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49話




○白猿の遺跡 神殿


ゴリラには大きく分けてニシゴリラとヒガシゴリラの二種類があり、それからさらに二種類に分かれた四種で構成されている。


なぜニシゴリラとヒガシゴリラなのかは、そのまま生息地が西か東かのちがでしかないらしい。


そんな事を昔、生物教師の山下がそんな事を言っていた気がする。


居眠りをしようとすれば、容赦無く手元にある物を投げつけてくる様な人だった。


あの人は生き物について聞いたら大体のことは教えてくれてたな……。


ゴリラについて、他にも色々言ってたな。


ニシゴリラは、ニシローランドゴリラとクロスリバーゴリラの二種。


ヒガシゴリラには、ヒガシローランドゴリラとマウンテンゴリラの二種に分かれている。


和名は大猩猩と表し、ゴリラと言う名前はギリシャ語で"毛深い部族"を表す「gorillai」が由来とされているそうで、オスは成熟すると背中の体毛が白くなることから"シルバーバック"と通称される様になるらしい。


学名も4匹4様で一般的に知られているゴリラ・ゴリラ・ゴリラはニシローランドゴリラを表す学名であり、ゴリラ全体を示す物ではない。


それぞれの学名は、クロスリバーゴリラがゴリラ・ゴリラ・ディエリ、ヒガシローランドゴリラがゴリラ・ゴリラ・グラウエリ、マウンテンゴリラはゴリラ・ゴリラ・ベリンゲイと言うらしい。


ここまで聞いて、クラスメイトの一人が気になったのか山下に向けて、


「やっぱりそう言うのって、専門家とかの本を読んだりして覚えるもんなんすか」


と質問をした際に、


「ネットだ……」


そう答えた山下の静かな返答が今でも記憶に残っている。


……。


…………。


「今山下関係ないだろ……」


完全に話題が逸れてしまっていた自身の思考に対してそうツッコミを入れる。


そうして、現実逃避をやめると、目の前のゴリラらしき猿、ペガル・シュラーゲンに視線を向ける。


ペガルはドラミングを止め、俺を見据えている状態だった。


手を地面につけて前傾姿勢の状態でこちらを伺うその姿はどこからどう見てもゴリラのそれである。


確かにゴリラも猿の仲間にぶるいされる物なのだろうが、猿と言われて最初にゴリラが浮かぶものはそう居ないだろう。


よくてチンパンジーやオランウータンあたりじゃないだろうか。


しかし目の前に居るのは、ゴリラだ。


どこを探してもゴリラらしさしか見当たらない。


清々しい程にゴリラだ。


「やっぱりゴリラだな……」


俺がそうポツリと呟くと、それに反応するかの様にペガルが声を上げる。


「試練ヲ受ケシ者ヨ…」

「ロイドでいい」


ペガルの重々しい呼び方をされた事に言葉を挟む。


そのペガルの声は先程、声を張り上げ、雄叫びを上げていた者と同一人物とは思えないほどに理性的であった。


「ワカッタ、ロイドヨ……。シカシ、オレノ種ハ大猩猩ゴリラでは無い。レッキトシタ猿デアル。ソコハ間違エナイデホシイ」

「……は?」


あまりにもあり得ないその言葉に思わずそう声を出してしまう。


大猩猩ゴリラニ対シテ敵対心ガアルワケデハナイガ、オレハ猿トイウ種族二誇ヲモッテイル」

「いやゴリラだろ!」

「イヤ、大猩猩ゴリラデハナイ猿デアル。疑ウノデアレバ、スキルヲ使用シオレノステータスヲ確認スレバ納得シテクレルハズダ」


うっ……。


確かにそうだ。


俺はペガルに言われるがまま[鑑定]を使用する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:ペガル・シュラーゲン

殴猿LV.?

モンスター:中立

称号【殴猿】【武を求めし者】【武を探求せし者】【違えられし者】【???】【???】

スキル[殴技][剛力][殴猿][魔力操作][???][???][???]

加護【???】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「嘘だろ……」


……お、殴猿?


……猿、なのか?


いや猿と書かれている以上、猿なのだろうが……。


俺は目の前に出ているペガルのステータスと実物の間を俺の視線が行き来する。


「おかしいだろう。どう見てもゴリラだぞ……」

「ドウダ、オレハ猿デアッタダロ」

「あぁ……猿だよあんたは、その外見から認めたくは無いが、ステータスにこう書いてある以上なんも言えない。あんたは猿だ」


俺は最後にそう自分に言い聞かせるかの様に繰り返す。


最早、自分に対する一種の暗示の様なものだった。


それに対して、ペガルは少し得意げな顔で「ハハハ」と笑う。


そんな事をしているとヴァーニアが話し出す。


「談笑は終わったか?」

「ハイ、ヴァーニア様。丁度終エタトコロデス」


ヴァーニアの問いにペガルが答える。


「ロイドも良いか?」

「あぁ、大丈夫だ」


ヴァーニアは俺の答えに対し、小さく頷くと、話を進める。


「そうか、ならばそろそろ次の試練へと進もうでは無いか」


そう静かにとくと、ヴァーニアは少し楽にしていた身体を起こし、姿勢を整える。


「双方準備をし、試練へと備えよ」


そう告げられ、アマルガムとペガルが移動し出す。


俺もそれに合わせて対面上に出るように移動すると少し身体を動かしてみて、身体の具合を確認する。


そして、メニューからアイテムを取り出し減ったHPやEPを回復させる。


アイテムの使用を終えると俺は短剣を抜いて構える。


それを確認するとヴァーニアが声を上げる。


「準備完了を確認した。では、試練の続きを始めよう」


その言葉が聞こえると目の前の2匹が構える。


そして直ぐにアナウンスの音声が聞こえて来る。



《ユニーククエスト:【技神の試練】が進行します。進行度30% 試練数1/3》

《第二の試練が開始されます》

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