魔界の王、サタンとの攻防戦
コテージで眠って目が覚めるとコテージから出ると、森の奥の方から光りが見えてきた。死神様の言うとおりみゆき達はこの森から出ることを許されたみたい。
「貴之、キリ、それに死神様起きて、朝になりましたよ」
「何じゃもう朝になってしもうたのか?」
と死神様は言った。
「死神様はこれからどうするおつもりですか?」
「この森の番人として、この森の管轄に入り、また何者かが現れたら、我に供えを献上させて貰う」
何てせこい死神様なのだろうとみゆきは思った。すると死神様にみゆきの心を読まれて
「お主我はそんな、せこい神ではない」
「申し訳ありません死神様、私としたことがまた無礼な発言をしてしまって」
「まあ良い我は寛大じゃ。人が思うことは自由じゃ。それよりもお主達は魔王を討伐に行くのじゃろう。さっさと行ったらどうじゃ」
「そうですね」
そう言ってキリは急いでコテージを片付けてそれを背中に背負っている。
「それよりも朝ご飯を食べないですか?」
キリが言う。
「そうだね。またアケビやらキノコやら木イチゴなんて物を食べて行こう」
「我もご相伴にあずからせて貰うとしよう」
死神様よく食べるからな、アケビやらキノコやら木の実などをかき集めて、死神様に献上した。それに私達の分の食料も採取した。
「また、馳走を献上されて我は満足じゃ。お主達よ。魔王と戦うときは鬼になることを忘れるなよ」
「鬼になれって言ったって、みゆき達は鬼にはなりきれないかもしれません」
「それは良くないな。そうしなければお主達は魔王に勝つことは出来ぬ。魔王は字の通り魔王じゃ、それに魔王は鬼そのものじゃ。後はお主次第だ。魔王を倒してこの冥界の平和を守り抜くのじゃぞ」
そう言って死神様のリリンは消えていなくなってしまった。
みゆき達は光りの方へと進んでいくとそこは廃村が見渡せる丘に辿り着いた。廃村の所に城が見渡せた。
「あそこに魔王はいるのか?」
みゆきはキリに丘を降りながら聞いてみる。
「はい。間違いありません。あそこに魔王はいるのでしょう」
いよいよ魔王と戦うことになってしまった。魔王を倒した後にキャリアスからお母さんを取り戻すしかない。魔王よ、待っていろ。絶対にお前を倒しに行くからな。
廃村に辿り着くと、そこはもう廃村であり、様々な奴隷達が酷使されていた。酷使している人物は骸骨の姿をした妖怪のような者だった。
「さあ、働け、魔王様の城を完成させるのだ」
と骸骨の妖怪達は奴隷達に酷使している。
みゆきと貴之はそれを見ていたたまれなくなってきて、「おい。そこの骸骨のおっさん。人使いが荒いんじゃないか?」
「何だてめーらは、この魔王様直属の者に対して失礼じゃないか?」
「みゆき達に逆らうなんて良い度胸じゃないか魔王直属の配下さん」
「貴様らちょっと痛い目に遭わなければならないかもしれないな。貴様らを奴隷にしてこき使ってやる」
みゆきはこんな奴に本気で戦おうとは思わない。相手がアンデットなら、この光りの玉をかざせば魔王直属の配下はなくなるだろう。そう思ってみゆきはホーリープロフェットの力である水晶玉をかざした。
するとアンデットの骸骨は消滅していった。他にも骸骨達に酷使されている人間やエルフなどがいる。
魔王の敵はみんなアンデットだ。みゆき達の敵ではない。みゆきは死神様の言葉を思い出した。『魔王に立ち向かうには鬼になれと』だからみゆきと貴之は心を鬼にして戦いに挑んだ。みゆきはホーリープロフェットの力を駆使してアンデットの魔物達を倒しながら前へと進んでいった
しかしアンデット達は次から次へとウジ虫のように出てくる。これではきりがない。アンデットは土の中から出てきて、みゆき達を襲いにかかってくる。でもみゆきと貴之は負けるわけには行かないのだ。
みゆきは土からわんさかと、出てくるアンデット達を相手に走りながら城の方へ向かう。アンデットはホーリープロフェットの玉を浴びれば灰になるが、次から次へとアンデット達が出てくる。だから走るのだ。みゆきと貴之とキリは走った。
みゆき達は負けるわけには行かないのだ。城の門の所に辿り着くと、青い猛獣のような物が現れた。
