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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
10 ルークリース家の姉妹編!
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145 奇妙なお屋敷

......奇妙だね、オマケ様。


<奇妙ですね、エミー>




大雪原をあてどなくさまよっていた私こと、野生児系美少女エミーちゃん8歳。

そんな私の目の前に突如として現れたのは、何とも、『奇妙』としか言いようのない外観をしたお屋敷だった。

まず、屋根は真っ赤。真っ赤っか。あと、窓枠とか、要所要所も赤く塗られている。

そして壁は真っ黄色に塗りたくられ、ところどころに赤い水玉模様が描かれている。

周りには真っ白な雪が降り積もっているだけに、その外観は異様に目立つ。


<あぁ、いえ、この外観は確かに目立ちますが、それは別に良いのです。これはサンコリック様式といって、300年ほど前にこの大陸で爆発的に流行した建築様式なのですよ。現在でも、歴史ある建物で、時折見ることができます>


えぇ!?

じゃあこのお屋敷、歴史的建造物ってこと?

その割には、それなりに新しそうに見えるけど?


<きっと、維持管理をしっかり行っているのでしょうねぇ。そんなことよりも、エミー、私が奇妙と言ったのは、このお屋敷の立地条件についてですよ>


立地?

......周りに何もない大雪原の中、このお屋敷だけがぽつんとあるのは、おかしいってこと?


<はい、その通りです、エミー......もしかするとこのお屋敷、王族......いや、大富豪とかの、別荘かもしれませんよ?>


は?なんでそうなるの?


<これだけアクセスの悪い環境にお屋敷を構えているのです。もしかしたらこのお屋敷の持ち主は、転移魔法陣を所有しているかもしれないからです>


転移魔法陣?


<離れた場所をつなぎ、一瞬で移動を可能にする......わかりやすく言えば、魔法の力で作ったワープ装置でしょうか?それが転移魔法陣です>


へぇ!便利なものがあるんだねぇ!

でも、どうしてそれを持っているのが、王族だの大富豪だのって話になるの?


<とても珍しいものだからですよ。なにせ、現在の人間の技術で作成することは、ほぼ不可能であるとも言われていますからね。現在この世界に残されている転移魔法陣は、神が人に授けた“神造魔法陣”か、超古代魔導文明が栄えた時代に作られた遺物です。どちらにせよ、とてつもなく珍しいものであり、一般庶民がおいそれと所有、そして使用することのできるものでは、ないのです>


ちょ、超古代魔導文明!?

なにそれ!?なにそれ!?


<まぁ、それについてはおいおいお話しましょう。それよりも、せっかくお屋敷を見つけたのです。中にお邪魔しませんか?いい加減私、寒いんですけど>


うん、寒い。

それについては私も同意するよ。

私も強くなったし、以前大量に狩った狼の毛皮をもこもこに着込んでいるから、耐えきれない寒さというわけではないんだけどね。


でもさ、オマケ様......。

もし私があのお屋敷に「お邪魔しまーす!」って元気に侵入していったとして、どうなると思う?


<......明かりもついていますし、空き家だとか留守だとかというわけでは、ないようですからね......騒ぎに、なりますね>


うん。

私、黒髪黒目だから。

呪い子だから......。


<いや、それ以前に、今のあなたの恰好がやばいですね。多分、その姿で人前に出ていけば、『血まみれ毛玉マン』とかいう名づけを行われ、魔物認定されます>


ははは、こんな美少女を捕まえておいて、何を言っとるかね、オマケ様。

ぶっとばすぞ、こら。

ぶっとばせねぇけど!


まぁ、とにかく冗談はさておきですよ。

私はこのままお屋敷に入ることはできないね。

無駄な騒ぎが起きる。


<なら、どうしますか?>


私は、顔を横に向ける。

そこあるのは、お屋敷と同じように真っ赤な屋根と真っ黄色の壁を持つ、比較的小さな建物。

多分、これは倉庫だ。

この倉庫の中にちょっとお邪魔して、休憩をとらせていただくことにしよう。


<えー、お屋敷に侵入しましょうよー?そっちの方が絶対暖かいですよ?>


良いの、良いの。

余計なトラブルなんか、無いに越したことないんだから。


<良いじゃないですか、騒がれても!二度と騒げないようにしてしまえば!>


発想が怖いよオマケ様!

まったく、この方ったら、すぐ私を人類の敵に仕立て上げようとするんだから~......。


<だって、暖かい方が、良いじゃないですか~......>


はいはい、我慢我慢。

さっさと倉庫の中に入りましょうね!


もぎゅっもぎゅっと雪を踏みしめて倉庫の扉の前まで移動する。

倉庫はお屋敷に比べると若干小さくはあるものの、十分に立派な建物だ。

扉も金属製で大きく、なんだかちょっと物々しさすら感じる。


とりあえず、ちょっと中に入らさせてもらいますよ~!

