表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/41

キラリちゃんを奪還せよ

 武士君はみゆきに殴られて、倒れ込みまた泣いてしまった。こいつはキラリちゃんがいないと何も出来ないのか?さらに泣いてしまった。


 とにかくキラリちゃんを探すために、みゆきはメグさんにこの事を報告した方が良いと思ったが、キラリちゃんの言うとおり、メグさんは忙しい人だ。だったらみゆき一人でキラリちゃんを探さなければならない。


 みゆきは泣いている武士君をほおって置いて、みゆきの水晶玉でキラリちゃんの居場所を探った。すると蔵石は仲間達と、車で今移動している。まいったな、みゆきには車を運転する能力は持っていない。だったらこの競馬で稼いだお金を使ってタクシーでその後を追うしか無い。


 みゆきは涙を流している武士君を置いて、中央公園を出て丁度タクシーが来たので、それに乗ってみゆきは行き先は聞かれたが、蔵石達の姿が見えたが、どこぞの人気のいない河川敷の奥へと進んだ所までは分かった。だからみゆきは運転手に、ここから近い河川敷に向かっていってと伝えてタクシーは走り出した。


 みゆきはキラリちゃんが無事でいるように祈るほか無かった。まさか蔵石はみゆきへの逆恨みでキラリちゃんを犯して殺そうとしているのか?分からないけれども、あいつならやりかねない。


「急いで運転手さん」


「はいよ」


 と運転手さんは言って、速度を上げた。


 キラリちゃんは今恐怖に心が染まっているのだろう。早くキラリちゃんを助けてあげたい。蔵石の奴は教師とは程遠い人物だと言うことは分かった。あの最低な人間のキン○マを握りつぶしてやる。でもやっかいなのは蔵石達の部下達だ。みゆきがある程度の未来が予測できても束でかかって来られたらどうする事も出来ない。


 とにかくみゆきが蔵石の所まで来るとは思うまい。どうか隙を狙ってキラリちゃんを蔵石から奪還しなければならない。急いで運転手さん。どうやらみゆきの勘は当たっていた。蔵石がいるのはみゆきが予言した河川敷に似ている。近くにこんな河川敷があったなんてみゆきは知らなかった。


 キラリちゃんをさらった蔵石を車を見つけた。


「お客さん。これ以上先はいけませんよ」


「ありがとう」


 そう言って一万円札を差し出した。


「お客さんおつりおつり」


「おつりは取って置いて」


「良いのかい?」


「ええ」


 と言って、ここは運転手によると、河川敷の果てで、誰もここに足を踏み入れることの無い所だと言っていた。河川敷を見渡すと、一台のワゴン車があった。遠くから見ると、キラリちゃんは腕を縛られて、ある鉄筋の建物に入っていた。運転手によるとここは昔、工場があったと言っていた。あの鉄筋の建物はその名残だろう。あそこに来る物は誰もいないのだ。


 蔵石の奴、あそこにキラリちゃんを連れて行って、卑猥な事をするのだろう。そうはさせない。でも迂闊にあそこまで近づけないだろう。そうだ。藪に隠れながら近づくしか無いだろう。


 みゆきは藪をかき分けながら鉄筋の建物の方へと進んでいった。そしてキラリちゃんをさらっていった鉄筋の建物に辿り着いた。中をのぞいてみると蔵石はキラリちゃんの服を脱がそうとしている。みゆきは耐えきれなくなってきた。


「そこまでよ蔵石」


 大声で叫ぶと、蔵石は振り返り。


「お前は坂下、どうしてここが分かった」


「教えてやるもんか。とにかくキラリちゃんをこっちに渡せ」


 そこでキラリちゃんは「逃げてみゆきちゃん。どうせこの人はうちらの事を犯すことしか考えていない最低な人間よ。そしてうちらを犯したら、粉々にして海にコンクリート詰めにして海に沈めるらしいよ」