「あれは古の魔物ベヒーモス」
キリが言う。
「気をつけてください。このベヒーモスはケルベロスの比じゃないほどの力を持っています。魔王がこのような物を使えていたなんて・・・」
周りにはアンデット達、そしてみゆき達に立ち塞がるベヒーモス。みゆき達は負けるわけには行かない。絶対にこのベヒーモスを倒して魔王を倒しに行くのだ。
ベヒーモスは恐ろしいほどの咆哮を上げてみゆき達に立ち向かってくる。
「キリ、後ろに下がっていて」
ベヒーモスは跳躍してみゆき達を潰そうとしたが、そうは行かない。みゆき達だって負けるわけには行かないのだ。
みゆきはホーリープロフェットの力を駆使して戦う。
「聖なる力よ、白き炎と化して、ベヒーモスを倒すのだ」
しかし半端な力ではベヒーモスには敵わなかった。みゆきのホーリープロフェットが効かない。だったら本気で行くしかない。ベヒーモスは本気でその鋭い爪でみゆき達に襲いかかる。それを跳躍してかわしたが、ベヒーモスは雄叫びを上げてみゆきに放った。
その雄叫びでみゆきは着地と同時に足がすくんでしまった。するとベヒーモスはみゆきにその鋭い爪でみゆきを切り裂こうとしたが、そこで貴之がイービルプロフェットでベヒーモスの利き腕を燃やし尽くした。ベヒーモスは片手を失い、その激しい熱さにもがき苦しんでいる。
「今だよ。姉ちゃん」
そうだ。今だ。今、みゆきがここでのたれ死んでしまったらお母さんを助けることが出来なくなってしまう。死神様は言っていた心を鬼にして戦えと。だからみゆきは心を鬼にしてかわいそうだがこのベヒーモスを最大限のホーリープロフェットで倒すことにする。
「はあああああああああああああああああああああああああ」
みゆきは力を最大限に上げてベヒーモスに聖なる力であるホーリープロフェットの力を放出して白き炎を全力でベヒーモスに喰らわせた。そしてベヒーモスは跡形もなく消えて亡くなった。少々力を使いすぎてしまった。するとキリがみゆきにポーションをくれた。
「サンキューキリ」
そう言って、ポーションを飲み干す。すると新たなる力がみゆきの胸の奥底から沸き起こってきた。
「さあ、魔王のいる城の中に」
みゆきと貴之とキリはそう言って魔王のところに行く。
魔王よ、待っていろよ、魔王を倒して次はお母さんを助けにキャリアスを倒しに行くのだ。魔王城はアンデットの魔物ばかりでホーリープロフェットを司るみゆきの敵ではない。
みゆきのホーリープロフェットは言っている魔王は最上階にいると。魔王を倒してお母さんを助けるのだ。魔王城は五階建ての城で、今みゆき達は一階にいる。敵のアンデット達がウジ虫のように出てくる。でもみゆきのホーリープロフェットの玉の光りにアンデット達は消滅していった。
「止まれ」
そう言われてみゆき達は止まった。
何やらうすらでかいのが出てきた。でもこいつもアンデットだ。みゆきのホーリープロフェットの玉の光りにかざせば消えてなくなるはず。でもそのアンデットは消えてなくならなかった。
「ベヒーモスを倒したことは褒めてやろう。だがこのサタンに勝てる相手などいない」
「姉ちゃん。こいつはアンデットじゃない。サタンと言ったら魔王よりも強い力を持つ物だ」
「じゃあなぜこんな凄い奴が魔王の配下にとどまっているのだ?」
「魔王は魔物を操る力を持っているのかもしれない」
「そんな事はどうでも良い。サタンとやら勝負だ」
「私に勝負を挑もうとは愚かな」
みゆきの力は邪悪なる物を消滅させるための物、だからサタンに勝てないはずがない。サタンと言ったら古の地獄の魔物だと聞いている。そんな奴にみゆきが勝てないはずがない。
「はああああああああああああああああああああああああ」
みゆきは最大限にホーリープロフェットの力を放出した。こいつもベヒーモスと共に焼き尽くしてやるとみゆきは思った。そうだ。こんな所で油を売っているわけには行かないのだ。みゆきは純白の炎を召喚して、サタンに向けて放った。
やったかと思いきやサタンはあまりダメージを喰らってはいなかった。
