表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/54

36話

最近更新できなくて本当申し訳ないです。




○アーインス 雑木林


「……」


木漏れ日の漏れる雑木林にしんと静まりかえる。


今起こった事に驚き思わず何も言えなくなってしまう。


[武術指南書:蹴兎]を使用した際の光による、目の負傷を忘れてしまうほどに、それによって起こった事が大きすぎた。


蹴りに関するレアなスキルが手に入るとは思っていたが……。


俺はステータスの自分のスキル欄を確認してしみじみとそう思う。


[天脚]

効果:足による攻撃を最適化し蹴りの威力を上げる。

攻撃手段"足"を使用する技の全てを使用でき、その技の威力はAGIとDEXに依存する。

AGIの50%上昇。


「………ふぅ」


確実におかしいよなぁ…。


足による攻撃の威力を上げるのはわかるんだが、二つ目の"技の威力はAGIとDEXに依存する"って何だよその俺のために存在するような効果。


「何か陰謀めいたものが……」


現実逃避も兼ねてそんな馬鹿げたことを言ってみる。


いきなりこんなスキルが手に入ったのだ、現実とは思いきれない……まぁ現実と言うよりゲーム内なんだがな。


しかもコイツさっき手に入れたスキル吸収したしな。


[蹴技]に[蹴兎]どんな能力かもわからずに取り込まれたんだが……


[蹴技]は読んだ感じ、デムの使っていた斬撃を飛ばす蹴りや、一瞬のうちに何発も打ち込む蹴りが使えるようになるんだろう。


その辺りの技は[天脚]でも使用できるはず。


その点、[蹴兎]に関しては全くどういった能力なのかわからないよな。


デムの行動の中に何かヒントがあったりするのか?


