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平和な時代でも…

 みゆき達五人の力を集中させカタストロフィーインパクトに向けて放った。


 そして見事に絶対神YHVHの試練を克服した。


 すさまじい爆風がなり、それは金色に光注ぎ、石になった人々は元の姿に戻っていった。


 終わった。すべてが終わったのだ。まさかみゆき達がお母さんを助けるためにこんな事になるなんて思いもしなかった。でももうみゆきと貴之のお母さんはこの世には存在しないのと同じような物だ。


 あのお母さんはみゆき達をただ絶対神を復活させないためだけにみゆき達を捨てた。


「お主達、そんな事を思ってはならぬぞ」


 死神様はみゆき達の心を読んだのかそんな事を言ってくる。


「何を言っているんですか?死神様。あれはみゆき達の母親ではないですよ」


「愚か者!」


 と言われてみゆきと貴之は死神様から頬を叩かれた。


「死神様。お主達の母親はお主達を心から愛しておるぞ」


 お母さんの方を見ると、みゆき達に気まずい顔をして目を背けている。


 そこで死神様の言っていることは本当なのか?みゆきはメグさんから伝授されたメモリーブラッドを使ってみゆきはお母さんの手を取った。


 すると死神様の言う事は本当であった。本当にお母さんはみゆきと貴之を本当に愛している。

「お母さん」


 と呼んでみる。


「あなたにお母さんなんて、呼ばれる資格はないわ」


「何で、そんな事を言うんだよ。みゆき達はキャリアスの罠にはめられたけれども、お母さんはみゆきと貴之の事を愛していたんだね」


「ええ、愛しているわ」


 お母さんはみゆきと貴之の事を抱きしめた。


 その時お母さんの愛情を感じた。みゆきと貴之はお母さんに愛されている。


「お母さん」「母さん」


 みゆきと貴之は涙ながらにお母さんの胸元を涙で濡らした。


 気がつくとサタンとルシファーと死神様はいなかった。みんなそれぞれの所に帰って行ったのだろう。


 そこに現れたのが流霧さんとメグさんだった。


「メグさん。流霧さん」


「まさか本当にお母さんを助けて絶対神YHVHを倒してしまうとは本当に恐れ入ったよ」


 と流霧さんが珍しく褒めてくれた。


「これからは三人でお母さんとみゆきちゃんと貴之君とで幸せに暮らしなさい」


「はい・・・でも」


 するとメグさんはみゆきの手を掴んだ。メモリーブラッドでみゆきの心に問いかけているのだ。『あなたは一人じゃない。いつでも私の施設に遊びに来てね』と。


「はい!」


 とみゆきは快く返事をした。


 そして三ヶ月の時が経った。


 みゆきと貴之とお母さんの生活が始まる。お母さんは占いが得意で占いで生計を立てている。学校ではみゆきと貴之は六年生になり、みゆきと貴之の努力があってか?六年生の勉強について行けるようになっていった。


 学校ではキラリちゃんや武士君にも会えるし、以前までのいじめはさせないようにみゆきはクラスの委員長に任命された。気難しい子にもメグさんのメモリーブラッドで心の中を探ってその悩みを解決させてあげたりしたり、みんな仲良く遊んでいる。


 それにたまにメグさんから指令でホーリープロフェットを司る私に自殺する子を助けて欲しいとの連絡が入ったりする。


 その子を見つけて、みゆきはその子の手を取り、メモリーブラッドで心を探り、その子の不安を取り除いて自殺をするのを防ぐ事が出来た。そしてみゆきはその子と友達になったのだった。


「瞳ちゃんって言うんだっけ。もし何かあったらまた私を頼ってね」


「ありがとうみゆきちゃん。みゆきちゃんはいくつなの?」


「みゆきは十二歳。瞳ちゃんは?」


「私は十七歳よ。まさか、私よりも年下の子に助けられる何てね」


「じゃあ、みゆきは行くからまた何かあったら何でも言ってね」


「ありがとうみゆきちゃん」


「うん」


 そう言って瞳ちゃんは失恋して自殺をしようとしたのだ。みゆき、恋したことはないが失恋は人生最大の逆境だとメグさんに教わった。そんな人生最大の逆境を超えたときに人はもっと強くなれると言っている。それに恋愛は人をダメにしてしまうときもあるみたいだ。


