二人の力でカタストロフィーインパクトを消滅させよ!
何だ。アリウスとみゆきのそれぞれの玉が一つになる。
そんな時だった。お母さんの声が聞こえる。「私はこの時を待っていました。二人の力が最大限になるとカタストロフィーインパクトを防ぐ力を持つのです。みゆきの光の力とアリウスの闇の力が一つになった時、カタストロフィーインパクトを防ぐ力が増すのです」
みゆきとアリウスの力が一つになった時、先ほどまでの力はどうしたのか?力が出ず、もう飛ぶ力もなく、アラタトの地面に垂直に落ちていく。アリウスの方を見るとみゆきと同じように落下していく。
いったい何が起こったと言うのだ?
何者かがみゆきを揺さぶっている。みゆきがそれに気がつくと、その目を開くと目の前にみゆきのお母さんが現れた。
「お母さん?」
「そうです。私はみゆきのお母さんよ」
「本当に、本当に、お母さんなの?」
そんなお母さんはみゆきを抱きしめた。暖かいいつしか忘れていたがお母さんの匂いがする。そんなお母さんにみゆきは抱きしめられて涙が止まらなかった。「どうしてみゆきを一人にしたのだよ」
「ごめんなさいね、みゆき、私はいつでもあなたの側で見守っていましたよ」
「でもお母さんはみゆきを一人にした」
するとお母さんはみゆきの抱擁を解いて、もう一人の難敵アリウスが気絶していた。
「この野郎、アリウス。ぶち殺してやる」
「ダメよみゆき。この子はあなたの弟の貴之よ」
「貴之?」
「あなたは初めて会うかもしれないけれど、悪い連中にたぶらかされてアリウスと名乗らされてカタストロフィーインパクトを衝突させようとしたのよ」
「でも貴之はみゆきの親友のリリィを殺した。絶対にみゆきは許さない」
「大丈夫よ。お母さんはみゆきのお願いをどんなお願いでも一つだけ聞いてあげられることが出来るから」
「じゃあ、リリィを蘇らせてよ」
「本当は死者を蘇らせる事は禁忌、なんだけれども、それぐらいは良いわ」
それを聞いてみゆきはアリウス事、貴之を許すことが出来た。
「貴之起きなさい」
お母さんが言うと貴之、事アリウスは立ち上がり、先ほどまでの邪悪な力が失せていた。
「僕は何をしていたんだ?」
「あなたはキャリアスに操られていただけよ」
「お母さんキャリアスって?」
「キャリアスは邪悪の根源でカタストロフィーインパクトの一部の者よ」
「じゃあ、アリウスはそのキャリアスって言う者に操られていたの?」
「そう。キャリアスは貴之の悪い心を支配してカタストロフィーインパクトを衝突させようとした者よ」
そうだったのか。アリウスはそのキャリアスって悪い奴に人間の邪悪な心につけ込んでカタストロフィーインパクトを衝突させようとしたのね。
貴之もみゆきと同じようにかわいそうな人間だったんだね。
貴之が目覚めるとお母さんは「さあ、もう時間はないわ。あなた達の力でカタストロフィーインパクトを防ぐのよ」
「防ぐってどうやって?」
すると目の前が輝きに包まれてみゆきと貴之はあまりのまぶしさに目を背いた。
恐る恐る目を開けるとみゆきと貴之のそれぞれの玉が混じり合い七色に光る玉が目に見えた。
「これは?」
みゆきが言うと、貴之が「これでカタストロフィーインパクトを粉砕させるんだ」そう言ってカタストロフィーインパクトはものすごい勢いを増してアラタトごと地上に降りてすべてを破壊させようとしている。
「みゆきちゃんにアリウス」
とメグさんの声が聞こえてきた。
「二人とも何があったの?」
そこで貴之が「説明している場合じゃない。早くあのカタストロフィーインパクトを破壊させなければならない。みゆきその手をこの僕の水晶と君の水晶が混じり合った七色に光る玉に手をかざすんだ。そしてカタストロフィーインパクトを止めるんだ」
「そうはさせんぞ」
どこからかおぞましい声が聞こえてくる。その声の発信源をたどると、みゆきには一目で分かった。あれがキャリアスだと。
「お前がキャリアスだな」
「ほう察しが良いなあ、我こそはキャリアス。カタストロフィーインパクトを地上に衝突させるのだ」
「そうは行く物か」
