ハロルドとカリーンと!!
「ハロルド、それ……」
「その声はルストか。カリーンからきいたよ。強行偵察に出てくれたんだって。無事かい?」
「あ、ああ。私はな」私は目の前でベッドに横たわるハロルドをじっと見ながら答える。
「どうした? ふう。もしかしてこれかい? うん。手遅れだったみたいなんだ。これでもカリーンはベストを尽くしてくれたんだ。彼女を責めるなよ」
そういって顔に巻かれた包帯を指差すハロルド。
「いや、そんな事はしない。それよりも、両目ともか?」
「いや。右目だけだ。左は回復するはずだ」
「……ちょっと待ってろ。すぐ戻る」
私はそう言うと、ハロルドの寝ている、カリーンの屋敷の部屋を飛び出す。
すると、そこにはカリーンがいた。
「ルスト、すまん。ハロルドの目、私の判断が間違いだった。完全に癒してあげられなかった」
そういって深々と頭を下げるカリーン。その表情からは強い自責の気持ちが、にじみ出ている。
「カリーン──。カリーンのせいじゃないよ。それに大丈夫。私が何とかする」
今だけはいいかと、うつむき続けるカリーンの頭に、軽くぽんぽんと何度か手を置く。なぐさめになることを願いつつ。
「それにカリーンの指示で行った、あの偵察は有用でしたよ。もし偵察が無しでは、今頃敵を殺し尽くす選択肢しかなかったんですから」
「──ああ。そうだな。アーリから報告は聞いている。カゲロ機関、驚いただろう?」
まだ少し瞳をぬらしながら。それでも笑みを浮かべてそんな事を言うカリーン。
「全くですよ。驚かされました。カリーンも相変わらずですよね。文句の一つでも言ってやろうと思ってたのに」
そんな私の物言いに、にやにやと笑い続けるカリーン。
私はとりあえずカリーンは大丈夫かと、その場をあとにする。
◆◇
「ハロルド、どうだ?」
準備を終えた私はハロルドへの治療を終え、声をかける。
「ルスト、お前は相変わらず、すごいな。見える。見えるよ」
私特製の義眼をつけたハロルドが、感嘆の声をもらす。魔晶石を何個も薄く加工し、魔導回路を立体的に組込んだ義眼。
それがハロルドの片目となってこちらを見つめていた。
「ああ、こんな物、見たことも聞いたこともない。痛みはないのか」
心配して見ていたカリーンがハロルドにたずねる。
「ああ。全く違和感がない。不思議だけど」とハロルド。
「常時発動型の魔道具だからな。ハロルドの肉体に適合するのにも魔素が使われているんだ。すまんな、ハロルドの使える魔素の総量がその分減ってはいるはずだ」
首を振るハロルド。
「それでもありがたいよ、ルスト」
「一応、これも。眼帯だ。何だかんだで目立つからな、その目」
私は作っておいた眼帯も手渡す。
「──なかなか格好いいな」
「だろ?」
そういって笑いあう、私たち三人。それは学生時代に戻ったかのような錯覚を覚えるものだった。




