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24話

投稿遅くなって申し訳ないです




○ヌール 草原


蹴りうさぎは、こちらを見ながら少し首をかしげる。


え…普通にかわーーー


ゴンッ!


そんな鈍い音とともに頭に衝撃が加わる。


一瞬何が起こったかわからなかったが後から、じわじわと来た頭頂部に痛みに冷静になってくる。


「痛ッ!!」


そんな声を上げながら、頭を抑えながらその場から飛び退く。


自分のHPを確認しながらも、蹴りうさぎを睨む。


蹴りうさぎは、傷だらけの右足を振り抜いた状態で止まっていた。


その顔には、俺をあざ笑うかのような笑みを浮かべた状態で、


「…ッ!」


…あいつッ!


蹴りうさぎに煽られたことで、俺の頭に血がのぼるのがわかる。


俺が、目の前の蹴りうさぎを倒すために飛び出そうとすると、草陰から違う蹴りうさぎが飛び出してくる。


俺の顔めがけて蹴りを入れてくる蹴りうさぎをかわし、反撃に首を狩る。


スパッと心地のいい音がなり、蹴りうさぎの首を短刀の刃が通る。


粒子に変換される蹴りうさぎを払いのけながら、俺に蹴りを入れたうさぎに向かって走ろうとするが、またそこに他のうさぎが邪魔を入れる。


「…クソッ!邪魔すんなッ!」


迫り来るうさぎを次々に斬っていくが、前回のように一向に止む様子がない。


そうやって、蹴りうさぎたちを狩っていると、一番最初のうさぎ、俺に蹴りを入れたうさぎがどこかに逃げていく。


…なっ!あいつッ!


「待てッ!」


逃げるうさぎに向けてそう叫ぶ。


そう叫んだところで、MPを使い切っているので、魔法を使うこともできない。


クソッ!逃すかよ!


俺は、あのうさぎを狩ることだけを考え、纏わりついてくるうさぎたちを倒すスピードをさらに上げる。


だが、厄介なことにスピードを上げれば上げるほど、倒せば倒すほど、それに合わせるようにうさぎが飛びかかってくる。


少しずつは進んでいるが、このままではあのうさぎを見失ってしまう。


あーもうッ!


「邪魔だ!お前ら!」


そう叫ぶが、当然のようにうさぎは飛びかかってくる。


だいたいなんだよ!このうさぎの数ッ!どこからこんなに出てきてやがる!


幸いと言っていいかわからないが、蹴りうさぎはあのうさぎの走っている方向からしか出てこないので、どうにかあのうさぎは見失わないですんでいる。


どういうことが気になりマップを確認するが、マッピングがあまりできていないこともあり全体はわからないが、相当前の方から出てきているようだ。


そのことに気づき俺が顔を上げると、奥の方に森が見える。


昨日アーサーたちと行こうとして、蹴りうさぎたちのせいで断念した場所だ。


まさかこの蹴りうさぎたちは、森から出てきているのだろうか?


そうすると面倒だ。


結構な数倒している蹴りうさぎたちは、全く勢いが衰える様子がない。


このまま粘られて、あのうさぎが森の中に逃げ込んで仕舞えば、俺も入らなければならなくなる。


草原という見晴らしのいい場所だから簡単に対処できるが、木々で死角の出来る森の中だと手こずってしまうだろう。


しかも、森の中の魔物は第一の街とは思えないほどの魔物のレベルが上がるらしい。


そんなやつらに囲まれれば、うさぎどころではなくなってしまう。


あー、本当にあのうさぎ面倒臭い。


頭の中でそんな悪態をつきながら、俺はうさぎたちを狩る。


やはり、うさぎを倒しても倒しても無駄なようで、一向にあのうさぎとの差は埋まらない。


「こうなったら、あれ使うか…」


バルカンの短刀のスキル[薪の炎]。


あの時、ヘファイストスが実践して見せてくれだ短刀の力だ。


使用すれば短刀の刀身が熱を持ち赤くなる。


その状態で短刀を振ることで、周囲に炎を放つことができる。


ヘファイストス曰く、こう言った武器や防具、道具などの装備のスキルは殆どが、EPを大幅に消費するそうで装備のスキルを使用する際は、EPに気をつけろだそうだ。


そう言うこともあり、このスキルをあまり使いたくない。


実際に、EPの消費に気づかず飢餓状態になって死んだ奴もいるらしいしな。


だが、そんなことを考え、スキルの使用を渋っている間にもあのうさぎとの距離は、離れていき、森が近づいてくる。


……あんまりうだうだ言ってられなそうだな。


俺は覚悟を決め、[薪の炎]を発動する。


スキルを発動すると、短刀から少しずつ熱が出始め、徐々に刀身が赤くなりだす。


さらに刀身が赤くなると短刀を振った跡が、空間に熱による歪みとして残り始め、数秒後には振るった短刀から炎が出始める。


するとその炎に巻き込まれ、後ろの、さらにその後ろのうさぎまで粒子になって消えていく。


もう一度、短刀を振るうと、その炎によって俺の真正面にいるうさぎたちは焼き払われる。


よしっ!これならあいつに追いつける。


そんな期待を抱きうさぎに詰め寄るスピードを上げるが、森はもう目の前に迫っていた。


うさぎたちは衰えることなく俺めがけて、飛び込んでくる。


それを短剣の方で斬る。


《両手に同系統の武器を所持した状態で、適正数の敵の討伐により、スキル[二刀流]を取得しました》


ん?なんか良さそうなスキルを取得できたな。


短刀を振るって炎によってうさぎを屠る。


たしかに、さっきまでより短刀が振りやすいかもしれない。


先ほどよりも、短刀と短剣の使い方が最適化され、更にうさぎを倒すスピードが上がる。


スパッ!


短剣で斬る。


ボウッ!


短刀で屠る。


どんどん、あのうさぎとの距離は縮まる。


あと少しッ!


短刀で、邪魔に入るうさぎを屠り、俺に蹴りを入れたうさぎめがけて短剣を振るう。


「これで終わりだッ!」


俺の振った短剣はうさぎの頭めがけてまっすぐに振り下ろされる。


完全にとった。


俺がそう確信しその表情に笑みを浮かべていると、


ガキイィィイン!!


そんな音が聞こえ、短剣を振るっていたおれの左手が途中で止まってしまう。


一瞬何が起こったがわからなかったが、おれは振り下ろされるはずだった短剣をみる。


「…は?」


その状況を見ておれそんな気の抜けた声を出してしまう。


そこでは、さっきまで俺が追いかけていたうさぎが、俺の振り下ろした短剣を片足で止めていたのだから。

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