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看護師やってます  作者: 久蔵 出雲


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3/8

助手として働いて

 私は最初、一般内科に配属されました。とはいっても助手なのでやる仕事といったら環境整備と、お茶汲み、オムツ交換やおしぼりたたみといった雑用でした。


 それでも、褥瘡の処置を見せてもらったり気管切開した患者様の管の交換や吸引などを見るのは驚きの連続でした。


 何せ当時は十六歳。多感な時期でもあったので、色々と衝撃でもありました。


 そんな中でも、一番困ったことは患者様の話している言葉が聞き取れないこと。


 先輩ナースたちは一言二言しか言わない患者様の訴えを、ボディランゲージと合わせて素早く理解します。ですが、私にはなにを訴えているのかさっぱりわからないし聞き取れない。


 これは本当に慣れと経験に頼るしかありません。


 先日、テレビを見ていたとき高齢者施設でレポーターが高齢のかたに声をかけるているシーンを見たのですが、やはりレポーターは高齢のかたがなにを言っているのか聞き取れず、何度も聞き返してました。


 それを見ていて、あんなにハッキリ言ってるのに、わからないものなんだなぁ。そういえば私も最初の頃はそうだった。なんて、看護学校に入りたてのこの頃を思い出しました。


 看護師はコミュニケーションスキル命です。


 話が変わりますが、最近『カスハラ』が目だってきましたが、私が一番最初に配属になったこの病棟に入院している患者様にもそういったかたがいました。


 病棟の当時一番奥にいるAさんという男性で、比較的入院されている患者様の中では若いかたでした。


 その患者様は自分の思いどおりにいかないと突然激昂するので、環境整備に入るのにも二人ペアで入ることになってましたし、入る時はとても緊張したのを覚えています。


 そんなある日、その患者様が腹痛を訴えたんです。ほしい薬があったようで、医者を呼べといいました。


 たまたま詰所にきていた院長が対応してくれたのですが、院長がその患者様の言うとおりにほいほい薬を処方するわけはなく、検査指示を出したんです。


 それで看護師が検査することを本人に説明したら、その患者様が激昂。


 とはいえ、看護師たちは歴戦の猛者ばかり。


「あなたが腹痛を訴えたから、検査になった。文句をいうな」


 とハッキリ言って詰所へ戻ってきました。


 そうしたらまぁ、そこから一時間近くずっとナースコール連打。


「さっきの看護師をよこせ!」


「俺の言うことを聞け!!」


 他の患者様もいますから、一人にこんなことをされると、ハッキリ言って営業妨害です。


 師長も先ほどの看護師が悪いわけではないことは承知しています。なので、患者様に謝りなさいとは言いません。


 で、師長さんがどう対応したかというと、おもむろにニコニコしながらナースコールを取って優しくこう言いました。


「は~い、こちら○○病院ナースステーションでございま~す。ご指名のナースちゃんはどなたでしょうか~」


「お前! ふざけてんのか!」


「いいえ~、こちら指名制になっております~。A様のお気に入りのナースちゃんの名前を仰ってくださいね!」


 師長はしばらくこの対応を続けました。


 するとAさんは最後に吐き捨てるように一言。


「もういい!」


 そう言ってこの騒動は終了しました。


 それを見て、看護師って強い! と思ったのでした。


 こんなやり取りって意外によくあって、そのせいか看護師たちは気が強いかたが多いです。

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