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アリウスの正体

みゆきはアリウスに見つかってしまったが、上空にそびえるマブーの目を白き炎でかき消した。マブーは目玉を焼かれてすさまじい断末魔を上げていた。


「今更マブーの目を焼き尽くした事で何も置きはしないよ」


 お母さんはみゆきの心に呼びかけていた。みゆきの弟のアリウスを殺してはいけないと、そうしないとカタストロフィーインパクトは破壊することは出来ないと。


 とにかくこれ以上アリウスの仲間が来ないようにマブーの目を破壊する。それにやっかいなのはみゆきを殺そうとするアリウスを何とかしなければならない。


 今のみゆきならアリウスを倒す事は造作もないだろう。でもお母さんの言葉をみゆきは信じることにする。


「みゆきよ。なぜ本気を出さない、まさか本気で僕のお母さんの声が聞こえて僕を殺してはいけないと言っているのか?」


 アリウスはあざ笑うようにみゆきに言う。こんな奴本当に殺してやりたい。


「アリウス、リリィはどうした?」


「安心しなよ。リリィなら生きている。だが頭を少しいじらせて貰ったがな」


「それってリリィを洗脳したのか?」


「その通りだよ、リリィは洗脳させて貰った。もう元には戻れないほどに」


 何て事だ。リリィはアリウスに洗脳されてしまっただなんて。アリウスを殺してやりたい。でもみゆきの母親はアリウスを殺してはいけないと言っている。


 アリウスはみゆきを殺す勢いで迫ってくる。それでも手加減して対戦している。お母さんの言うとおりアリウスを殺してはいけないのだから。本当にどうすれば良いんだ。


 そこで出てきたのがメグさんと流霧さんだった。


「みゆきちゃん」「みゆき」


 メグさんと流霧さんが参戦してくれるようだ。


 だがメグさんと流霧さんではアリウスに太刀打ち出来るほどの力は持っていない。でもみゆきにとってメグさんも流霧さんも心強い。


「邪魔な二人だ。ここでリリィの登場と言うことにしよう。さあリリィ」


 すると地面からリリィの姿が現れた。


「リリィ」


 と叫ぶとリリィの目はアリウスの言うとおり完全に洗脳されていて目が死んでいる。


「さあ、リリィこいつら(メグと流霧)の相手をしてやれ」


 するとリリィは素早い動きでメグさんと流霧さんに襲いかかる。


 メグさんはリリィの事を手加減してくれるかもしれないが、問題は流霧さんがリリィを手加減はしないだろう。流霧さんは目的の為なら手段を選ばない人だ。


 みゆきがリリィに洗脳を解こうとしようとするとアリウスがみゆきの前に立ち塞がった。


「人の心配などしている場合じゃないぞ、みゆき」


 そう言って漆黒の炎をみゆきに放った。漆黒の炎を振り払って、少しだけアリウスに眠って貰おうと、手加減をして純白のみゆきのパワーアップした炎をアリウスに放った。


 だがアリウスは少しだけダメージを喰らいアリウスには純白の白い炎は手加減した程度では効かない。


「さあ、みゆき、お前の仲間であるリリィと僕を殺せない。困った物だな」


 あざ笑うアリウス。


 リリィとメグさんと流霧さんはリリィと対峙している。でもみゆきは加担したいがアリウスを相手にそれどころではない。


 本当にどうしたら良いのだ。どうやらみゆき達は追い詰められてしまったようだ。だったらアリウスを殺すしかないじゃないか!?今のみゆきならフルパワーで純白の炎をアリウスに与えればアリウスは消えてなくなるだろう。でもお母さんの言うとおり、アリウスを殺してしまったら、カタストロフィーインパクトを防ぐ事は出来ない。


 チラリとリリィとメグさんと流霧さんが対峙している様子を見ると、そんな余裕も与えてくれない程にアリウスはみゆきに襲いかかってくる。


「みゆき、僕を相手に人の心配などしている場合じゃないだろう」


 アリウスはみゆきに接近してきて、漆黒のアリウスの手とみゆきの純白の手が重なり合う。

 本当にどうすれば良いいだ。考えろ。考えるんだ。


 だがアリウスはみゆきに考える程の余裕など与えてくれない。リリィと対峙している流霧さんとメグさんはリリィに苦戦しているようだ。リリィを殺してしまったらみゆきは死ぬほどの苦痛を味合う事になってしまう。みゆきは負けるわけにはいかない。


