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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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王都地下へ!!

 鼻につく、異臭。


 下水の臭いと、様々な食べ物の臭いが入り交じり、何とも言えない悪臭となって地下通路を満たしていた。


 食べ物を盛った皿を掲げたキノコ人達の列と、空の皿を持って外へ向かうキノコ人。それらを横目に、私たちは足早で進む。


 所々壊れて、歯抜けになっている照明装置。光の届かない部分は闇が濃く、足元には気が抜けない。


「きますっ!」


 アーリが小さく叫ぶ。


 暗がりの中の一つから、ぬーと現れる人影。

 どこかで見たことのある顔だ。それが三つ、一つの体から生えている。


 一つは首から。

 一つは肩から。

 一つは腰から。


 さらに腕が、追加で四本。腹から、ぶらぶらと垂れ下がっている。その手にはボロボロの棒状の物。銃身半ばで折れた、魔法銃だ。


 その異様な風体に、一気に緊張感が高まる。ぎょろりと、六つの目玉がこちらを睨み付けてくる。


 ざっと足音をたて、私は急停止する。

 アーリとロア、タウラは逆に急加速。それぞれの武器を構え、攻撃する。


 その三つ首は手にした魔法銃を棍棒のように使って、アーリとロアの攻撃を受け止める。

 それらを掻い潜り、タウラが一閃。

 三つ首の腕が一本、斬りとぶ。


 ──あ、錬金術協会でリハルザムと話しているのを見かけたんだ、確か。あの三人、冒険者のパーティーだった。完全にキメラ化してしまっているな。あれはもう、助けられない。……そう、名前は確か。


「デデン──」


 三つ首の腰の顔が、ぐるりと回ると私を睨み付けてくる。

 二撃目を繰り出したタウラの攻撃を避け、飛び上がる三つ首。そのまま天井に腹から生えた腕でくっつくと、天井を這うようにしてこちらへと迫る。


 私はスクロールを急ぎ発動する。


 ──速い! 間に合うかっ?


 私の肩にとまったセイルークが大きく口を開く。その奥に煌めく魔素の輝き。


「セイルーク! 抑え気味で!」


 地下通路が崩落することをおそれて、私はセイルークに告げる。

 天井から飛び、こちらへと落下してくる三つ首へ、セイルークの口から放たれた極細のドラゴンブレスが突き刺さる。

 数条に枝分かれした細い光の線が、三つ首の四肢にいくつもの穴をあける。


 三つ首の、三つある口からそれぞれ苦痛のうめき声が上がる。

 勢いを殺され、ぐったりと落ちてくる三つ首の体へ、アーリとロアの槍が左右から迫る。

 串刺しにされ、空中に縫いとめられる三つ首。


 私の前へと回り込んだタウラの剣閃。巻き上がるように三つ首へと振るわれたそれが、全ての首を切り落とす。


「まだ!」


 ロアの警告。


 落ちた首の一つ。その首の口が開くと、中から真っ黒なキノコが飛び出してくる。ちょうど私の目の前だ。

 ロアの警告のおかげで、わたしは意外と冷静だったようだ。左手で空に浮かしたままだったスクロールをつかむ。

 眼前のキノコへ、力一杯叩きつける。

 左手の魔導紋により、それはポーションをまとった一撃となってキノコを強かに打ちすえる。


 キノコはべちゃっと地面へ。そのまま溶けて消えていく。


 私は警戒を解かずに、周囲を急ぎ確認する。しかし、アーリとロアからの警告は、無い。


 ほっと一息吐いたところで、タウラと目が合う。


「ルスト、すまない。私の詰めが甘かった」


 どうやら寄生キノコの本体を斬り損ねた事を言っているようだ。


「いや、急造のチームとしてはかなりチームワークは良いと私は思うよ。アーリとロアの魔眼を活かした補佐と、タウラのアタック力、上手くバランスがとれているように見えるけど」


「後衛のルストに攻撃が通っている時点で、私は前衛失格だ」


「うーん」


 私は基本的に研究職なので、そこら辺の事は実はあまり詳しくなかったりする。

 どう思う? と問いかける視線をアーリとロアへと送る。


「タウラは、カリーン様タイプ。ルスト師のフォローは、ロアがベスト。さっきは邪魔だった」


 容赦の無い、ロアからの指摘。アーリも今回は口を挟まない。


「じゃ、邪魔……」


 ロアの指摘に、がっくりした様子のタウラ。なまじ最後のキノコを逃したせいで反論も出来ないようだ。


「タウラは後ろを気にせず攻撃に集中して。それがタウラの持ち味。後ろはロアと姉様を信じて」


 無表情のまま続けるロア。


「わかった。そうする」


 素直に応じるタウラ。多分この素直さがタウラの強さの一つなんだろうなと、二人のやり取りを見ながら思う。


 そんなやり取りの間も、皿を掲げたキノコ人は変わらぬ様子で食べ物を運んでいるだけだった。まるでさっきの戦いなど無かったかのように。


 その様子に私は少しうすら寒い物を感じながらも、先を急ぐことにする。


 アーリとタウラの無言の視線のやり取りのあと、タウラを先頭にして私たちは再び先へと進み始めた。






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― 新着の感想 ―
[一言] さすがに皿の中の料理にポーションを振りかけるとか ポーションと料理を入れ替えるとかのイタズラは しないんですねぇw
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