「そんな事はさせない。蔵石お前だけは許さない」


 そう言って蔵石の元へ駆け寄ると、サングラスに黒いスーツ姿の男三人が現れた。やばい三人を相手にするにはこちらとて都合が悪い。

 とにかく三人を一人一人にして、引きつけるしか無い。でもその間にキラリちゃんはその清らかな体が蔵石の手で汚れてしまう。

 だったら三人同時に戦うしか無い。


「おい。そいつは何やら不思議な力を使う。だからこちらには銃を突きつけてやれ」


 何て事だ。それじゃあ蔵石の思うつぼじゃないか、さすがにみゆきでも銃に対抗する力は持っていない。


「蔵石、取引をしてくれ、キラリちゃんの代わりにこのみゆきが変わるから、キラリちゃんに手を触れないでくれ」


「そうか。お前がこいつの代わりになってくれるのか?そう言えばお前のおかげで楽しい学校の先生を辞めざるを得なくなったんだからな」


「そうだろ。あんたを教師辞職に追い込んだのはみゆきだ。だからキラリちゃんにひどいことはしないでくれ」


 サングラスをかけた三人はみゆきをロープで縛った。しかしキラリちゃんを解放する予言は無い。


「謀ったな蔵石」


「お前らは結構かわいいから俺がそれまでかわいがってやるからな」


 蔵石はみゆきがこうなったら何も出来ないことを知っている。本当にやられてしまった。


「まあ、安心しろ。お前達で俺が飽きたら二人一緒にコンクリ詰めにして海に捨ててやるからよ」


 そう言って蔵石はみゆきのワンピースを引き脱がしてみゆきは下着姿になってしまった。そして蔵石は誰も知ることの無い部屋へと連れて行かれて、閉じ込められてしまった。


「みゆきちゃんのバカ、どうしてうちの所まで来たのよ」


「だってキラリちゃんはみゆきの大切な友達だから」


 みゆきとキラリちゃんは下着姿のまま、牢獄へと閉じ込められてしまった。この風景は以前いた施設の時と一緒だ。でも今はみゆきはキラリちゃんがいる。みゆきは一人じゃ無い。みゆき達のような施設通いの子は、いなくなればそれまでだ。

 でもみゆき達の仲間である武士君や施設のみんなが悲しむ。

 けれどもみゆきにはパンツに隠して置いた水晶玉がある。

 もう一度あの時のように力を解放する事が出来ればみゆき達は助かる。

 だがみゆきにはあの時のような力が発揮されない。どうしてだ。

 手は何も出来ないように紐で縛られている。これでは力を発揮することは出来ないのか? でもパンツの中に隠し持ったビー玉サイズの水晶玉がある。

 パンツの中に隠して置いても未来は予言できる。

 みゆきとビー玉サイズの水晶玉は密着していれば未来を予言することが出来るのだ。


 このままでは蔵石達に犯されてコンクリ詰めにされてしまう。何とかしなければ。その時である。空からみゆき達の事を見ている感覚に陥った。その目はとても暖かくて見守られているような気がしてきた。本当に何なんだ?この感覚は。みゆきはなぜかその目に見られて安心してしまうが、蔵石にこれから犯される事には代わりは無い。


 あの時の力を使ったら、みゆきはキラリちゃんに嫌われてしまうかもしれないし、もう施設にはいられなくなってしまうかもしれない。でもキラリちゃんはみゆきの大切な友達だ。だから手放す訳にはいかない。


 嫌われたって良い。あの時、瞳ちゃんには嫌われてしまったが、キラリちゃんを助けるにはあの力しか無い。でもどうしたってあの時の力は解放されなかった。


 いやけれども、みゆきの予言ではこれ以上先はキラリちゃんが蔵石に犯されてしまうことに変わりないと、出ている。


 そして蔵石は私達をとらえた牢獄へと来た。


「よう、お二人さん。まずはキラリちゃんから、俺の相手をして貰おうか!」


「ちょっと待ってよ蔵石先生、まずはみゆきを犯したらどう、こう見えてもみゆきは施設ではモデルに抜擢される程の魅力があるんだから」


 蔵石は目を細めてみゆきが考えていることに不審に思っている感じだ。


「お前は何か不思議な力を持っているように思えるからな、お前は何を企んでいる」


「嫌だな、先生、みゆきは何も考えてはいないよ。キラリちゃんよりもみゆきの方が良いと思うんだけど」


「ダメだよみゆきちゃんうちが先に蔵石に犯されることにするよ」


「そんなのダメだよ。みゆきが先に蔵石に犯されてくるよ。どっちにしたって、蔵石はみゆき達を犯すつもりなんだから」


 そこで蔵石が「何をごちゃごちゃと言っている、それを決めるのは俺なんだよ。まずは河合キラリからかわいがってやるとするか」


 蔵石が鍵を開けて、みゆきは蔵石の手を噛みついて、手で叩こうとするのが目に見えている、でもよける事は出来るが、パンツに隠してある水晶玉を落としてしまう。だがどちらにしてもビー玉はみゆきのパンツから落ちてしまう。


