表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
25 監獄!災厄!大魔導編!
607/716

607 on an unknown 山

「うーむ、む......?」


 きわどいボロ布を身にまとった、胸のとても大きな“女”......“大魔導”マジュローグは、横たわっていてもなお体を揺さぶる強く冷たい風を浴び、目を覚ました。


「よっこら、せっと......」


 その胸の重たさ故に難儀しながら、なんとか上半身を起こす。

 そして周囲を見回す。


 どうやらここは、どこかの山の上の様だ。

 周囲には灰色のゴツゴツした岩が転がっており、背の低い針葉樹が這うように生え、その他にはちょぼちょぼと、小さな花が咲いている。

 天気は晴れ。

 しかし、風が強く、かなり寒い。

 その体が魔導義体でなければ、おそらく凍え死んでいただろう。


「ふむ......」


 意識が朦朧とする中、マジュローグはなんとか思考をまとめる。

 自分は、隠れ家に転移を行ったはずだ。

 なのに今いる場所は、どこかの山の上。

 急ごしらえの転移魔法陣には、どうやら粗があったらしい。

 転移先の座標指定に、誤りがあったか。

 事故が起こり、自分は見知らぬ土地へと、飛ばされてしまった、と......。




「そうじゃッ!エミーッ!?」


 ここまで考え、ようやく意識が完全に覚醒したマジュローグは、先ほどまでそばにいたはずの教え子の名前を呼んだ。

 そして慌てながら、改めて周囲を見回す。


 しかし、そこには人どころか......動き回る生き物の姿すら、見当たらない。


「エミー......エミー......すまないのじゃ......」


 その事実を確認し......マジュローグはがっくりと肩を落とし、うなだれた。




 何故なら。




「まだ幼いお主を......ワシの事情に、巻きこんでしまった......」




 何故なら、あの汚泥。

 デレネーゾ大監獄に運び入れた存在の、狙いは。


 間違いなく、“大魔導”マジュローグ・マジュガムであった。


 そう、確信していたから。




 それに......汚泥の襲撃も含め、全ての不幸の理由を『全部、私が悪い』と断定し、『私は呪い子だから』と諦めたように言い切ったエミーのことが、あまりにも哀れだった。

 そう、躊躇なく言い切れてしまう人生を、あの黒髪黒目の少女は送ってきたのだろう。


「すまないのじゃ、ヨギン......救いきれんかった......」


 マジュローグは寒々しい青空を見あげながら、かつての冒険者仲間に、謝罪の言葉をこぼした。




 しかし、いつまでも悲しみと悔恨の中に沈んでいるわけにもいかない。

 マジュローグは、生き残った。

 それがいかに情けなく、“先生”として恥ずべき結果であったとしても、マジュローグは生き残ったのだ。

 ならば、やるべきことがある。

 やらねばならぬ、ことがあるのだ。


「............」


 ここでマジュローグは、左手をついた岩肌の近くに這うように広がる蔦に、黄色く小さな実がついていることに気づいた。

 おもむろにそれをつまみ、じっと観察する。


 丸くて、良く見るとびっしりと、小さな斑点模様が浮かんでいる。

 星型のヘタ。

 その実がついていた蔦の葉の形は丸く、深い緑色だ。

 そしてその実を口に含むと......ほのかな酸味。

 香りが強い。


「ハリキシツタキキノミ、じゃのう......」


 これらの情報から、マジュローグはまずその植物名を断定し。


「ならば、この地は......ハリキシ山脈」


 そこから自らの所在地にあたりをつけ。


「現在時刻は、午前の9時、といったところか」


 デレネーゾ大監獄との時差から、時間を割り出し。


「ならば、西は......ソーマトーコ学院は......あちらか」


 そして太陽の位置から、己が進むべき方向を見出した。


 じっと、そちらの方角を見つめると。

 ため息をつきそうになるほど雄大で美しく、そして険しい山々が、青空の下どこまでも続いているのが見える。




「......『またね』と言ったか、エミーよ」


 ここでマジュローグは、教え子が己に最後に贈った言葉を思い出し、目をつぶった。


「信じる......いや、すまない、信じさせて欲しいのじゃ」


 そして再び見開いたその瞳には、強い決意の光が宿っていた。




「また会おう......エミー!」


 マジュローグはそうつぶやくと、魔導の力を用いてふわりと宙に浮いた。

 そして尾根に沿って、西へ......ソーマトーコ学院に向かって、進み始めた。


 己のなすべきことを、なすために。

【“大魔導”マジュローグ・マジュガム】

 特級冒険者であり、ソーマトーコ学院の学院長でもあった偉人。

 恋多き男であり、エロジジイでもあり、現在は爆乳美女である。

 なお現在の恋愛対象は男性。


 エミーに対しては基本的に“先生”として接していたため、あんまりエロジジイ感が出なかった。

 なんか良い人みたいになっちゃったので、作者としては少し反省している。


 でもただの良い人ではなく......何やら事情がある様子。

 詳しくは、後々のエピソードで明かされると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  とりあえずマジュローグ先生の無事を確認♪再びエミーさんの旅路とクロスするその日を首を長くしてお待ちしておりまーす( ᐛ )و [気になる点]  (´⊙ω⊙`)なんか驚いてばっかりだけど…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