「みゆきあいつの相手をしている場合じゃない。すぐにでもカタストロフィーインパクトの衝突を避けるために、この七色に光る玉に念じるんだ」
「でもキャリアスが邪魔をする」
すると流霧さんとメグさんが。「ここは私達に任せて」そう言って流霧さんは呪文のような物を唱えてキャリアスに炎を放った。しかしすぐによけられてしまった。それでも流霧さんは呪文を唱えることをやめはしない。
そこでメグさんがキャリアスに向かって、飛び立った。「あなたの相手は私達なんだから」そう言ってキャリアスに攻撃を加えるがキャリアスにその攻撃はあまり聞いていないように見える。
「とにかくみゆき。こいつは私達が食い止める。あなた達は早くカタストロフィーインパクトを止めに行きなさい。世界の命運はあなた達にかかっているのよ」
そうだ。キャリアスには流霧さんとメグさんでは歯が立たないことは分かった。でもみゆきはカタストロフィーインパクトを阻止して、アラタトとその地上のみんなを助けなければならない。まさかみゆきと貴之が戦って最大限の力を出し合ってカタストロフィーインパクトを食い止める事に繋がるとは思わなかった。
さあ、念じなければならない。カタストロフィーインパクトを防ぐために祈らなければならない。とにかく念じるんだ。メグさんと流霧さんがキャリアスを食い止めるまでには。もうすでにカタストロフィーインパクトはこっちに向かってきている。
そんな時メグさんと流霧さんの事が心配になってきた。キャリアスに歯が立たない二人がやられてしまうんじゃないかと心配だった。
そしてメグさんの悲鳴が聞こえてきた。祈りに専念しないといけないことは分かっている。でもメグさんの方を見てみると、キャリアスに首元を取られて掴み上げられている。このままじゃあメグさんはやられてしまう。
「みゆき、今は祈りに専念するんだ。とにかく仲間の事を信じて」
信じてって言われても、メグさんは殺されてしまう。そんな時流霧さんが呪文を唱えて炎を発した。しかしキャリアスはびくともしない。
「この小童共がその程度の事でわしを殺せるとでも思っていたのか?さあ、みゆきとやらよこのメグという奴の命が惜しければわしにかかってくるのだな」
「みゆき、これは罠だ。今祈りを止めたら僕達はカタストロフィーインパクトの餌食になってしまうぞ」
「それは分かっている。でも・・・でも・・・メグさんを見殺しには出来ないよ」
そう言ってみゆきはメグさんの所に行き、キャリアスにホーリープロフェットの炎を浴びせた。邪悪なキャリアスはかなりみゆきのホーリープロフェットの炎が効くようだ。だがキャリアスが死んだわけではない。
「ふっはははは、そうだ。お前達の弱点は邪悪になりきれない心だ。こんなくずのような女がそんなに大事か?カタストロフィーインパクトは予定通り衝突させる」
本当にみゆきは邪悪になりきれない愚か者かもしれない。でもみゆきはメグさんを助ける。メグさんはみゆきを救ってくれた大事な仲間なんだから。
メグさんの首元を掴む手を振り払って、メグさんは吹っ飛んで行った。
「メグさん」
とメグさんの所に行くと、貴之が私の前に現れて、私の頬を思い切り叩いた。
「何をやっているんだ、みゆき。今はそれどころじゃないだろう。地球とアラタトの命運がかかっているのだぞ」
「そんな事は分かっている。でもみゆきは仲間を死なせたくない。メグさんはみゆきを救ってくれた恩人だもん」
カタストロフィーインパクト衝突まで後わずかになってしまった。
「最後のチャンスだ。キャリアスがお前のホーリープロフェットの炎にまみれている間に水晶玉に祈りを念じるんだ。もう時間がない」
カタストロフィーインパクトはもうそこまで接近している。このままではみゆき達はカタストロフィーインパクトの餌食になってしまう。カタストロフィーインパクトの突風がみゆき達を襲う。すごい突風だ。みゆきがホーリープロフェットの使者でなければこのトップウの餌食になっていただろう。
アラタト人が作り出した、巨大な蜂がカタストロフィーインパクトをわずかでも遅らせようとしてもカタストロフィーインパクトはびくともしない。近づくと粉々に砕け散っていった。みゆき達はカタストロフィーインパクトに負けるわけには行かないんだ。
