カリーンの馬鹿力であの重量の物で殴られたら、生きているとは限らないけど……
私がそんなことを思いながら見ていると、意図的に意識を残しているのだろう、最後の敵に隕鉄の剣を突き付け、カリーンが口を開く。
一応、事情の誰何を行うようだ。
何を話しているか聞こうと私も近づいていく。その時だった。アーリが血相を変えて走り出す。
「ローズ!」
私が叫ぶ。
同時に、カリーンを押し倒すようにして上に被さるアーリ。
その二人を守るように、事前に発動していた《顕現》のスクロールから、ローズの蔦が溢れる。
くるくると二人の回りで、蔦の壁が形成される。
暗殺者の体が膨れ上がる。
何か液体を撒き散らしながら、爆散する暗殺者。
「《研磨》」
私が追加で発動した研磨のスクロールによる竜巻で、その飛んで来た液体を吹き散らす。
それでも雫が数滴、ローズの蔦へと付着した。




