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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
5 エミー、メイド見習いになる!初めてのお友達編!
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59 お友達

午前のお勉強が終わり、軽食を食べ、いつもなら魔法のお勉強が始まる、そんな時間がやってきました。

でも外は雨がざんざか降っているし、今日のサラちゃんの魔法のお勉強はお休みみたい。


これは雨が降ったらいつもそうみたい。

お外で実践訓練できないなら、お部屋で座学でもすれば?とも思うけど、それではサラちゃんの忍耐が続かないらしい。

うん、前世の記憶がある私と違って、サラちゃんはまだまだお子ちゃまだからね。

それもやむなし、とは思うけど。

でもサラちゃん、あなたもう少ししたら学園とやらに入学するんでしょ?

こんな状態で、学園の授業についていけるのかな?

ちょっぴり心配だよ。




で、魔法のお勉強がないので、サラちゃんは完全に自由時間。

とはいえ、雨のせいでお外にもいけないから、何故か気に入っているメイド見習いの私を自室に連れ込み、お喋りタイムなのです。

あ、一応お部屋の隅にはメイード先輩が控えています。

子ども二人だけにしない、という意味もあるのだろうし、私自身を警戒しての配置でもあるのかもしれない。


「ねぇねぇ、エミー!なんかおもしろいお話してほしいの!」


はい、きました~。ちびっこ特有の無茶ぶり~。

とはいえサラちゃんは私の話なら何でも面白がって聞いてくれる。

喋ること自体が苦手な私だけど、たどたどしい私のお話も、しっかり笑顔で聞いてくれるんだよね。

ついつい私も頑張って話したくなる。


「......なら、雨ふってるし。オカシラスのお話」


「オカシラス!?なんなのそれ?」


「生き物」


「生き物なの?どんな生き物なの?」


「小さいお魚」


「お魚!私はお魚よりお肉が好きなの!」


「オカシラス、お魚だけど、陸に住んでる」


「お魚なのに!?」


「石の裏とかにいっぱいいる」


「お魚なのに!?」


「今日みたいな雨の日は、石の裏から水たまりに出てくる。でも晴れの日、ずっと石の裏」


「へぇ~!でも私、石の裏にお魚なんて、見たことないの!」


「......この辺にはいない。向こう、山の向こうにはいる」


「へぇ~!そういえば、ここからずっと西のほうに行けば、お魚が空を飛んでる森があるらしいの!」


「空を?お魚が飛ぶ?すごい」


「そう、すごいの!お父様が冒険者時代、冒険したことがあるって言ってたの!モーブおじさんと一緒に」


「......モーブさん?」


「そう!お父様は昔、モーブおじさんとずっとパーティを組んでたの!仲良しなの!」


「ふーん」






......とまぁ、こんな感じで。

とにかくサラちゃんと一緒にいると、喋りやすいんだよね。


<エミーの成長を感じます。師匠と半年間ほぼ無言で過ごしていた時と比べたら、大きな進歩ですよね>


いや、あれはあれで良いんですよオマケ様。

私と師匠は心が通じ合っていたからね!






「......ねぇ、エミー!エミーったら!」


「......?なに?」


「なに?じゃないの!エミーは時々、いきなりぼーってするから心配になるの!大丈夫?」





おっとと。サラちゃんごめんごめん。

まさか頭の中にもう一人オマケ様って方がいて、その人と喋ってたなんて説明するわけにはいかないので、適当にごまかす。

多分、本当のことを話しても、信じられないだろうしね。




......もー、そんな心配そうな顔しないでよ、サラちゃん。

ってか普段アホだなーって思いながら見てるから最近は全然そんな印象ないけど、こうしてまじまじと顔見たらマジでかわいいなサラちゃん。

私に負けず劣らずの美少女として認定してあげよう。なでなで。


「わっ......エ、エミー、なにするの、もうっ!」


なでてあげたら、顔を真っ赤にして照れた。かわいい。

......ん?メイード先輩が何やら必死にアイコンタクトを......?

あぁ、はいはい。使用人がご令嬢の頭をなでるのは、不敬だと。

申し訳ない。今すぐやめます。


......やめたらやめたで、今度はサラちゃんが残念そうな顔するし......。

あちらを立てたらこちらが立たず。





「ねぇ、エミー......。私たち、仲良し、だよね?」


んんん?なんだいサラちゃん、急に切なそうな顔して。

まぁ仲良いか悪いかで言ったら、良いんじゃない?

