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25話

いつのまにか月間ランキングに載っていて、驚きました!

これも皆さんが、いつも見ていただいているおかげです。

本当にありがとうございます!




○ヌール 草原


眼前のうさぎは俺の短剣を足で受け止めた状態で、またこちらをあざ笑うかのような笑みを浮かべる。


「…ッ!」


…またッ!笑いやがった!


俺がうさぎの笑みに目をとらわれていると、うさぎは振り返り先ほどとは考えられないほどのスピードで、森の中に入っていく。


「あ!待て!」


俺は一瞬あっけにとられていたが、すぐにうさぎを追いかける。



◆ヌール 北の森



森の中は木々により日光が遮られ薄暗く、所々木漏れ日があり、そのあたりだけが湿らず乾いているようだ。


風により木々が揺れ、ザワザワとなる。


足下には、落ち葉が落ちていて歩くたびにクシャリ、クシャリと音がなる。


うさぎを見失ってしまったかと思ったが、あの速度で走って行ったためか、落ち葉がとび、茂みが分けられ、ちょっとした獣道ができていた。


俺は、うさぎを追うため、あのうさぎによってできたであろう獣道を歩き、追いかける。


俺は一歩踏み出し、茂みを掻き分けながらうさぎの後を追うように森の中を進む。


茂みをかき分けるため、枝が折れ所々パキパキと音がなる。


そうやって俺がうさぎを追っていると、音を聞きつけたのか、右側の茂みから見慣れた生物が出てくる。


「グルルル…」


そう歯をむき出しにしながら唸り、こちらを殺気混じりの目で睨む。


俺は、すかさず[識別]をかけ確認する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オオカミLV.12

モンスター:敵対

スキル[牙撃][嗅覚探知]


ごく一般的なオオカミ。

主に集団で生活し、獲物を見つけると執拗に追いかけ狩る。

相当なことがなければ、森から出ることはない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[識別]のレベルアップを知らせる音声が聞こえる。


大きさも中型犬程度のところを見ると、[識別]で見た通り普通のオオカミで間違い無いのだろう。


オオカミは唸りながらも、すぐに飛びかかるようなことはせず、その場で俺を観察するかのように睨み続ける。


そんなオオカミを見ているとすぐに辺りから、ガサガサと音がなり、茂みから次々とオオカミが出てくる。


気づくと俺はオオカミに囲まれた状態になる。


目の前で見えている範囲でも、4匹はいる。


まぁ、俺には[地図]と[気配感知]のおかげで俺の背後に回り、息を潜めている2匹がいることもわかっている。


はぁ…俺はさっさとあのうさぎを追いたいというのに…。


俺は心の中でそう溜息を吐きながら、短剣と短刀を構える。


すると、一番先頭にいたオオカミが俺に飛びかかってくる。


…遅い。


俺は避けることもなく、短刀を飛んでくるオオカミの顎から突き上げるように突き刺す。


アルブトーラムはもちろんのことハンターウルフたちと比べても遅すぎる。


俺がレベルアップしたことを含めても遅すぎる。


短刀で突き刺したオオカミが粒子になろうとしている頃には、俺は次のオオカミに近寄り短剣で、その毛皮で覆われた首を切り裂く。


オオカミは俺の動きに反応出来ず、動けない。


一瞬のうちに仲間がやられたことにオオカミたちがあっけにとられているうちに全てが終わる。


俺が4匹を狩り終わると、背後に隠れて息を潜めていた2匹が同時に飛びかかる。


俺はそれを避けながら、二匹同時に斬る。


スパッと音がなり短剣と短刀を一度振り、鞘に収める。


背後で、ドサッとオオカミたちが地面に落ちた音が聞こえ、振りかえると、オオカミたちは粒子になって消えて行っている途中だった。


「まぁ、こんなところか…」


そう言い残し、俺はまたうさぎの後を追う。





オオカミと出会ったところから、数分進むと少しひらけた場所に出る。


そこには切り株というには少し違う、途中からへし折られた木が点々とあることを見ると、意図的に作られた場所であることがわかる。


その中心には、追いかけていたあのうさぎが立っていた。


ここで立っていると表しているが、これは後ろの二本の足だけでいることを指している。


また、止められないように万全を尽くし、うさぎを狩ろうとする。


相手は、まだこちらに気づいていないようで、俺はスキルを使って隠れながらうさぎに近づく。


俺はうさぎの背後に回り、短刀を構える。


風によって、揺れる木々の音が静かな森の中で響く。


風が強く吹き、木々の揺れる音が大きくなったところで飛び出して、うさぎに斬りかかる。


だがすんでのところで気づいたのか、うさぎは横にはね飛び、俺の攻撃をかわす。


避けられたか…。


すんでのところで気づかれてしまったか…あれに気づくとはすごいな。


自分の攻撃がかわされた事に、驚きと関心が出てくる。


うさぎはこちらに身体を向ける。


そしてすぐにこちらに向かって飛びかかって、蹴りを入れてくる。


俺もそれに反応し、短刀で受けようとするがーーー


「…ッ!」


押し負かされてしまう。


俺が体勢を崩し、倒れかけているところに追撃を入れてくる。


すかさず[回避]と[跳躍]のスキルを使って避ける。


速いな…というか、刃のついた方で受けたのに足が切れることもなくそのまま蹴り飛ばしてくるとは…。


うさぎはこちらを見て鼻をひくつかせている。


耳を動かしているところを見ると周りも警戒しているのだろう。


「この感じだと、剣でうさぎの攻撃を受けることはできなそうだな」


受けたところで、さっきみたいに体勢を崩されそうだ。


俺がそう考えていると、うさぎがその場から飛び、俺に蹴りかかってくる。


俺は避ける事に徹して、うさぎの攻撃の間に隙を探す。


だがうさぎは二、三度蹴りを入れると隙を作らないためか攻撃をやめ、後ろに引く。


その為、全く隙をつくことができない。


避けるために後ろに下がりながら、広場のなかを動き回る。


森の中を逃げてもいいが、木々に紛れて奇襲されてもいけない。


避けることはできるが、反撃をすることができずまさしく防戦一方だ。


どうすればと考えているうちに背中に木が当たり、追い詰められてしまう。


まずいな…。


うさぎはその事に気づいたのか少し表情に笑みを浮かべけりをいれるためとびかかってくる。


俺はスキルを使って全力でそれを避ける。


バキイィィ!!


そうけたたましい音が聞こえたかと思うと、少ししてズドンッ!と大きな音がなる。


その音に先ほどまで俺がいた場所を見ると、俺の背後にあった木が中程で折れていて、そこにうさぎが佇んでいた。


その光景を見て、蹴りうさぎのステータスに書いてあったフレーバーテキストを思い出す。


"個体によっては木を蹴り倒すものもいるとか…"


…あれお前かよ!


俺のそんな心中を察してか、目の前のうさぎは、こちらを見てその口角を上げる。

ブックマークや、評価等、ありがとうございます。

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