 みゆきは恋と言う物が怖くなってきた。大好きな人に振られるってどういう気持ちなのだろう。理屈では解っているけれど、実際にみゆきは恋なんかしたことがない。それにメグさんから依頼される事は恋愛ばかりの事だ。


 中にはいじめに遭い自殺しそうな子や、親に虐待されて自殺をしようとする人達が絶え間なくいる。


 残念な事にこの世ですべての人間が救われることがないと解ると何か切なくなってくる。そうだ。世の中はおかしいのが当たり前なのだ。


 でもみゆきとメグさんに出会った子供達だけでもみゆきは救ってあげたいと思っている。たとえそれがどんな些細な事でも。


 瞳ちゃんはみゆきにありがとうって言ってくれた。その言葉を聞く度にみゆきはハッピーな気持ちに駆られてしまう。そうみゆきはそのありがとうと言われるとお金を貰うよりも嬉しい気持ちになる。それにホーリープロフェットはそう言った思いを増長させればパワーは増すと言っている。


 時計を見ると午後七時を示している。そろそろ帰らなくてはいけない。お母さんが心配する。


 家に戻ると相変わらず貴之はゲームに夢中だった。まあ、学校の勉強もちゃんとしているみたいだし、ゲームばかりやっているのは才能だとメグさんに教わったことがある。そういうゲームに夢中になれるのは将来プログラマーになったり、ゲーム感覚で人生を謳歌する事を覚えるらしい。


 でもお母さんピコピコ(ゲーム)は一日一時間までと言われているが貴之はその約束を果たしたことがない。お母さんはその事で悩んだりしている。


 今お母さんはカレーライスを作っている。お母さんの料理ってあまりおいしくないんだけれどもカレーは大好きだから別に良いと今日は思った。


「みゆき、ご飯出来たから、貴之を呼んできて」


「はーい」


 と貴之の部屋に行くと貴之はゲームに夢中になっている。


「貴之ご飯だってさ」


「うん。今行く」


 そう言いながら画面を見ると、貴之はネットゲームをしているみたいなので、一緒にゲーム内で冒険をしている人達に『ご飯食べてくるからまた後でな』とキーボードで叩いてゲームを中断した。


 二階から一階の居間に行くとお母さんは貴之に対してご立腹のようだ。


「貴之、ピコピコは一日一時間って言っているでしょ!」


「だってゲーム楽しいんだもん」


「勉強もちゃんとやっているんでしょうね」


「貴之の成績はいつも真ん中だよ」


 私と貴之は双子の姉弟だが、一緒のクラスなんだよな。だから貴之の成績は知っている。


「まあ勉強もまあまあ出来るなら良いけれど、あまりゲームに何て夢中になっちゃダメだよ」


 お母さんは貴之に叱咤する。


「でもお母さんゲームに夢中になれるのって才能なんだって」


「そんな才能入らないわよ。とにかく貴之勉強も頑張りなさいよ」


「解っているよ母さん」


 と言っても貴之は夜中までゲームをしていることをみゆきは知っている。その事は黙っていた方が良いだろうな。メグさんからの話だと、普通の親は二十年遅れだと言われている。きっと母さんはゲームがいけないことだと思っているのかもしれない。みゆきはゲームになんか興味ないから知らないけれど、誰にも内緒だが密かにネットに小説を掲載させたりしている。


 それで色々とコメントをツイッターでくれたり感想なんかも書いて貰ったりしている。それが楽しくてやっている。みゆきの夢は将来小説家になることだと誰にも言っていないが密かに思っている。きっとメグさんだけが知っているのかもしれない。だってメモリーブラッドで会話しているぐらいだから。




******    ******




 次の日起きると、朝六時を示している。みゆきは早朝になるとランニングをする。それで近所の人達とすれ違うと挨拶をしたりもする。おはようございますと言ってあら、おはようみゆきちゃん何て言ってくれてみゆきは嬉しく思ってしまう。


 空を見上げて思ってしまう。アラタトのリリィは元気かな?とか冥界は魔王が消滅して一時混乱はしていると思うけれど、きっと平和を取り戻すだろう。それに冥界に住んでいたキリは元気かな?元気だといいなお体にはおきをつけて欲しいと切に願っている。