えいっ。


......ズ、ズ、ズズズ......バキンッ!!......ギギギギギギギギ......。


私が少し力を込めると、低い音を響かせながら、金属製の扉はゆっくりと開いていく。

幸いなことに、扉にカギとかは、かかっていなかったみたいだ。


<いやいや、『バキンッ!!』って音、しませんでしたか?あれって、カギが壊れた音なんじゃ......?>


......オマケ様、やっぱりそう思う?

......ま、やっちまったもんは仕方がねぇな!

後でこっそり大きめの魔物でも狩って、お詫びにプレゼントしてあげよう。


さて、そんなことより、だ。

ちょっとお邪魔しますね~!




......ギギギギギギギギ......。




倉庫に侵入し扉を閉める。

この倉庫は石造りの建物で、派手派手な外観とは裏腹に、中にあるのは石畳と石壁だ。

天井近くの窓から注ぎ込む光が、がらんとした倉庫の中を照らしている。


<......何も、ありませんねぇ。てっきり、食べ物か何かでも、保管されているのかと思いましたが>


そうだねぇ、オマケ様。

まぁ、食糧保管用の普段使いの倉庫にしては、なんだか扉が物々しすぎたしね。

どういう用途の倉庫なんだろうね?

......ん?


<どうしました?エミー?>


うん、倉庫の隅......何かが光ったような気がしたんだよねぇ。

近づいてしゃがんでみると、そこに落ちていたのは大豆ほどの小さな鉱石の欠片だった。

摘まみ上げて、よく観察する。

ほんのり赤いその鉱石は、天井からの光を浴びて、きらきらと輝いている。


<あ、これ、魔鉱石ですね。さすがに種類までは詳しくわかりませんけど>


魔鉱石?


<地脈の影響を受けるなどして、魔力を浴び続けることで、魔力変質した鉱石のことですね。色々な魔道具の原材料になったりするんですよ>


へー。

その欠片が落ちているってことは、この倉庫はもともと、その魔鉱石とやらを保管しておくための倉庫だったってことかな?


<うーん、そうかもしれませんが......>


なんでこんな山奥の雪原の中にある別荘?に、そんな倉庫が必要なのかって、疑問が残るね。


<謎が深まりますねぇ......これは私の推理力が試される展開が、この先待ち受けているとでも言うのでしょうか......!?>


だとしたら、苦戦は必須だねぇ。


<なんですってー!>


あはは、冗談ですよオマケ様!

頼りにしてますって!


でもまぁ、私はちょっと休憩場所としてこの倉庫をお借りしているだけだし、この倉庫が何なのかとか、あのお屋敷がなんなのかとか、どうでも良いことじゃない?


<えー、でも気になります>


それなら......よいしょっと。

私は倉庫の石壁に背を預けて座り込み、目をつぶる。

集中する。

お屋敷の方を、意識する。


私は長い長い野山での生活、そして魔力変質を経たおかげで、とても鋭敏なスーパーファンタジー聴覚を手に入れている。

こうやって、集中しさえすれば......。


「......を、お願いね」

「......かしこまりました、それでは......」

「......お掃除が、また......」


ほら、この通り!

倉庫の中にいながらにして、隣のお屋敷の中の会話すら、聞き取ることができるのだ!

さすがファンタジー異世界だね!!


<さすがにファンタジー異世界でも、それをできるのは多分ごく一部ですからね?相変わらずのあなたの超人性には驚くばかりです>


ともかくですよ、オマケ様。

どうせ休憩中は暇なんだから、ここでお屋敷の中の様子をうかがいましょうよ。


<なるほど。会話を盗み聞きしていれば、私たちの疑問も氷解するかもしれないと、そういうことですね?>


そういうこと。

まぁ、暇つぶしだから、わかんないならわかんないままで良いんだけどね。




そんなこんなで。

私とオマケ様は、お屋敷の中の会話の、盗み聞きを始めた。


......その、次の瞬間だった。


お屋敷の中から、甲高い、ヒステリックな叫び声が聞こえてきたのは。

ちょくちょく出てくるオマケ様の邪悪さ。

この方もこの方で、色々と胡散臭い部分、ありますよね。

ただ、エミーの味方であるという、それだけは決して揺るぐことのない事実です。


そして何やら、お屋敷の方で事件が発生したようですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 血まみれ毛玉マン。 もはや呪い子どころかモンスター的存在にランクアップしてしまったエミーさん(´Д` )ほんとヨシャンカの町がルート分岐だったのね。 [気になる点] 超古代魔導文明、なん…
[良い点] >......奇妙だね、オマケ様。 奇妙なのはお前の服装(?)だよ!って、いきなり読者にツッコませる高等テクニックか!?
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