14 ミョゴミョゴシュゴの精霊(偽)
それはあるいは、彼らなりの己の運命への、反逆だったのかもしれない。
......エミーのカゴに捕らわれたミョゴミョゴシュゴが、一斉に目を覚まし、叫び始めた。
◇ ◇ ◇
「「なんだ!?」」
盗賊どもが一斉にこちらの茂みを見る。
あ......あぁ~~~っ!ばれた!ばれちゃった!なんてこった!
やっちまったーーーーーーっ!!とっとと逃げればよかった!
赤髪のガキがどうこう言うから少し気になってついつい長居しちゃったよ!ちくしょうっ!
それにしてもミョゴミョゴシュゴめ!
鮮度がどうこう言ってる場合じゃなかったんだ!
カゴに入れる前にきっちり殺しとけばこんなことにはならなかったのに!
どっどうしよう!?どうしようオマケ様!!
<落ち着くのですエミー!奴らが気づいたのはあくまでミョゴミョゴシュゴの存在です!エミーがここにいることは、まだばれていません!>
「......はぁ、なんだ驚かせやがって。ミョゴミョゴシュゴかよ」
四角い顔の盗賊が警戒をとき、ため息をつく。
<ほら!このままここでじっとしていましょう>
そ、そうだねオマケ様!
奴らがまた油断したら、こっそりこの場を離れよう......!
「いや、まてタッパ。安心するのはまだ早い」
えぇーっ!?
しかし細長い顔の盗賊が、警戒を緩めない!
「ミョゴミョゴシュゴは縄張り意識が強く、そう群れたりはしねぇ魔物なんだ。あの茂みにミョゴミョゴシュゴが大量に集まっている?......明らかにそれは、おかしい。オレはミョゴミョゴシュゴマニアだからわかる」
ミョゴミョゴシュゴマニア!!??
なんでそんな私にとって都合の悪いマニアが、ピンポイントでここに存在してるの!?
悪運ここに極まれりだね!!
「......おい。そこに誰かいんのか?いるんなら、すぐに出てこいや」
一番でかいひげもじゃの盗賊......奴らのお頭が、こちらに向かってドスをきかせた声で脅しをかける。
ど、どうしよう!?どうしよう!!?
<お、落ち着くのです、エミー!ごまかしましょう!なんとかごまかしてください!!>
えぇーっ!?オマケ様そんな無茶な!えっと、えーーーーっと......!?
......私は深呼吸をし、なるべく厳かな声をイメージして、盗賊たちに語りかける......!
なんとかここに人間はいないのだと、アピールをするのだ......!
「..................私は......ミョゴミョゴシュゴの......精霊......」
「「ミョゴミョゴシュゴの精霊!!?」」
<アホーーーーーーーーーーーーーッ!!どういうごまかし方ですかーーーーーーーーーーッ!!!いくらあの盗賊たちが愚かでも!そんな言葉信じるわけないじゃないですかーーーーーーーッ!!!>
だって!だってーーーーーっ!!
なぁーーんもごまかし方が思いつかなかったんだもん!!しょうがないじゃん!!
文句があるなら、オマケ様がもっと具体的なアドバイスすれば良いでしょーーーーーーーーっ!!
「お、おいアンダー!ミョゴミョゴシュゴの精霊だってよ!?」
「あぁ、タッパ......!まさか実在するとは......!!?」
信じたーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!???
アホだこいつらーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!
ってか『まさか実在するとは』ってなに!?
そういう伝承があるにはあるの!!?
よし!でもとりあえずOK!
私はミョゴミョゴシュゴの精霊!
この路線でごまかしていこう!
「......盗賊たちよ......お前たちに、ミョゴミョゴシュゴを......授けよう......」
「ミョゴミョゴシュゴを!?」
「なんで!?」
「別にいらねぇ!!」
盗賊の下っ端二人は混乱している!
「............よく焼いて、食べるといい......!」
私はカゴの口を開け、盗賊たちに向けて思いっきりミョゴミョゴシュゴを......投げた!
「「「ミョゴーッ!!ミョゴミョゴミョゴッ!!シュゴォーーーーーーーッ!!!!!」」」
「「食わねぇよ......うわぁッ!!?」」
突然大音量で叫ぶ大量のミョゴミョゴシュゴを投げつけられ、とっさに腕で顔を隠す盗賊たち。
......今だ!目線がそれた!
茂みから飛び出す。
盗賊どもから逃げるために。
走り出そうと、奴らに背を向けて、顔を上げる。
そして気づく。
奴らのお頭が回り込み、既に私の進路を塞いでいることに。
「オラァッ!!」
「ぐっ......!」
何の遠慮もなく私を蹴り飛ばすお頭!
なにこれ、5歳の女の子に放っていい蹴りじゃないよ!?これ!
【身体強化】してなきゃ、絶対に骨が数本折れている。
......いや、そもそも5歳児に暴力ふるっちゃいけないよ!?
「......ずいぶんと薄汚い精霊だなぁ?おい」
お頭が地面に転がる私を見て嘲る。
なんだと薄汚いだと?鏡を見ろ鏡を!
「あ!?」
「なんだこのガキ!?」
下っ端二人も私に気づく。
「オレはよう......お前たちのこと、バカだバカだと思ってはいたが......。まさかこんな茶番に乗せられるほどバカだったとは、思っていなかったぜ......」
下っ端を睨みつけながら、あきれて顔をしかめるお頭。
睨みつけられた二人はまた暴力を振るわれることに怯え、体を震わせる。
その様子をみて、お頭はニヤリと笑った。
「だが......まぁいいさ。許してやるよ。お前ら、面倒見の良いお頭に拾われて、よかったなぁ?感謝しろよぉ?」
「「はいっ!!ありがとうございます!!」」
そしてお頭は厭らしくて気持ちの悪い笑みを浮かべたまま、私に向き直り、こう言った。
「......お前らも、赤髪のガキにいいようにされて、むしゃくしゃしてんだろ?......このガキ、やるよ。好きに殺せ」




