情報収集は複数のソースから!!
作業場の戸締まりをハルハマーに任せ、私は建物から出る。
辺りはすっかり夜だ。
しかし、煌々と魔道具の明かりが灯り、忙しげにたち働く人々がそこかしこに見える。
どこか、ピリピリとした空気。
──自国の軍人が襲ってくるんだ。この緊張感は仕方ないな。
私は草レンガを取り出すと歩きながら、かじり始める。ハーバフルトンに帰ってから初めての食事だ。
まっすぐ隣の自分の天幕に帰っても良かったのだが、少し気になる事が数件。
星空を眺め、しばし悩む。
結局、二個目の草レンガを取り出し、かじりながらふらふらと歩き始める。
ハーバフルトンでの顔見知りも増えた。
すれ違う人達と挨拶を交わし、いくつか質問しながら歩き続ける。
「ルスト師! また、そんなもの食べてるんですかっ。これ、旨いですよ! 持ってって下さい」
途中ですれ違ったリットナーが肉の串焼きをくれる。どうやら、夜間作業をしている部署に合わせて、リットナー達も食料供給のために残業しているようだ。
私はありがたく大量の串焼きを頂戴すると、草レンガと交互に口にしていく。
「うん、味の変化があると食が進むな」
そうしているうちに、ひとつ目の目的地が見えてくる。レンガの供給が安定され、新設された施設だ。先程のすれ違った顔見知りから聞いた通りの場所にあった。
きょろきょろと見回して、入り口らしき場所を見つける。そちらへ向かうと、入り口に人が立っている。
「ルスト師! どうされましたか?」
「ロアかアーリはここに来ている?」
「はっ。お二方とも上に。御案内します」
お言葉に甘えて案内してもらう。
そう、二人が来ていそうな場所を歩きながら聞いたら、きっとこの監視塔だろうと言われたのだ。
塔の最上階につく。そこに佇む人影。
「アーリ、ロア。お疲れ」
私は二人に声をかける。
「ん」ロアは塔の縁に腰掛け、足をぶらぶらさせたまま短く返事をする。
「ルスト師、こんばんは。どうされました? こんなところまで」とアーリも不思議そうだ。
「はいこれ。差し入れ。二人がここで敵の監視をしているって聞いてね」私は先程リットナーからもらった肉の串焼きを差し出す。
座った姿勢から、いつの間にか私の目の前に移動してきていたロアが、素早く肉の串焼きを奪っていく。
私は苦笑して追加の肉の串焼きをリュックから取り出すとアーリへ手渡す。
「まあ、ありがとうございます。ロア、お行儀悪いですよ。それにお礼も」
「ん。気を付ける。ルスト、気が利く」口の周りに肉汁をつけながら答えるロア。
そしてあっという間に食べ終わり、物足りなさそうな様子のロア。
私は追加の串焼きを取り出す。
目の前を通りすぎる、一陣の風。
風の過ぎ去った後には私の手から肉の串焼きは消え去り、ロアの手の中へと移動していた。
「それでアーリ。昼間はカリーンへの報告を任せてしまってごめんね」私は気にせずにアーリに話しかける事にする。
「いえ、問題ありません。敵への対抗手段の方はいかがですか?」
「明日には完成させるよ。今は素材の抽出処理で、寝かせているところ。それで、本題なんだが、敵の行軍速度に、変化は? 夜間不眠不休で行軍をしていたりはない?」
「ない。行軍、止まっている」喋りながら食べるロア。遠視を使って見ていた事を教えてくれる。
「そうか。それは良かった。それなら、時間は間に合うな」
私は心配が一つ減り、ほっとため息をつく。
「それじゃあ私はこれで。二人も少しは休みなよ」
私はアーリ、ロアと別れ、次はカリーンの元へと向かって歩き始めた。




