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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
3 山奥で謎のじいちゃんと修行編!
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29 【殺戮の巫女イントロ】死神の教団

 今にも雨が降り出しそうな黒い雲が広がっている。

 時折稲光が走っては廃墟となった礼拝堂の中を照らす。

 ここはかつて、魔物の大群に襲われ滅び、放置され続けている廃村だ。


 もはや在りし日にこの村がなんと呼ばれていたか......それすらも覚えている者はほとんどおらず、かつて美しい白で壁を塗られ清潔に保たれていた礼拝堂も、今はその身を朽ちるにまかせるのみ。

 ......そのはずであった。




 轟音と共に広がる落雷の激しい光が、再び礼拝堂を照らす。

 人の手によって最近作られた、礼拝堂内部の装飾を照らす。

 そう、住民などいないはずの廃村の礼拝堂には、確かに神を讃えるための装飾がなされている。

 しかしそれは、花を活けてあるとか、神を象った木像を飾ってあるとか、そういった類のものではない。




 生首である。




 狼、猪、鹿、鼠......そして、人。

 苦悶の表情を浮かべたそれらが礼拝堂の机上に規則正しく並べられ、壁には血を使って冒涜的な模様、そして神に捧げる祝詞が描かれている。

 もし敬虔な聖神信者をこの空間に放り込んだら、5秒と保たず発狂するであろうこの空間の中心には、黒ローブで全身を覆った5人の男女が車座になり、奇妙な魔法陣を囲んでいた。




「......神託が降りました」


 ひときわ豪華な刺繍の入ったローブを羽織る、スキンヘッドの男......教祖ダハチエが、微かな笑みを浮かべながら、しかし厳かにそう言った。


「おぉ......!」

「一体、どのような......?」

「ありがたや......」


 教団員たちはざわめき、教祖の次なる言葉を待つ。

 再び場が静まったのを確認し、ダハチエは言葉を続ける。




「『我が巫女、殺戮の巫女、降臨す。白髪の娘、トーヴェールの末娘なり』」


「なんと......!巫女様、とは......!」

「トーヴェール......デーメス国の伯爵家か」

「早速お迎えにあがりましょう......!」




 彼らは死神の教団『紫ノ二ツ輪』。

 死神アロゴロス信仰を掲げる集団の中でも指折りのカルト教団だ。

 暗殺を生業とする腕利きが集まっており、彼らは人を殺し、魂を死神に捧げることで徳を積み、また現世で生きていくための『浄財』を得る。

 彼らの目的は徳を積み続け、アロゴロスの覚えめでたき眷属となり、永遠の殺戮に従事することである。




「......神託には続きがあります。早まってはなりません」


 立ち上がり、すぐにでもデーメス国に向かおうとする教団員たちを抑え、ダハチエは静かに続ける。




「『巫女の導き手は汝らにあらず。ザハヌの奥地に住まう“アーシュゴーの死神”なり。汝ら、巫女と導き手を引き合わせるべし。それこそが、汝らに課せられた神命である』」




 教祖の語る神託の内容に衝撃を受け、固まる教団員たち。


「なん、だとッ......!!?」


 一人の男が、激昂してダハチエに詰め寄る。


「我ら、尊き神アロゴロス様一の信徒なり!なにゆえ我らは巫女様の導き手足りえぬのか!?」


 ダハチエは柔和な顔を崩さず、穏やかに、そして静かに一言。


「黙りなさい」


 そう言った。







 次の瞬間だった。


 ダハチエに詰め寄っていた男は、見えない何かに全身を細切れにされて、死んだ。


 ぼとぼとと肉塊が床に落ち、広がる血の海が魔法陣を塗りつぶす。




「おぉ、尊き神アロゴロス様......新たな供物を捧げます。お受け取りくださいませ......」


「「「お受け取りくださいませ......」」」




 腰を折り胸元で印を組み、神に祈りを捧げること数分......ダハチエが再び口を開く。


「ザハヌはレイブレイク国とテーニディース国の境にそびえる霊峰......。我らが巫女、トーヴェールの末娘はまだ6歳であると聞きます。幼き御身にザハヌの道中はいささか厳しい。先に導き手と接触し、彼の者をつれデーメス国に向かうのが良いでしょう」


 教祖の方針に異を唱える教団員はいない。

 それぞれが頷き、旅立ちの準備を始めるため動き出す。


「それにしても、“アーシュゴーの死神”......『殺せぬ者はない』とまで言われた、伝説の暗殺者か......」

「10年前に姿を消したと聞いていたが、まさか霊峰ザハヌ......守護聖獣ジャーナヤハーマのお膝元に姿を隠していたとは」

「我らが神と同じ二つ名を冠するとは、なんたる罰当たりか......」

「............」


 教団員たちの会話を、笑みを絶やさず黙って聞いている教祖ダハチエ。

 そんな彼に、再度語りかける者があった。

 その名はヨーロン。

 教団員の中で最も若い、経験の浅い信徒である。


「それにしても教祖様、やはり気になります。何故我らはアロゴロス様に、導き手として認められなかったのでしょうか?」


「............」


「我らは日夜殺し、殺し、殺し......魂をアロゴロス様に捧げて参りました。それなのに何故......」


「............」


「教祖様、教祖様は何か、その点について神託をいただいてはおりませんか?我らには一体、何が足りなかったのでしょうか?」


「............」


 教祖ダハチエは何も答えない。

 ただ微笑み、じっとヨーロンを見つめた。







 次の瞬間には、ヨーロンもまた、先ほどの男と同じように細切れの肉塊になり果て、地面に転がっていた。




「おぉ、尊き神アロゴロス様......新たな供物を捧げます。お受け取りくださいませ......」


「「お受け取りくださいませ......」」







「......それでは行きますよ、皆さん。導き手、そして我らが殺戮の巫女様を、お迎えにあがるのです」


 未だ暗雲たちこめる中、『紫ノ二ツ輪』の3人はザハヌに向け旅立っていった。

 雷鳴はごろごろと、いつまでも遠くの空で鳴り続けていた。

 なんか、敵組織っぽい連中が登場したと思ったら、その回のうちに5人中2人が勝手に死んでる......。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 邪悪な教団で行われる日常的に行われる無惨な粛正、しかしこんなポンスコやりまくってたら消費が勧誘を上回って勝手に全滅する気がしますね。もしやどっかの赤い帝国のように信者は畑からジャカポコ…
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