俺は少し考えたが、特にこれといって思いつくもはなかった。


「真相は闇の中に……」


そんな事を口に出しながら目的も達成したので俺は雑木林を抜け、アーインスを目指す。





アーインスの街には思った以上に早くついた。


行きと帰りで格段に走るスピードが違いすぎて驚いてしまう。


既にステータスではAGIは四桁を突破している。


まぁ、他が全く上がってないんだが。


やっぱりもっと他にも振るべきなんだろうか…。


このままだと攻撃手段が蹴りだけになってしまうな。


[急所打ち]のスキルのおかげでクリティカルダメージが当たってくれてはいるんだが、全身鋼鉄みたい硬い相手が出てきたりするときついところだよな。


アルブトーラムの時のように、自傷させることができるならいいんだが、都合よくそんなことができるはずもないし……。


「その点は、要課題だな」


まぁ武器使っての攻撃が無理になってきたら蹴りで戦うようにすればいいし、今の俺のレベルで行き詰まるとしたら、もうちょい後になってくるだろうしな。


俺はそんな事を考えながらあてもなく歩く。


何もすることがないのでただひたすらに歩くだけだ。


街の中は住人やプレイヤーの声が入り混じっている。


道具屋や素材屋、ギルドの冒険者などの住人や、パーティ募集や、値段交渉をしているプレイヤー。


そんな人たちの声を聞くだけでこの街がどれほど賑わっているかがわかる。


ギルドで訓練場を借りるのも考えたが、こうやってゆっくりするのも良いものだな…。


歩きながら俺はそんな事を考えてしまう。


辺りを見回しながら歩いていると、外套を被った人物が店と店の間を通り狭い路地に入っていたのが目に入った。


周りの人たちが全く見向きもしていないところを見ると、それが日常的なものなのか……それともーーー


「スキル使ってまで気配を隠していかないといけない理由があるのか?」


俺は少し、心を踊らせながらも[気配希釈]を使用し先程の外套の人物を追う。


[歩行術]のおかげで音を立てる事なく追うことができる。


一応[気配感知]を使用し外套の人物から少し距離を取りつつ、位置を確認し続ける。


俺は[地図]に移る緑色の点に目を移す。


「さぁ、彼は俺をどこに連れて行ってくれるんだ……」


年甲斐もなく興奮してしまいそんな事を言ってしまう。





外套の人物を追いかけていると、マップ上に赤い点が二つ彼を追いかけるように後ろをついて行っていることに気づいた。


マップ上に表されている点の色はその人物の素性を表していて、


緑色…善良。カルマ値が+になっている人物を表す色


黄色…中立。カルマ値が±0になっている人物を表す色


橙色…悪。カルマ値が−1から−99までの人物を表す色


赤色…極悪。カルマ値が−100以下の人物を表す色


と行った感じになる。


ちなみにカルマ値を−100にするためには合法的に戦闘するための決闘デュエルと言う機能を使用せずにプレイヤー又は住人の殺害をする必要ある。


カルマ値が−に下がっている状態の敵を殺した時、それが中立や善良の場合はカルマ値が減ることはなく相手が極悪の場合は逆にカルマ値が+される。


逆にそれが悪や極悪の場合は、カルマ値が−される。


カルマ値が−と言うのは簡単に言うと犯罪を犯している状態であり、その状態で街の守衛などに捕まった場合は投獄されてしまい監獄に入れられる。


暗殺者などの職業の場合、カルマ値が−になっている事でステータスにバフがかかったりするらしい。


マップに表されている二人は赤色、つまりはこの世界で人を殺したことがあると言う事だ。


そんな奴らが彼を追いかける理由はだいたい察せるだろう。


そう考えながら[地図]で赤い点が示しているところを見ると、そいつらの姿を確認できる。


その姿はわかりやすく盗賊の様なもので先程から下卑た笑みを浮かべながら、外套の人物を見ている状態だった。


見た感じ今すぐ襲いかかる感じでもないしここで騒いで、外套の人物にバレてしまうのも困るので今すぐどうこうするわけにもいかない。


そいつら二人の動きも確認しながらも外套の人物を追いかける。





少し進んだところで外套の人物が目的地に着いたのか鋼鉄の扉の前で止まる。


外套の人物はドアをノックし何か声をかけると数歩後ろに下がる。


すると中から身長2mはありそうなスキンヘッドの大男が出てくる。


すると大男は、外套の人物を品定めをすように睨み一言こぼす。


「チッ…おまけまで連れて来やがって」

「……ッ!」


大男の言葉に外套の人物が驚いた様にそう声を出し周りを見渡す。


そんな外套の人物をよそに大男が隠れている奴らに聞こえるように声を上げる。


「コソコソしてんじゃねぇ…さっさと出てこい!」


おう…あの大男めっちゃ叫ぶなぁ…俺の位置は結構離れてるし多分あの二人のことだよな。


そんな事を考えていると、観念したのか外套の人物を追いかけていた盗賊風の男たちが出てくる。


「はぁ…バレちまってたのかよ」

「だから、やめようって言ったじゃねぇか兄貴。俺たち隠密に向いてねぇんだ」


男たちはそう言ってヘラヘラとしながら大男たちの前に姿をあらわす。


「二人か…まぁ良い、こいつに何の用だ。色々するのが面倒臭いさっさと答えろ」


あの大男一回こっちをにらんだ気がするんだが気のせいだよな……。


気のせいであってくれよ…。


思わず手を振り返してしまったじゃないか。


俺がそんな事を考えている間にも男たちの会話は進んでいく。


「なーに、わかりきった事だろ。そいつ殺して身ぐるみ剥ぐんだよ」

「外套の下から見える服や貴重品を見ればわかるそいつ結構持ってんだろ。そんな奴がこんな路地に入り込みゃあ…こうなるに決まってんだろ」

「さっさとそいつ出して失せなオッサン早死にしたくねぇだろ」


男たちは下卑た笑みを浮かべた状態で、短剣を構えて腰を落とす。


そのことに呆れたのか大男は頭を抱えて、「はぁ…」と深いため息を吐く。


そして、もう一度男たちを見たかと思うと少し腰を落とし構えて声を出す。


「本当に面倒臭い…もういいお前ら二人とも、ここで死んでいけ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 蹴兎はシュートボクシングかな? 武術指南書:蹴兎だし 攻撃技として使えるサッカー技の可能性もあるけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