表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
5 エミー、メイド見習いになる!初めてのお友達編!
58/716

58 オマケ様の推理(ポンコツ)

さて、屋根板事件の翌日である。


昨晩から降り始めた雨は、今もざあざあとお屋敷の屋根を叩いている。

サラちゃんはこの天気ではお外に遊びに行けないのは確定なので、ちょっぴり不機嫌だ。

まぁ、昨日の今日で、外に行かせるような真似はしないけどね。晴れていたとしても。




んで。


今私が何をしているかと言えば、サラちゃんがお勉強しているのを、後ろで見守っております。

いつもなら今の時間帯、午前中はメイード先輩とお屋敷の掃除をして回っているところなんだけど、さすがに昨日あんなことがあったばかりだからね。

念のために護衛としてサラちゃんの近くにいるように、こっそり男爵様から指示があったのです。


ということは、昨日の屋根板落とし。

犯人が身内にいる可能性に、男爵様も思い至っている、ということだよね。

そうじゃなきゃ、結界によって部外者の侵入を防いでいるはずのお屋敷の中で、護衛をつけようとは思わないもの。

昨晩見せたあの無理やり作った笑顔は、身内を疑わなくてはならない心苦しさを隠していたものなのかもしれない。



「......では、ここで昨日の復習よ、サラ。我が国一の魔鉱石の算出量を誇るザクザーク鉱山があるのは、どこだったかしら?」


「え、えっと......マルモーケ伯爵領......?」


「......違います。デスワー公爵領です。あのね、デスワー公爵領の長女、イジワール様はあなたと同い年......ご学友になられる方なの。もしお会いすることがあった時に、公爵家のこと、何もわかりません!では失礼になるでしょ?ちゃんと覚えましょうね?」



サラちゃんは現在、奥様に教わりながら地理のお勉強に苦戦中。

......彼女には、昨日の屋根板事件はただの事故であるとしか伝わっていない。

怯えさせたらかわいそうだという、男爵様の配慮だね。


ただ、この元気いっぱい男爵令嬢。

今日は雨も降っているからごまかせるだろうけど、いつまでも『外に行っちゃいけない』と押さえつけておくことはできないだろう。

多分、数日で我慢の限界が来て、暴走する。

具体的には、大人の目を盗んで外に遊びに行く。

アホだからね。


<だからこそ、少なくとも屋根板事件の実行犯については、速やかに見つけ出し拘束する必要がありますね!>


......オマケ様、なんでちょっとワクワクしてんの?


<命を狙われるご令嬢、そしてご婦人!犯人は仲が良いはずの、お屋敷の人間!笑顔の裏に隠された、愛憎模様......!こういうシチュエーション、私、探偵神の異世界転生配信で、視たことがあります!>


あぁ、状況がミステリーものみたいだから楽しくなってきた、と。

正直、短期雇用とはいえお屋敷の関係者になってしまった私としては、そんなん楽しむ余裕なんか微塵もないけどな!

でも、早く実行犯を捕まえなくちゃいけないってのは、同意するよ。


<はい!ですから私、昨晩からずっと推理していたんです!一体、誰が犯人なのかということを......!>


ほう。

じゃあ、オマケ様は、犯人の目星がついていると?


<いえ、残念ながら......。怪しんでいる人はいますが、証拠はありませんので。しかし、エミーも護衛をするうえで、改めてお屋敷の人間についての情報を整理することは、無駄ではないと思いますので......>


うん、わかったよオマケ様。

ならばあなたの推理ショー、聞かせてもらおうじゃありませんか。

もちろん警戒は続けながら、だけどね!




◇ ◇ ◇



<まず、おそらく犯人候補から外しても問題がない人物が二人います。サラ・サラー男爵令嬢、そしてイーマ・サラー男爵夫人です>


うん、馬車襲撃も屋根板事件も、おそらくこの二人を狙って起きた事件だしね。

二人の内どちらが標的なのか、二人とも標的なのか、その辺ははっきりしないけどね。




<次に、マーツ・サラー男爵ですが......>


男爵様も犯人なわけないよね?狙われている二人の家族なんだし。

多分あの人、ちゃんと自分の妻や娘、愛しているよ。

私の......ゴミクズ家族とは違うよ。


......あ、奥様がちらちらこっち見てる。

思わず殺気が漏れて【威圧】になっちゃったみたい。

なんでもない、なんでもないんですよー......。


<というか、犯人であるならエミーに護衛を頼んだりしないですし、私も男爵は犯人とは違うとは思っています。ただ......>


ただ?


<いくらエミーの実力を夫人やメイドから聞いたとはいえ、突然現れた浮浪児、しかも黒髪黒目の呪い子を護衛に雇うという行動には、それなりに違和感を覚えます>


うーん、言われてみればそうかも?