 まずは叩かれることは避けられたが未来を予言する水晶玉は落ちてしまい、未来を見る力が半減してしまった。みゆきは思い切り蔵石の手を噛みついた、その手を使い物にならないくらいに思い切り。


「この野郎」


 蔵石はみゆきにお腹の上に位置する鳩尾に攻撃を加えようとするがそれもよけて、みゆきは噛みつく手を離さなかった。蔵石は悶えている。大きな悲鳴を上げて悶えている。みゆき達が犯されるなら、せめてこいつの手を使い物にならないようにしてやらないとみゆきは気が済まない。


「どうしたんですか?蔵石さん」


 やばい、蔵石の部下が来た。でもキラリちゃんが犯されるのとみゆきがここで死ぬ代償に蔵石の手を引きちぎってやると思っている。


 そして部下が拳銃を取り出して、みゆきを目がけた。みゆきの予言で蔵石に当たるように向きを変えた。そして部下が発砲して蔵石の肩に当たった。


「うぎゃああああああああ、何をしている貴様」


 ハハッざまあみろ。これでわずかながら蔵石に復讐する事が出来た。

 でもゴメンねキラリちゃん。みゆきは蔵石の怒りを買って、キラリちゃんは蔵石に殺されてしまうかもしれない。でも蔵石はみゆきの能力に気がついていない。蔵石の部下はみゆきが噛みついている蔵石の手を引きにゆくことを考えている。


 腕を拘束されては二人がかりではみゆきは太刀打ちできない。ここで未来が変わった。蔵石はみゆきとキラリちゃんを犯さずにコンクリ詰めにして消そうとしている。だったらせめて蔵石の手を引きちぎってやろうと思ったが、蔵石の部下に腹を殴られて、蔵石の噛みついた手を離してしまった。


「この野郎、お前は楽には殺さない。じわりじわりと苦しみながら殺すことにした。それも河合もだ」


 鳩尾に大の大人に思い切り殴られてみゆきの意識はかすかだが、蔵石はそんな事を言っていた。まずはみゆき達をこの牢獄に閉じ込めて置いて、空腹にして、餓死させようとしているようだ。


「・・・ちゃん」


 誰?


「みゆきちゃん」


 あーそうかみゆきは鳩尾を殴られて気絶していたんだ。そんなみゆきを心配そうにしてキラリちゃんがみゆきの事を呼び起こそうと必死になっている。


 あれ、未来が何も見えなくなってきたぞ。そうだ。水晶玉だ。みゆきは先ほど、蔵石に殴られそうな時にその腕を噛みついて、蔵石に振り回されて、水晶玉をパンツから落としてしまったんだ。


 水晶玉はどこにあるのだろう。と覚束ない意識の中で水晶玉を探しているみゆきであった。あれ、みゆきの手に水晶玉が握りしめられている。どうやらみゆきは灯台もと暗しと言う奴か、腕は拘束されたままで、水晶玉はみゆきの手の中にある。でも持っているだけでは本来の力は発揮することは出来ない。

 なぜ出来ないのだろう。それに牢獄から見える、空から何かに見守られているような感覚がする。

 その事をキラリちゃんに言ったら、頭を打ったの?と心配されてしまった。そうだよね。キラリちゃんはみゆきがどんな力を持っているか分からないんだったよね。キラリちゃん、みゆきは普通の人間じゃ無いんだそうだ。ホーリープロフェットを司る聖なる予言の使者みたいなんだ。でもそれもこれまでかもしれない。

 

 だって、水晶玉を持っていたとしても、その力は発揮されない。本当にみゆきとキラリちゃんはこれまでなのかもしれない。でもキラリちゃん。みゆきはキラリちゃんと一緒に死ねて良かったと思うよ。けれどもキラリちゃん、キラリちゃんを助ける事は出来なかったけれども、みゆきは最後の最後まで一人じゃなかった。


 みゆきは先ほど鳩尾にやられて、キラリちゃんの涙がみゆきの顔に降ってくる。その涙がみゆきの口元にしたたり落ちてみゆきは他人の涙の味を初めて知った。


 あれ?未来が変わった。みゆきとキラリちゃんの未来はなぜか、ザーと鳴るようなテレビを見ているような感覚に陥った。


 そしてその未来が明らかになってくる。


 メグさんだ。メグさんがこちらにやってきてみゆき達を助けにやってきてくれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