「なかなかやるではないか。私に勝てなかったら魔王様にも勝てぬのにな」
だったらもっともっと、みゆきのパワーを思い知らせてやる。そう思いながら先ほどは最大限だったが、それよりも限界を超えるような力を発揮させてこのサタンをぶっ飛ばしてやると思っている。みゆきはパワーを増せばますほど力が沸いて出てくるのだ。死神様は鬼になれと言った。だからみゆきは鬼になりこの魔王に操られし、サタンを殺してやろうと思っている。
「はああああああああああああああああああああああああ」
もう一度ホーリープロフェットの力を出し尽くしてやる。
感じるみゆきの純白の炎が先ほどよりも増していることに。お母さん待っていてみゆきは絶対にお母さんを助けに行くからね。その思いをみゆきは忘れたりはしない。どんな相手でも魔界の魔王であるサタンでさえもみゆきは立ち向かってみせる。邪悪な物を焼き尽くせない物はみゆきにはない。
絶対にみゆきはサタンを倒して魔王のところに行くのだ。
「サタン。覚悟しろ!」
「何だ。この力は!」
「みゆきは最大限の力を出すほど出せば出すほどみゆきは強くなれるのだ!!!」
「くっ、やっかいな奴が相手だな!だったらこっちも負けぬぞ」
するとサタンは漆黒の炎を解き放ちみゆきの純白の炎とサタンの漆黒の炎がぶつかり合う。すさまじいパワーだ。みゆきの純白の炎とサタンの漆黒の炎が拮抗している。みゆきは負けるわけには行かないのだ。こいつを倒して魔王を倒しに行かなければならないのだ。
みゆきの純白の炎の方が僅かながら押している。しかしサタンの攻撃もすさまじい物だ。このままでは負けてしまうかもしれない。でもみゆきはお母さんを助けに魔王を倒してキャリアスからお母さんを取り戻しに行くのだ。
「はああああああああああああああああああああああああ」
またまたみゆきのパワーが増していくそしてサタンの力も増していく。魔王の配下がこんなにも強いなんて聞いていないぞ。でもみゆきは負けるわけには行かない。
すると貴之が、「姉ちゃん助太刀するよ」
そう言って貴之は漆黒の炎を召喚した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
貴之の漆黒の炎とみゆきの純白の炎が混じり合い。サタンに浴びせる。
「くそそそそそそそそそそそそそそ。こんな連中に私が負けるなんて」
みゆきの純白の炎と貴之の漆黒の炎はカタストロフィーインパクトを消滅させた力だ。この力を浴びせられ生きている物などこの世にはいないと思っていたが、ここはこの世ではない冥界だ。サタンはかろうじて生きている。
「この私が負けるなんて・・・・」
「サタンとやら、もう決着はついた。みゆき達の勝ちだ。これ以上やると言うなら。こっちだって本気でお前を殺すぞ」
「殺せ。こんな幼女達にこのサタン様がやられるなんて恥ずかしくて生きてもいられぬ」
サタンは操られている。その操られている魔術を解くことはホーリープロフェットでも出来るはずだ。
「よしサタン。待っていろ」
「何を待てと言うのだ?」
みゆきはサタンの頭に手をかざして、魔王に操られている魔術を解いた。
「わ、私は今まで何を」
「お前は魔王に操られていたのだよ。その魔術を解いてやったのだ。感謝しろ」
「そうか私は操られていたのか・・・ならばその魔王を許す事は出来ぬ」
「じゃあ、サタンとやら、みゆき達と共にサタンを倒しに行かないか?」
「お前達に酷いことを散々した私を受け入れてくれるのか?」
「ああ、味方は多い方が良い。サタン。みゆき達と共に魔王を倒しに行こう」
そこで貴之が「正気か姉ちゃんサタンと言ったら魔界の王だぞ。そんな奴を連れて魔王を倒しに行くなんて」
「別に良いじゃないか。仲間は多い方が良いし、サタンも魔王に操られてさぞ、悔しいだろうし」
そう貴之に言って、「なあ、サタン」
「うむ、この魔界の王であるサタン様を操るなど言語道断、どうやら貴様達とは目的が一緒だな、なら、ここは同盟を築こうではないか」
「良し、決まりだ。絶対に魔王を倒して、そしてキャリアスを倒してお母さんを助けに行くぞ」