 いつも河川敷に行きみゆきはアラタトや冥界に聞こえるぐらいの大声で言うのだ。


「リリィ、キリ、みゆきは元気だよ」


 と。


 カタストロフィーインパクトは終わった。もうみゆきのホーリープロフェットはメグさんの悩み多き人の為に使おうと思っている。それにメグさんから直伝のメモリーブラッドも役に立っている。


 みゆきの夢は小説家も良いかもしれないけれど、もしかしたら臨床心理士になるのも良いかもしれない。心の病にかかった人を助ける仕事をしたいとも思っている。それにみゆきの小説にはそう言った心の病を治す女の子が主人公になっている。つまりみゆきの小説はみゆき自身が小説の主人公になっているのだ。本当に無謀な夢かもしれないけれど叶えてみたいと思っている。


 ランニングから帰ると、早速貴之はネットゲームに夢中になっていた。これにはさすがに呆れたが、メグさんの言うとおりそう言った人は将来プログラマーになったりするって言うけれど・・・まあ、良いか、この事がお母さんにばれたら、きっと貴之に雷が落ちるだろう。


 時計は午前七時を示している。お母さんは食事の支度をして、みゆきは学校の支度をしている。そこでみゆきの隣の部屋の貴之に言う。


「貴之、今日は体育があるから、体操着を忘れちゃダメだよ」


「解っているよ姉ちゃん」


 みゆきは貴之が夢中になっているネットゲームの画面を見た。何やらチャットで貴之は相手の素性の解らない子にイービルプロフェットでエールを送っているみたいだ。


「貴之、あんたゲームでいつも悩みを抱えている人達にエールを送っていたんだね」


「そうだよ。何か文句でもある?」


「あるわけないじゃん。みゆきは貴之のことを見直したよ。貴之ゲームでイービルプロフェットで人助けをしていたんだね」


 そう言ってみゆきは嬉しくて貴之に抱きついた。


「ちょっと抱きつくなよ姉ちゃん」


「だって貴之がこんな事をするなんて嬉しいんだもん」


「解ったから抱きつかないでくれ」


 貴之は凄く恥ずかしがっていた。これをお母さんに言ったら喜ぶかもしれないな。それにイービルプロフェットも良き事に使えばパワーが増すのだ。貴之がそんな事をしていることにみゆきはミラクルハッピーな感じでつい一回転してしまった。


 貴之にいったんゲームを中断させて、みゆきは貴之を連れて母さんの朝ご飯を作って貰っている。朝ご飯を食べると、みゆきと貴之は学校に向かった。


 私は貴之がやっていたことに嬉しくて、何か心が高揚してしまう。


「何にやにやしているの姉ちゃん」


「だって貴之がイービルプロフェットでゲームのチャットで心病んだ人にエールを送っていたからね」


「だから俺はイービルプロフェットを高めるためにやっているだけだよ」


「とか何とか言ったりして本当は悩み多き人にありがとうって言われるのが嬉しいんじゃない?」


「ああ!もうそんな事は無いよ」


 と貴之は照れている。


「みゆきちゃーん」


 みゆきの名前を呼ぶのはみゆきの親友のキラリちゃんだった。


「じゃあ、貴之教室でね」


 そう言ってみゆきは親友のキラリちゃんの元へと行くのだった。武士君も一緒だった。


「おはようキラリちゃんと貴之君」


「「おはよう」」


 と二人は同時に挨拶をする。


 その時感じた。この二人は将来結婚するんだと。それはホーリープロフェットで感じたことだった。でも未来の事はみゆきには良くは知らない。本当にみゆきのホーリープロフェットは百発百中ではないから、あまりホーリープロフェットの力は完全ではないのだ。


 だからこの力はメグさんの悩み多き引きこもりの生徒に使ってあげたいと思っている。


 学校に行って算数の時間、みゆきは先生に指されるが答えられない問題など無かった。でも貴之が指されたときには貴之は勉強不足なのか答えられなかった。


「坂下貴之、君はまだ勉強が足りないみたいだね」


 そんな貴之にみゆきはため息をついたが、貴之はネットゲームで悩み多き人にメールでエールを送っていたことをしている。そんな素晴らしい事をしている貴之に助け船を出そうとしたが止めておいた。いくらネットで悩み多き人にメールでエールを送っていたからと言って、勉強不足は自分が悪いんだよな。


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