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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
2 故郷の村、滅亡編!
9/716

9 ......あっ、あいつ転生者だ。

 ドッッッゴオォォォォン......!!!




 早朝の朝もやかすむナソの森に、聞いたこともない轟音が響き渡る。

 当然私はその轟音と付随する振動にたたき起こされたってわけ。

 ねぐらであるカリヴァの大木がびりびりと震える。


 何この音!?

 まだ朝早いってのに、私の安眠を妨害しやがって!

 ......私、寝ているの邪魔されんの、めちゃんこ嫌いなんだよね!


 跳び起き、眉をしかめつつ洞から顔をだして外を眺める。


 だんだん明るくなりつつある紺色の空。

 その下に広がる青々としたナソの森の一角から、黒い煙が登っている。


<これは......何やらイベントが起きているようですね!エミー、見に行ってみましょう!>


 異世界転生配信マニアであるこのオマケ様は、『イベント』とかいう配信で覚えた俗語も普通に使う。

 そして好奇心旺盛で能天気だ。

 何ら警戒心を抱かず、そんな提案をした。


 寝起きで頭がぼんやりしていた私も、ただただ私の安眠を邪魔した存在に抗議(投石)せねばという怒りでもって、深く考えもせず煙を上げる轟音の発生地点に向けて駆けだしていた。




◇ ◇ ◇




 ......で、今に至るってわけなんだけども。

 凄い轟音だったよね?オマケ様。


<えぇ、そうですね>


 そんな轟音を発生させる原因がさ、確実にあるわけだよね?


<おっしゃる通り。エミーは賢いですね>


 その原因がさ、もし危険で強力な魔物だったりしたら、オマケ様、どうするつもりだったの?


<............>


 ほう、だんまりですか。


<エ、エミーだって!エミーだって何も考えずにここまで走ってきたじゃないですかぁ!危機意識の無さに関しては、私だけ責められるのは不公平ですぅ!>


 ぐぬっ!それを言われたら言い返せないけどさぁ!


<今後気を付ければよいだけの話ですよ。ね?今回はこの通り、特に危険もなさそうだったわけですし、ね?ね?>


 う、うーん、危険は......ないのかなぁ?




 私は、5分も経たずに煙の発生源に到着していた。

 結構距離も離れていたけど、そこは森暮らしに慣れた【身体強化】の得意な5歳児ですので、このくらいの移動では息も切れない。


 ......で、だ。


 茂みの中からこっそりのぞいているのは、ナソの森に突如出現した広場。

 こんな広場、昨日まではなかったよ?

 木々はなぎ倒され、黒焦げになり、もくもくと煙を上げている。

 あっ......(おそらく)ハダカマズイネズミの死骸も炭になってしまっている。

 あぁなってしまっては、さすがに食べられない。もったいない......。


 じゃなくて!


 私は視線を、この広場を出現させたと思われる人物のほうに向ける。




 そこに立っていたのは、私と同じくらいの......いや、私の記憶が正しければ、私と同じ年齢のはずだな。燃え上がるような赤い髪、そして赤い瞳を持つ美少年だった。


 『私の記憶が正しければ』とはどういうことかというと、私はあの美少年の名前を知っている。

 だって......彼は私と同じ、フェノベン村に住むトーチ・フェノベンくんなんだもの。


 あ、村の名前と苗字が同じなのは、彼が村長の息子だからです。

 この国(国の名前は不勉強なので知らない)では私みたいな平民に苗字はないけど、村長一家レベルになると、家名というものを名乗れるらしいですね。どうでも良いけど。




 ......うーん?というか、これは一体ぜんたいどういう状況なんだろう??

 トーチくんは私の知る限り村長の息子ではあるけど、間違いなく単なる村の子どもA的存在であり、こんなアホみたいな破壊を引き起こすような力を持った存在ではないはずなんだけど?


 私が困惑して固まっていると、苦笑を浮かべていたトーチ君はぽつりぽつりと独り言をこぼし始めた。

 森暮らしで鍛えられた私のスーパー聴覚(多分、【身体強化】の影響で耳がすごく良くなっている)が、その言葉を捉える。




「......これは、制御に練習が必要だな。まったく、【聖神の加護】の力ってのは、とんでもないな......」




 ......なんか『やれやれ』って感じで、独り言ちるトーチくん。

 あれぇ?彼、あんな大人っぽいしゃべり方する子だったっけ?

 もっと一般的なクソガキ5歳児って感じのヤンチャ坊主だったと思うんだけど......。

 ......ってか、カゴ?

 トーチくん、加護って言ったよね?今。


<言いましたね>


 加護っていうと......。


<神々が生物や土地などに与える祝福のことです。配信用語では『チート』とも呼ばれます>


 トーチくん、【聖神の加護】って言ったよね?


<えぇ、言いました。この世界で『聖神』といえば、それは『聖神ライントーリエ』のこと。聖なるものを司る神です>


 ......私、その名前、聞き覚えあるんだよなぁ......。

 その神様、多分、5年前、あのオークション会場に、いたんだよなぁ......。


<ライントーリエは超有名な異世界転生配信者ですからね!魂のオークションに参加するのは当然でしょう>




 5歳児とは思えない、大人びた態度。

 そして強大な力。【聖神の加護】。







 ......あっ、あいつ転生者だ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もしや魂の色が髪や目の色になる世界かな? [一言] トーチがまともな心ばえを持った転生者だったなら日本人の容姿を知ってんだからエミーが黒髪黒目の忌み子でも村八分に加担しないはずだから、…
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