「あああああああ」


 とみゆきは絶叫してアリウスと対峙する。


「死ね、みゆき」


 全力でアリウスは漆黒の炎を解き放った。みゆきはそれを回避するために全力でみゆきのホーリープロフェットで防いだが、少し遅く、みゆきは腕にダメージを与えられた。


 くっ!?これではもう全力でホーリープロフェットを放つことが出来ない。アリウスを殺してはいけないと言っているがこのままではアリウスを救うどころか、倒すことすら出来ない。お母さん教えてよ、みゆきはアリウスの洗脳を解くにはどうすれば良いの?みゆきの邪悪な心を持つものを浄化して倒すホーリープロフェットも通用しない。だったらもう良い、アリウスを倒すしかない。それしかこの場を乗り切る事は出来ない。


 アリウスは空から怪我を負ったみゆきを見下ろしている。それに勝ち誇ったように不敵に笑っている。それにリリィと対峙しているメグさんと流霧さんも苦戦している。このままではみゆき達はやられてしまう。


 アリウスは空からゆっくりとみゆきの前に降りてきて、アリウスは言う。


「今、楽にしてあげるよ。僕の漆黒の炎でね」


「アリウス、どうしてカタストロフィーインパクトをこのアラタトごと地球に衝突させようとするんだ」


「知っているかい?アラタト人も僕達人間も愚かな生き物何だ。人は争いを繰り返し、アラタトの人間もそうだ。その為には友も恋人も欺いて自分の野望を果たそうとする。そんな人間に延命して生きる価値があると思うかい?」


「確かにアリウス、お前の言う通りかもしれない。でも人間もアラタト人もそんなに愚かな者じゃない。純粋なリリィやその仲間達にみゆきは出会っている。お前は人間の悪いところばかりを見てきたのだろ」


「それは人間達もアラタト人達も、この現実を目にしていないからだ」


「みゆきもアリウスの気持ちは分かるよ。人間は確かに愚かな者もいるよ。そう考えるとアラタト人達も愚かな者達もいるかもしれない。みゆきもアリウスの様に愚かな人間の元から逃げてきた人間だ」


「僕の事も知らないで何を偉そうに言うんだ。人間もアラタト人達も愚かだ、そんな愚かな奴らにカタストロフィーインパクトを与えて滅亡させるべきだ」


「滅亡させるってお前も死んでしまうんだぞ。それでも良いのか?」


「構わないさ。僕は自分が人間だと言うことに自分自身を呪っているのさ。だから僕もカタストロフィーインパクトの犠牲になろう」


 そう言って満身創痍のみゆきに向かって、漆黒の炎を召喚した。

 そんな時だった。一メートルぐらいはある蜂がアリウスに向かって攻撃を仕掛けた。


 アラタトの長が言う、「わし達も諦めた訳じゃない」


 何百匹いる蜂がアリウスとリリィに向かって飛び跳ねた。しかしアリウスの漆黒の炎を浴びて大半は消えてなくなってしまった。それでもアラタト人が作った蜂はアリウスに向かってその針を刺そうとする。


 その針はアリウスには刺さらなかったもののリリィに刺さってしまった。アリウスは蜂に苦戦している。その間にリリィの洗脳を解かないと行けないと思ってリリィにホーリープロフェットを放った。リリィならこのホーリープロフェットの炎を浴びて正気を戻すと思う。リリィは蜂に刺されて気絶している。


「長、この毒針は人を殺すほどの物なのか?」


 長に聞いてみると「いや一時的に気絶させる程度だ。話は聞かせて貰った。カタストロフィーインパクトを防ぐにはアリウスの力が必要だと」


 それを聞いて安心した。でも問題は解決したわけではない、リリィは助けられても。アリウスを改心させる事をしなければいけない。


 アリウスは右往左往としている蜂たちに苦戦している。


 考えろ、考えなければいけない、アリウスを正気に戻すにはどうすれば良いのかみゆきは考えた。そうだ。このパワーアップしたホーリープロフェットを使えば、アリウスは正気に戻るかもしれない。一か八か、かけてみるしかない。みゆきはホーリープロフェットを最大限に放出させて蜂に苦戦しているアリウスに放った。


「小癪な」


 アリウスにはホーリープロフェットは通用しなかった。それは以前の話だ。でもホーリープロフェットは長の試練で強くなっている。だからみゆきの最大限のホーリープロフェットを使えば、倒せるんじゃないかと思って、みゆきはアリウスに向かってホーリープロフェットを放った。