こくりとうなづく。




「私たち、お友達、だよね?」


んんんんんん!?

お友達!?お友達ときたかぁ。

うーん、サラちゃんと私の関係は雇用主の娘と使用人なのであって、お友達とはまた違うような......。


<でも、こうして仲良くお喋りしたりしていますよね?雇用主の娘と使用人......その関係性は前提としてあるにせよ、お友達と言ってしまっても問題ないのでは?>





........................。





え!?





そうなのオマケ様!?

私とサラちゃんって......お、おおお、お友達なの!!?


<と、突然何を興奮しているんですか?エミー>


だ、だって!だってだって!

私、前世にも今世にも、お友達っていたことなかったんだもん!

今世は呪い子って呼ばれて人から避けられて、前世では父親の問題とかあったし、あと、とにかく巡り合わせが悪くて何をどうしても友達ができなくて......。

え、え、え、そんな私が、お友達!?お友達に......なっても良いのサラちゃん!?


<あぁ......そういえばエミー、故郷の村でもお友達、作りたがってましたもんねぇ......ようやく願いが叶いましたね。おめでとうございます、エミー>


涙腺はもはや完全に崩壊。

無表情なのは変わらないけど、涙が滝のようにあふれ出てくる。


「えっ!?ど、どうしたのエミー!?」


サラちゃんは突然号泣を始めた私を気づかって、心配そうに背中をさすってくれる。

優しい。サラちゃん優しい!


「......なんでもない。これは、ただの汗」


「どう見ても目から流れ出してるのに、その言い訳はないと思うの!?」


あぁ、サラちゃん、アホだアホだと思っていたけど、ちゃんとつっこみもできるんだねぇ。

ごめんね、今まで心の中でアホアホ連呼して。

もうしないからね。

だって......。


「......私たち、友達......」


そう、私たちは友達なのだから......!

友達は、相手のことをアホだなんだと蔑んだり、しないものだと思うから......!!




「......!そうなの!私たちは友達なの!!」


私の言葉を聞いて、サラちゃんは嬉しそうに笑う。

そして、次のように言った。


「私ね、エミー。ずっとエミーと一緒にいたいなって思ってるの!お父様とモーブおじさんみたいに!」


にこにこと、輝くような笑顔で、言葉を続ける。


「だからね、もしエミーが良ければなんだけどね?......エミーにもメイドとして、私と一緒に学園に来てほしいの!」





........................。




え?





「学園の寮にはね?何人か使用人を連れて行って、一緒に住めるって前にお母様が言っていたの!だからエミーも、一緒に学園に行けるの!」







........................。




え?





「......?どうしたのエミー?......もしかして、私と一緒に学園に行くのは、嫌?」




眉を下げ、悲しそうな、不安そうな顔をしながら、突然固まった私の無表情をのぞき込む、私のお友達。

首を横に振る。


「なら、一緒に学園に行くの!これからもずっと一緒なの!」






........................。



それは。








「それは、決めるのは、男爵様」







私はそう、答えることしかできなかった。






いや、メイド見習いとしては、正解の回答だったと思うんだけど。






でも、私は。






お友達からのお誘いに、自分の気持ちで、答えることができなかった。






生まれて初めて、私は。





自分で自分の気持ちが、わからなかったのだから。










ズズズズズ......。


どこか遠くで、地滑りでも起きたのかもしれない。

雨にまじって不気味な音が、響いていた。

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― 新着の感想 ―
立場をメイドにしたらお友達じゃないと思うけど…いいのかな?
[気になる点] こんなにミスの多いモブおじと冒険者時代からずっと一緒にいたマッサラ 冒険者時代のモブおじはミスとかせずに普通にイケイケだった?そうじゃなかったらミスしていつもマッサラに怒られたりいじめ…
[一言] きゃっきゃと戯れるエミーさんとサラお嬢様、ほんとこのお嬢様はあっさりと垣根を飛び越えてくれるよね。色々なんか波乱含みだけどエミーさん、お友達ができて良かった良かった。それはそれとして一連の犯…
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