悲しいけど、黒髪黒目の人間って、村にやってきたら槍もって追い返されるレベルで嫌われているからね(体験済み)。

どっちかっていうと、このお屋敷で言えば陰険家令の対応こそが呪い子に対する一般的な対応である気がする。


<この行動の背景には、何らかの事情があるのかもしれませんね。ただ、今回の事件とは関係ないように思えますので、これ以上の考察はしません>


なんか、その辺の事情は聞けば答えてくれる気もするけどね。

今度機会があれば聞いてみよう。




<続いて、メイドのメイードについてです>


メイード先輩は確か馬車襲撃の時、サラちゃんたちと一緒に襲われていたよね?

犯人なわけないと思うけどなぁ。


<実は襲われたふりをしていただけで、全てが終わった後、盗賊たちから自分だけ見逃してもらう、という手はずだったのかもしれません>


えぇーっ!?


<あくまで可能性の話ですが、あり得なくはないでしょう?>


うーん......でもさ、オマケ様。

メイード先輩は見た感じ、お掃除が得意なだけの普通のメイドさんだよ?

そんなに力は強そうじゃないし、普段意図的な【身体強化】を使っているのも見たことないし......昨日の屋根板だって、けっこう重たいものだったし、アレを下に落とすのもメイード先輩には一苦労なんじゃないかな?

やっぱりメイード先輩には犯行は難しいよ。


<......もしかしたら、あのメイドは本当の実力を隠しているのかもしれません>


いやいやいや、ないって。

なんなの?何でオマケ様メイード先輩を疑ってんの?


<メイドが実は暗殺者というのは、異世界転生配信あるあるだからです!>


ただの偏見かよ!!




<ついでに使用人のモーブですが......>


ついで扱いはやめてあげてよ......。

確かに地味なおじさんではあるけどさ。


<この人は、馬車襲撃の際には、実際に盗賊に襲われて気絶していましたからね。メイドとは違ってあれがお芝居であるとは、私は思えません>


ぐぬぬ、オマケ様、メイード先輩黒幕説に固執しすぎだよ!

思い込みは良くない!


<ただ、男性ですし、板を屋根から落とせるくらいの体力はありそうですよね>


それを言ったら、あの陰険家令だってそうだよね?

そもそもの話になるけど、『板を落とせるだけの体力がある』って条件があるんだもん、男爵様を除外したら屋根板事件の容疑者って、モーブおじさんか陰険家令しかいなくない?



<あっ>


『あっ』って!?

昨晩からの推理とは一体......!?


<ご、ごほん!続いて家令のスネイゲンについてですが、この人は馬車襲撃には巻き込まれておらず、屋根板を落とせるだけの体力もあります>


しかも性格も悪い!

いつも奥様、奥様っていって男爵様を蔑ろにしている感じもあるし、なにかしらの確執とかありそうだよね!


<しかし、ですよ?馬車襲撃にしても屋根板事件にしても、エミーがいなければ夫人が傷つけられていた可能性は大いにあるのです。そんな真似を、あの奥様大好き家令がやると思いますか?>


う、確かに......。

それに、普段の陰険家令の様子を見てると、あの人性格は悪くても仕事には一生懸命なんだよね。

わざわざ自分の仕事にケチをつけるような......サラちゃんたちを傷つけるような真似は、やっぱりしないと思うんだよなぁ。







うぅーん、結局誰が犯人なんだろう?

考えてもわからないよー!


<やはり、ここは『実は実力を隠していたメイドが犯人』説を、私はおしますね!『メイドが強者』はセオリーですから!>


なんのセオリーだよ!



むーっ......そもそもさ、オマケ様。

色々考えてみたけどさ。


<はい、なんでしょうエミー>


私たち、男爵家の面々とはつきあいも浅いから、みんなの犯行につながる動機なんか、ちっとも想像つかないしさ。


<はい>


何かしらの証拠を持っているわけでもないしさ。


<はい>


そんな中であれこれ考えても、それは推理じゃなくてただの妄想なのでは?


<............>


......オマケ様?
















<............つーん>










拗ねんな!!!





オマケ様の推理は思ったよりもポンコツで、事件解決には何ら役に立たなかった。

ま、私は探偵ではなく護衛なんだ。余計な事考えずにサラちゃんたち守ってりゃ良いんだよ!

そう、開き直ることにした。

オマケ様はサポート系キャラのくせに割とポンコツ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] デスワー公爵家に、イジワール公爵令嬢。 桃色髪の天真爛漫男爵令嬢。 同年代の2人。共に学園へ。 これ“そーいうこと”じゃん!?
[一言] イジワール・デスワー様がめちゃくちゃ優しい天使みたいな子だったらいいねw
[一言] 前話に続いて探偵オマケさまが行く、残念なことにポンコツ推理であったことが判明(´Д` )しかも家令説も反証されてしまったー(._.)うん私もポンコツ……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