 見事にみゆきのパワーアップしたホーリープロフェットが直撃した。


「うわああああ」


 とアリウスは悲鳴を上げてみゆきのパワーアップしたホーリープロフェットをまともにくらった。よしこのまま行けば、アリウスの邪悪な気もなくなるのじゃないかと思った。


 アリウスは空から落ちてきて、みゆきはそんなアリウスを受け止めた。アリウスの表情を見てみると、凄く健やかな顔をして気絶している。


 この感じだとみゆきのホーリープロフェットは成功したのかもしれない。


 安心の吐息を「フー」とつくと、アリウスは目を開きみゆきに漆黒の炎で剣を作りみゆきの足に突き刺した。


「甘いのだよ。ホーリープロフェットは邪悪な心を浄化させる為の力、そのホーリープロフェットがパワーアップしたお前の力で僕に効くはずがないだろう」


「ううっ、足が」


 倒れ込むみゆきの姿を見下ろしてアリウスは不敵に笑う。


 みゆきにその剣と化した邪悪なる力であるアリウスの漆黒の剣でとどめをみゆきに刺そうとしている。


「無念」


 そう言ってみゆきは死を覚悟して目を思い切り閉じた。


 すると一匹の蜂がアリウスに向かって差し掛かってきた。


「甘いのだよ」


 そう言ってアリウスは漆黒の炎で蜂を蹴散らした。


「少しだけ寿命が延びたようだな!今度こそ楽にしてやる」


 このままではアリウスに殺されてしまう。ならばもうお母さんの言葉なんて聞いている場合じゃない。ここで相打ちになってもみゆきはアリウスを倒すしかない。みゆきは純白の炎を剣に変えてアリウスが漆黒の炎で作った剣をみゆきに振りかざそうとしたとき純白の炎で作った剣で塞いだ。


「本当に小癪な奴だよ。まだそんな力を持っていたなんて」


「みゆきはこんな所で負けるわけにはいかないのだ!!」


 形成的にはアリウスの方が有利だ。


 でもみゆきはアリウスに殺されるわけにはいかない。


「はああああ」


 そう言ってみゆきは純白の剣をアリウスに切り裂こうとしている。仕方がないのだ。もうアリウスは生かして戦う余裕などないのだから。


 しかしアリウスも漆黒の剣でみゆきを迎え撃つ。


「まだ、そんな力を持っていたのか?」


 するとメグさんも流霧さんもみゆきの戦いに参戦する。


「メグさん、流霧さん!!」


「みゆきちゃん私達の事を忘れないで」


 メグさんはその常人離れした吸血鬼の力を見せつける。流霧さんは真っ赤な炎をアリウスに与えている。


「雑魚どもには用はない、ここで一気に勝負をつけてあげるよ。自分たちがやっている事がどれだけ無謀な事なのかは」


 そこでメグさんにその漆黒の剣でメグさんを切り裂こうとしている。やばいメグさんがやられてしまう。


「メグさん!!」


 みゆきがそう言うと、メグさんは漆黒の剣を白羽取りにして防いで、剣を奪い、すると漆黒の剣はなくなってしまった。


「今よ、みゆきちゃん!!」


「うわわわ」


 みゆきは純白の剣をアリウスにかざそうとするとどこからか美しい声が木霊した。


「みゆき、アリウスを、貴之を、殺してはなりません」


 みゆきはその美しい声がお母さんだと言うことは分かったでもその事に関してもう迷うことは出来なかった。ここでアリウスを倒さなければみゆき達がやられてしまう。純白の剣をアリウスもとい貴之にかざそうとすると純白の剣がなくなってしまった。


「どうしたって言うの?」


 そしてアリウスは「フン。やはりお前は僕を倒せやしない。その甘さが命取りになるんだよ」


 甘さではない。みゆきはアリウスに純白の剣をかざそうとした。でもみゆきの純白の剣がなくなってしまった。さらに純白の剣を召喚しようとして見ると、純白の剣はなくなり、みゆきは純白の髪から普通の黒髪に戻ってしまった。


 どういう事、みゆきはもう一度覚醒しようとしても覚醒しない。するとアリウスもとい貴之は漆黒の炎を剣にしてみゆき達に向かって来た。


 すべてがスローモーションに見えてきた。アリウスもとい貴之は漆黒の剣をみゆきに浴びせようとしている。もうみゆきには戦うすべはなくなってしまった。アリウスはみゆきにその漆黒の剣をみゆきに浴びせようとしている。みゆきは逃げるしかなかった。しかしアリウスのスピードは尋常じゃなくて逃げるみゆきの前に立ち塞がりその漆黒の剣をみゆきに振りかざそうとしている。


 もうダメ、みゆきはアリウスに殺されてしまう。


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