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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
6 冒険者になれない編!
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98 さようならカマッセ

「いや~~!したんですよね、犯罪の臭い!だから、私、アレの冒険者登録、絶対にしちゃいけないって思って!だからお断りしたんですよね!あはは、さすが私!うん、王都での勤務経験が人を見る目を養わせていたんですねぇ!危うく犯罪者に冒険者という身分を与えてしまうところでした!いやぁ、危なかった!!」


カマッセが固まってしまい静かになった出張所内のロビーに、腐れ受付の白々しい言葉が響き渡る。



「お、お前、冒険者じゃ、なかったのか?」


ようやく再起動したカマッセが、私の方を振り向いて、問いかける。

頷いて返答。


「まだ違う。あの女、『課題』こなせって言った。一月サイーシュ草を採り続ければ......」


「あーーーッ!!あーーーッ!!衛兵さん!早くあの呪い子を捕まえてくださいよ~!町の治安を守るのは衛兵さんの領分でしょ!?」

「お、おう!まかされよ!」


腐れ受付が、都合の悪い私の話を聞かせまいと大声をあげる。

それに応じて私を捕まえようと近寄る、衛兵。


「くっ!」


カマッセは。

カマッセは衛兵に飛びかかろうとする。

私を守るために。


嬉しいな。


でもね、だめだよカマッセ。


衛兵に向けて一歩、足を踏み出すその刹那。

私はカマッセのベルトを掴んで引っ張り、後ろに放り投げた。


ドン!


音を立てて受付カウンターに背中をぶつけるカマッセ。

ごめんね。


「お、おい、エミー、お前何を......!」


でも、それ以上はだめだよ。

衛兵に手をあげたら、カマッセが犯罪者になっちゃう。

私なんかのために、カマッセが傷を負う必要なんか、ないんだ。

私は、全然平気なんだから。

こんなの、前世から慣れっこなんだから。


もう......これ以上。

これ以上カマッセが、私に付き合う必要なんて、ないんだ。



ゆっくり、ゆっくり。


私は前に進む。




「なんだ?観念して捕まる気になったか?」


衛兵が勝ち誇った顔をする。


......そんなわけないでしょ。

私は、悪いことなんかしてないんだし。



【威圧】する。

殺気を向ける。



「ひっ!?」


それだけで衛兵は小さく悲鳴をあげて、腰を抜かした。

あはは。

ざっこ。


<まずはコレから殺しますか?>





......オマケ様。

私のために、そこまで怒ってくれてありがとう。


でもね、冷静になって。

私はそんなことしないよ。


<何故?>


そんなことしたらね、私は本当に犯罪者だよ?

盗賊を殺すのとは、訳が違うんだ。


......せっかく、カマッセが私のこと、かばってくれたんだ。

私は、呪い子なのに。

皆が私に、町から出ていけって言うのに。

カマッセだけは、私の味方でいてくれたんだ。


その好意を、私は無駄にしたくないな。絶対に。


<エミー......>



「私、悪いことしてない。だから捕まらない」


静まり返った出張所内に、私の声が響く。


「だけど、出てけっていうなら、出てく。じゃあね」


玄関に向けて歩く。

私から漏れ出る魔力、殺気を恐れてか、商売人の連中や野次馬冒険者共は、無意識のうちに後ずさり道を開ける。


「お前......お前!エミー!お前はそれで、良いのかよ!?」


後ろから声が聞こえる。

咳こみながら立ち上がったカマッセだ。


「こんな......不当に蔑まれて!こんな扱いを受けて!それなのに黙って出ていくのかよ!?」


「カマッセ......」


振り向く。

顔を真っ赤にして。

涙をためて。

凄く悔しそうな顔のカマッセ。


「ありがとう」


あぁ、笑顔を作れないのが、本当に残念だ。


「私を守ってくれて、カマッセ、ありがとう。本当に、嬉しかった」


「エミー......!」


「カマッセは、頭が良いし、そこそこ強いし、凄く、優しい。だからきっと、本当に特級冒険者、なれるよ」


再度振り向きカマッセに背を向け、出張所入口の扉に手をかける。


「エミー!待て......」


「頑張って、ね!!」


カマッセの言葉を最後まで聞かずに、外へと飛び出す。

瞬時に、【身体強化】。

【飛蝗】走法。

跳びはねるように、全力で走る。

あっという間に大通りを過ぎ、外壁へ。

【紙魚】で登って、飛び降りて。

町の外。

荒野。


荒野を走る。まだまだ走る。

あっという間に、町は見えなくなる。




さようなら。


さようならカマッセ。


私は、結局冒険者にはなれなかったけど。

町では、ずっといじめられてばかりだったけど。

薬草も、搾取されるだけで終わっちゃったけど。


だけど、君と会えたから。


それだけで、このヨシャンカという町に来て良かった。


本当に、そう思えるよ。


嬉しい。


嬉しいんだよ、私は。


涙が、零れる。


これは、嬉し涙。


嬉し涙だよ。


カマッセ、ありがとう。


ありがとう。


ありがとう。


本当にありがとう。





相変わらず、びゅうびゅう吹き付ける海風。


とっても冷たい向かい風。


だけど、心がぽかぽか温かいのは。


君のおかげだよ。





ありがとう、カマッセ。

......はい。


こうしてエミーは冒険者にはなれず、ヨシャンカの町を飛び出しました。

これにて、6章におけるエミーの物語は終了です。


この先は、6章のエピローグ。

まだもう少し続きます。

お付き合いいただけると、幸いです。

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― 新着の感想 ―
話が繰り返しになってきました…
[気になる点] この小説には『胸糞』や『シリアス』のタグもなければ『ざまぁ』のタグもないのよね。 [一言] 物申したくなる気持ちはある。 でもまぁ、『主人公最強』が確約されてるのが救いやなって。
[一言] なんだよこれ……
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