もう一刻の猶予もない早く水晶玉に念じないといけない。その間にもキャリアスは立ち上がる。
「愚かな人間共とアラタト人達よ、ここがお前達の墓場になるのだ」
「よし。祈りは完成させた。後はカタストロフィーインパクトにこの水晶玉をかざすんだ」
「そうはさせぬぞ」
そう言ってキャリアスはみゆき達に向かって襲いかかってくる。
その時すべてがスローモーションになったような感じだ。みゆきと貴之が念じると、カタストロフィーインパクトにこの七色に光る水晶玉を仕向けた。その時、キャリアスはみゆき達の所に接近している。みゆきがホーリープロフェットを発動させようとしたが、水晶玉はカタストロフィーインパクトに向かってしまったため、みゆきの純白な炎を発する事が出来ない。
もはやホーリープロフェットの力を失ったみゆきはただの人間の少女でしかない。みゆきは完全にやられてしまうだろう。でももう良い。これでカタストロフィーインパクトは地上に激突する事はなくなった。キャリアスよ、ざまあないなみゆきをここで殺したところで何も起きないそしてカタストロフィーインパクトは地上に激突する事はなくなった。
キャリアスがみゆきに攻撃を加えようとしている。みゆきはよける間もなく、八つ裂きにされてしまうのだろう。でもみゆきの使命は終わった。今更みゆきを殺しても、カタストロフィーインパクトが地上に降り立つことはない。そうもうないんだ。リリィの方を見てみると、リリィは立ち上がっていた。どうやらお母さんはみゆきのお願いを聞いてくれたみたいだ。
もうみゆきが死ねば良いのだ。キャリアスの野望を食い止める事が出来たのだ。
みゆきは覚悟を決めて、その目を閉じた。
その目を閉じたのだが何も起きる気配もない。
するとその目を恐る恐る開くと、貴之がみゆきをかばってキャリアスの牙が貴之の心臓を貫いていた。
「貴之!!!」
その時だった。みゆきが白き炎を取り戻してキャリアスに向けて放った。
するとキャリアスはもがき苦しみ、どこかへ去ってしまった。
貴之が倒れている場所まで行き、「貴之、貴之!!」と揺さぶった。
「カタ・・ストロフィー・・インパクトを・・消滅・・する事が出来た・・・これでキャリアスの野望を・・・僕達は・・・打ち砕いたんだ」
「貴之喋るな!」
カタストロフィーインパクトを見てみると、もうカタストロフィーインパクトは消滅した。
「やったよ!貴之みゆき達の力でカタストロフィーインパクトを防ぐことが出来たよ」
そして貴之はその目を閉じて、静かに息を引き取ったのだった。
「たかしーーーーぃ!!!」
せっかく唯一の弟を救えずみゆきはふがいなかった。
流霧さんとメグさんがやってきて、「流霧さん、メグさん、貴之は何とかならないの?」
「みゆきちゃん、死んだ者に生き返らせる事は出来ないわ」
「これも必然的に起きた運命としかないだろう」
みゆきは叫ぶしかなかった。それよりもお母さんはどこに行ってしまったのか?もうみゆきは仲間が死ぬのを見たくはない。そんな時だった。みゆきの所にカタストロフィーインパクトを破壊した虹色の玉が降り注いで来た。
何だろう。この力でまた貴之を蘇らせる事が出来るんじゃないかと思ってみゆきは貴之が蘇る事を祈った。
貴之お願い蘇って。
すると貴之はおもむろにその目を開いた。
それに貫かれた急所の穴も消えてなくなっていた。
貴之が目覚めてみゆきはそんな貴之を抱きしめた。
「みゆき、カタストロフィーインパクトの衝突は防げたんだね」
「ああ、みゆき達の完全勝利だ」
「良かった。お姉ちゃんには迷惑をかけてしまったね」
「そんな事を気にするな」
すると虹色に光っている玉は二つに分かれて、黒と白の玉に戻り、みゆきは白いビー玉サイズの玉を受け取り、黒い闇の玉は貴之の元に戻っていった。
それぞれの玉を受け取ると何か心の奥底から力が沸いて疲れた体を癒やしてくれた。
この力はまだ使える。そう言えばキャリアスはまだ生きている。まだみゆき達の戦いは終わってはいない。




