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22 一難去って

 本日2話目です。

 ほんの少し前まで城門に迫られるところまで後退していた騎士団と冒険者の混合部隊は今や開戦時以上の勢いをもってアンデッドの勢力を押し返していた。


「すげえ! これが聖印付きの武器の威力か。アンデッドのやつらをゴミの様に片付けられるぜ」


 通常物理攻撃では2、3人掛かりでようやく倒すことができるアンデッドも光属性が付与された武器を使えば1人で2、3回切り付ければ倒すことができた。


「軽くて使いやすい。これなら何体でもいけるぞ」


 重量軽減の付与も施されたこの武器は戦線に投入されるやその勢力図を一変させた。


 今や前線で武器をふるうほぼ全ての者にこの武器が渡っている。


 戦力の損耗を防ぐため光属性が付与された武器を持たない者には撤退の命令が下され、現在前線にいる者たちにも疲労を覚えれば無理をしないようにと通達されている。


 勢力図が大きく変わって3時間。


 太陽が地平の果てに沈むころには戦闘はようやく終了した。


 魔物との戦いに和睦はない。


 魔物は撤退をすることなく最後の一匹が倒れるまで襲いかかってきた。


 勝ち戦であっても最終的には少なくない人数が死亡し、多くの負傷者が出るのである。


 かろうじて勝利は収めたもののその傷跡は深いものであった。





「諸君ごくろうだった」


 戦闘終結時に日没を迎え夜の闇が辺りを支配したころ騎士団の司令部に足を運んだ辺境伯がそうみなを労った。

 今後の話をしようと皆が席に着いた刹那、外から伝令役の兵士が飛び込んできた。



「何事だ! 今は重要な会議中であるぞ!」


 第一騎士団団長のエクルス・バッシレイヤーがその無礼を咎めた。


「お叱りはいかようにもお受けします。まずはご報告させていただきたく!」


「かまわん。報告させろ」


 兵士のあまりの血相に辺境伯も兵士に報告を促した。


「魔物掃討後、周囲の監視・警戒のために斥候部隊を派遣しておりましたところ西・北西・北の各方面から魔物の大群が接近中。その数およそ3000! この街に向かって進軍中です。魔物の構成はさきほどとは異なり通常の魔物による編成です」


 その言葉に会議室は一瞬沈黙に包まれた。


「さっ、3000だと!?」


「到着予測はいつだ、いつ来るのだ?」


 会議室は怒号に包まれる。


「ええいっ、うろたえるな! 情報を整理し死者やけが人を除外して部隊を再編せよ。冒険者ギルドにもすぐに連絡を!」


「今回多数のけが人が出ています。圧倒的に数に不足が出ます」


「やむをえん、義勇兵を募れ!」


「しかし、今回の戦いで武具はおよそ使い尽くしております。義勇兵用の武具はいかがいたしましょう」


「それでしたら以前の武具の入れ替えで各地から回収した大量の古い武具が保管されています。それに付与魔法を施して利用してはどうでしょうか」


「古くて強度が落ちていてもそれで何とか使えなくはないか……、よかろう、付与魔法ギルドには追加で依頼をかけよ。戦いはまだ終わっておらんぞ!」


 辺境伯の激により街は再び戦闘への準備に入る。


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