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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
29 巨獣の台地の小さな魔物編!
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702 【醜い魔物の成り上がり】雷の脅威と勝利への糸口

 さて、再び視点を、陸クジラの体内に戻そう!




<<<そぉら、くらえやーーーーーーッ!!!>>>


 バチバチバチィッ!!


 『雷黄帝竜』とやらを自称する雷のバケモノであるピリリビチ・ラギ・ウバギレは、【念話】を使って下品に怒鳴ると......ドクゲーゴンに向かって、口から雷を放った!




(うひぃッ!?)


 それはあまりに、速かった。

 ラギの眷属たちが放つ雷球とは、比べ物にならない!


 恐るべき速さで飛来するその攻撃に対して、ドクゲーゴンは反応できない。

 このままでは、瞬きをする間に飛んできたその雷に、ドクゲーゴンの体が焼かれてしまう!

 ......しかし!




 バチィンッ!!




 ドクゲーゴンが、彼の周囲に......毒液の球を複数漂わせていたことが、幸いした。

 ラギの雷は毒液球に吸い寄せられるように直撃し、それを瞬時に蒸発させて、消滅した。

 周囲に有害な毒の霧が広がり......近くの胃壁に張り付いていたラギの眷属が、苦しそうに身もだえする。




<<<余計な抵抗してんじゃねぇよッ!!>>>


 ラギは舌打ちをして雷を次々に放つ。

 陸クジラの胃壁が傷つこうと、お構いなしだ!

 しかし、ドクゲーゴンには、当たらない。

 彼は先ほど陸クジラの胃壁をついばんでいるので、魔力残量に関しては万全の状態なのだ!

 ドクゲーゴンは怯えながらも、必死になって毒液球を作り出しては、雷攻撃への防壁として運用し続けた。

 結果として周囲に毒の霧が広がり、それはラギがはりついている“蟲毒器官”にまとわりつき始めた。


 その状況を見てラギは......さらに狂ったように絶叫した!




<<<あああーーーッ!?ふざけんなよテメエッ!?蟲毒器官こそ、魂の容量を超えて敗者の魔力、怨念を吸収し蓄え続け、無限の成り上がりを約束する魔物神の恩寵なんだぞッ!?陸クジラの強さの源であり、このオレ様の大切な命を現世に繋ぎ留めている大事な大事な大事な鎹なんだぞーーーッ!?>>>


 ラギは叫びながら無数の脚をわしゃわしゃと動かしながら蟲毒器官の周りをぐるぐると這いまわり、ドクゲーゴンの毒霧がまだ致命的なダメージをこの器官に与えていないことを確認してから、ドクゲーゴンのことを睨みつけた!

 その表情は憤怒で染まっており......あまりに恐ろしいその顔に、ドクゲーゴンは身をすくませた!


<<<それを、テメエッ......テメエみてぇな、強者にくっついて辛うじて生き延びてきただけの、死にぞこないの寄生虫がよぉッ!!>>>


 そしてラギは、悪態をつきながら己の口にバチバチと雷のエネルギーをため始めた。

 先ほどまでの攻撃と比べると、桁外れに大きなエネルギーだ!

 毒液に包まれたドクゲーゴンの羽毛が、さらなる危険を感じ取り、逆立つ!


<<<傷つけてんじゃ......ねぇよぉーーーーーーッ!!!>>>




 バチバチバチーーーッ!!!




 次の瞬間ラギの口から放たれたのは、当然、雷。

 いや......雷に殺意と魔力を乱暴に練り混ぜて敵へと叩きつける、雷黄帝竜の【ブレス】だ!

 周囲を黄色く染めながらラギの口から放たれたそれを避ける術を、ドクゲーゴンは持たなかった。


 当然だ、通常攻撃ですら避けきれず、毒液球を盾にして何とか逃げ回っていたのが現状なのだから。


 しかし【ブレス】相手に、いくら毒液球を並べても、意味はない。


 それは全ての毒液の盾を貫き、ドクゲーゴンの体をも瞬時に蒸発させてしまうだろう!


 帝竜の【ブレス】は、それだけの威力と速さを持っているのだ!




 だが......しかし!




「ンッ、ンエーーーーーーッ!?」


 ドクゲーゴンは、またしても命を拾った!

 恐怖に涙し、情けない悲鳴をあげながらも、生き延びていた!

 それは、何故か!?




<<<おわッ......おわぁッ!?なんだ、この揺れはぁーーーッ!?>>>


 その答えは簡単。

 【ブレス】が放たれるその寸前、陸クジラの体が、今までにない程大きく揺れ始めたからだ!

 右へ左へ、上へ下へと、ドクゲーゴンたちがいる胃の中も大きく動いた。

 この突然の揺れのために、ラギは狙いをつけられず......【ブレス】を全く見当違いの方向へ放ってしまったのだ!


 そして【ブレス】は、ただ陸クジラの胃壁をいたずらに傷つけ、焼いた!

 陸クジラ、大ダメージ!

 ドクゲーゴンは、ノーダメージ!




(この揺れは......!)


 この時、困惑するラギとは違い、ドクゲーゴンは自分を救った揺れの正体を、瞬時に理解していた。

 これも、エミーだ。

 エミーがやってくれたんだ!


 そしてその確信は正しく、実はこの時陸クジラの体外では、エミーが覚悟を決めて後先考えぬ大暴れを始めていた!




(頑張って......エミー!!)




 死の恐怖に怯えていたドクゲーゴンの瞳に......再び闘志が灯る!




(ボクも......頑張るから!!)




「ンエーーーーーーッ!!!」


 ドクゲーゴンは毒の翼をはばたかせ、力強く鳴きながら、ぐちゃぐちゃにかき回される胃の中を飛び始めた!

 周囲には、無数の毒液球。

 それを次々に、蟲毒器官に向けて放ち続ける!


<<<ぎゃああーーーッ!?やめろやめろやめろぉーーーッ!!!>>>


 しかしラギは、泡を食って悲鳴をあげながらも、雷を放って毒液球を次々と正確に撃ち落とし続ける!


<<<なんだよ、なんなんだよぉッ!?オツムの足りねぇただの鳥がよぉッ!?なんで逃げねぇんだッ!?どんだけ調教されたペットなんだよぉーーーッ!?>>>


 ......そしてその時、ついこぼれた、そんな悲鳴を聞いて。




(あ)




 ドクゲーゴンは、唐突に理解した。




(そっか。こいつにとって、ボクは......ただの飼いならされた、ペットなんだ)




 つまり。


 ラギは、理解していない。


 目の前を飛ぶ、この紫毒魔鳥の中に。


 人間の魂が、入っていることを。


 高度な知能が、備わっていることを!




(なるほど......さっきから自分に不利になることをペラペラしゃべると思っていたけど......あれは、独り言だったんだ。そりゃあ、相手が鳥だもんね。話の意味を理解できているなんて、思わないよね)


 ドクゲーゴンは内心で苦笑し、そして。


 はっと、気づいた。




 敵が、己をただのペットだと。


 それ程頭の良くない、ただ調教されただけの鳥なのだと。


 侮ってくれている、今ならば。




(......いけるかも、しれないッ!)




 ドクゲーゴンは、少しだけ飛行速度を緩めた。

 しかし、周囲にはこれまでとは比べ物にならない量の毒液球を生成し。


 それを、四方八方に向けて......一斉に発射した!

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